昭和の終わり。教室のざわめき、テレビの笑い声、カラオケの歌詞。
そのすべてが、自分には無関係のものに思えた。
少年は、自分が「変な奴」だということに、早くから気づいていた。
周囲が夢中になる流行や熱狂が、どうしても理解できなかった。
好きなものは、誰にも知られたくなかった。
ゲームブック。TRPG。二次元のヒロイン。
誰かと共有できる世界ではなかった。
だから、静かに、深く、孤独に愛した。
だが、ある日、「趣味」が世間から断罪される。
オタクという言葉が、蔑称として貼り付けられた。
好きなものを好きでいることが、「気持ち悪い」と罵られた。
そして、誰よりも信じていた恋人に、それを否定された。
信じていた時間は、ある日、部屋のクローゼットで「終わった」。
それでも、諦めきれなかった。
泣いて、傷ついて、それでも――あの日、雨の中で出会った。
震える仔犬。
誰にも言えなかった言葉を、そっと受け止めてくれた命。
「お前も……独りぼっちなのかい?」
その瞬間、終わったはずの世界に、もう一度、光が差した。
この物語は、生きる理由が見えなかった少年が、
出会いによって再び歩き出すまでの、
静かで壮絶な、魂の記録である。
人生の悲しみが大きすぎて潰れそうになったとき。
仔犬が目の前にいました。
@catsince1994さんの体験です。
ただ身を寄せてくる。
それだけの存在が砕けそうな心を包む。
どんな言葉でも届かない心の深いところから優しい気持ちが広がる。
宝物のような出会いでした。
そして仔犬との暮らしが始まる。
この物語も始まるのです。
とはいえ。物語の前半は昭和に生まれてアニメや漫画やゲームを愛好する者の生態をつぶさに描き出しています。
この下りはこの下りで、リアルな昭和文化を散見できで楽しいのです。
しかし、あくまで物語の要旨はパピィとの暮らしです。
ありふれているに、どことも違う。
各々の心の交流。
愛犬と暮らす日々の物語です。
どなた様にも楽しめる物語だと思います。
どうぞ、ご覧ください。