第24話 マリーは、見捨てられない。

ミセス・ジェリーは、Hことヘンリーの胸に抱かれて、涙を流す。しかし、ヘンリーは、意を決して、ミセス・ジェリーに言う。

「済まない。今、僕には、裏切れない、大切な女性パートナーがいるんだ。名を、マリーという。ロブ・ノール湖畔に、テントを張って一緒に住んでいる。君の事は、覆水盆に返らずだ。もう、戻ることはないだろう。すまないけれどね。」

ミセス・ジェリーは、涙を拭いて、Hに言う。

「わかっているわ。もう、二度と、あなたと暮らせないことくらい、百も承知よ。でも、引き続き、私は、あなたを雇いたいし、ジャズバーのエクワイアのオーナーでありたい。今、私は、方々に住む、男共の女王様でありたい。」

「本命の男は誰なのだ?」

ミセス・ジェリーは、Hに、いきなり口づけをする。そして言う。

「あなた以外考えられないわ。」

Hは、機嫌を悪くする。

「僕を愛の利用するなよ。君は悪女だ。男が、まるで、君の奴隷だ。僕を拠点にしてさぁ。僕は、遊びの恋が、全くできないんだ。君は、マンイーターだな。」


ミセス・ジェリーは、Hから離れ、椅子に座った。もう、エクワイアのオーナーの表情に戻った。ミセス・ジェリーは、言う。

「私は、そういう愛し方や生き方しかできないのよ。」

「君と僕の間に、子供を作らなくて正解だった。こんなのでは、子供がかわいそうだしね。」

「そうね。私は、子供なんていらないわ。恋愛に、子供は邪魔よ。」

「君は、悪魔だ。ミセス・ジェリー。」

「フフフ、だから、警察のあっせんで、殺人チームを組んでいるのよ。」

「結構なことだ。」

「さぁ、仕事に就きなさい。ヘンリーよ。」


Hは、ミセス・ジェリーに、一礼をすると、事務室を後にする。

階段を下りて、みんなのいるジャズバーの仕事に取り掛かる。

ジャズバーには、もう、客が数人、カウンターで、酒を飲んでいる。



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