第四章 マホロア
──「ケンリ」ガソウサクブツニナッタ──
──「タダシイ」「アイ」ガニンゲンニナッタ──
──タ・イ・ハレセン──
──ニンゲンハ3ツノエイエンヲエタ──
──「ハサミ」ガニンゲンニマケタ──
──ファイナルステージ──
けたたましい音と共に、アニメのキャラクターが私に襲い掛かった。
人間の姿の面影など、もはや、何処にも無かった。
アニメの材質、アニメのデザイン、アニメの身体、アニメの世界。
私はそれらに取り囲まれて、銃を構えた。
撃鉄を起こし、引き金を弾く。
パアン
と、小気味のいい音を立てて、私の弾丸が、魔法少女にヒットした。
魔法少女は、甲高い声でないて倒れ、ブゥンと消えた。
私は立て続けに、弾丸を射出する。
パアンパアンパアン
私の弾は全てヒットし、バッタバッタとアニメの人間をなぎ倒した。
「ふふん」
私は、ニヤリと笑う。
すると、突如として、空間に切れ目が入った。それは、縦に引き裂くかのように、世界を切った。
「むっ」
私は身構える。
アニメの人間と言わず、アニメの建物と言わず、アニメの街といわず、とにかく、アニメの世界ごと切り刻んだのは、一本のハサミ。
「ヨニモキミョウナモノガタリースニヨウコソ」
てるてる坊主が言った。
いや、違う。頭だけだ。
てるてる坊主は、タキシードに身を包み、シルクハットをかぶっていた。
全体的に関節が節くれだって、全身が細い。棒のように。
てるてる坊主のように白い布か何かで包まれた丸い顔に、大きな大きな赤い唇がやけに目立っている。
赤い唇から歯を覗かせながら、それ以外がのっぺらぼうなてるてる坊主は、私に語った。
──あんまり聞かなかった。
──興味が無い。
自分が使わず、得られないものの重要性を、切々と説かれてもね。
とにかく、ファイナルステージをクリアしないと。
「キチョヤバ!」
てるてる坊主は「ひゃっはあ」のように叫んだ。
私は、ガンコンを構えた。
ステージクリア。
けたたましい音楽と主に、文字が踊る。
ド派手なファンファーレが鳴り響く中、私はガンコンをゲーム機に戻した。
映像を撃つ、ガンアクションシューティングだ。
ボスが古代兵器のキリングドールに似てたな。
えっと、景品は…。
無いんだっけ。
「何で、これで景品が欲しくなるんだろうなあ」
私はぼやいて、ゲーム機から離れた。
太鼓さんを叩いても物足りないので、チョーカンタンに向かう。
私はチョーカンタンにコインを入れ、チャレンジした。
景品を取るのは、UFOキャッチャーではないのだ。
チョーカンタンの時代だ。
私はボタン一つで自動的に景品を取ってくれるチョーカンタンを眺めた。
ガコン
景品が取れる。
手のひらサイズの白くまのぬいぐるみがついた、お菓子の袋だった。
私は調子に乗って、チョーカンタンを何度もやり、エコバックの中に景品がいっぱい貯まった。
「ふふっ」
戦利品ゲット!!
私はほくほく顔で、ゲームセンターを後にした。
私は適当にショッピングモールを見て回って、ベルファイアが停まっている駐車場に向かった。
エコバックを後部座席に置いて、私は運転席に座る。
「チョーカンタンいいね」
百円ショップがあるから採算が取れないという程でもない。
私は自宅に戻った。
私がもっている武器の中に、デリンジャーというものがある。
弾が一発しかこめられないのが基本系の武器だ。
使い捨ての銃と言ったりもするが、まるで手榴弾のような使い方をするので、その比喩だろう。
意匠を凝らした武器を単発で捨てるのが勿体無いから、私は使ったらもち帰ることにしている。
デリンジャーは、花嫁が護身用にもつ銃と言われていたこともあるらしい。
どうやら、傷つくことが多いから、処刑日の理由で、望まない結婚を避けるために、花婿を撃つ武器に変えられた。
銃には、忌まわしい逸話があったりするが、その一つだ。
魔術があるのに、軽く植物の葉で切っただけで、何故、痛いのか。
かすり傷というか、解らない傷のはずだ。
どうやら、こうして世界として安定させるために、創造神が傷つくことがあったら、全てが滅び、その傷ついた心が小さな傷の痛みとなり、小さな傷がついただけで、同じ痛みを味わうことになるらしい。
だから、デリンジャーは全てが滅ぶ痛みを一発の弾丸にこめて、結婚を滅ぼす武器とされた。
そういう負担がたたり、創造神が出来ることに制限がかかると、まるで人間のように暮らす以外のことで責任が取れなくなるまでに力が下がり、絵の世界の絵が描けなくなることがあるらしい。
私は、そのことを踏まえて、絵が描けるか試すことがある。
「うーん」
あんまり、うまくない。
物を使えばもっとうまく描けるのに…って、物を使わないと絵が描けない。
だったら、何を使って絵を描いているのだろう。
「うーん」
私は考えた。
そうだ。
フォームワームの討伐を始めたけど、フォームワームの魔術で、身体の情報が結界に張り付いて、外に出たということは、私の魂に損傷があったということだ。
だから、結界をうまくリサイクルして、絵に出来ないものだろうか。
私は試行錯誤を繰り返し、デリンジャーを使って動画を出す魔術を完成させた。
デリンジャーの弾を花火に例えると、一発の弾を撃ち出して、残った銃は外身となり、私の身体の情報が花火のように飛び散ったならデリンジャーの弾で、外身である物の身体が残っているのに使い物にならないのなら、花火のように散った私の身体の情報は結界内に張り付いて外に出ていないのだから、結界が外身ととらえ、結界から回復魔術を作って身体がなおったけど、その途中経過が何なのか気になるから、魂の情報を調べて動画のように並べ動かし、意思情報という無機物なのにも関わらず、モザイクアートのように花火が打ち上がり、全てが消えて、それでも結界がある限り、回復を続けられるのだから、身体のオーラを結界ととらえ、恒常的に作用するようになったら、どうせ消滅は解除すべくあるのだから、いっそのこと武器として作ろうとして、デリンジャーは銃として使っているのにそこから魔術として無声映画が出る形式を作った。
だから、そもそもの絵が描けないだとか、絵の首がつながらない問題で、今どうなのか、日々の鍛練をするのだ。
フォームワームのドブロクが、ショッピングモールとなっている今、そう毎日同じことはしていられないが、究極の話題についていけない分、私は白亜を続けられるので、白亜であることはやめない。
ウォーズをしていればウォーズとして生きれるのは確実だから、ウォーズを目指したいが、なかなかうまくいかなくて、乾電池の中に隠れるので、今は、精一杯だ。
ただひたすら、戦っていれば生き残れるし、戦争は私を、受け入れてくれる。
兵器の中に隠れていれば、全てが失われたを乗り切れる。
「うん」
とにかく、頑張って生きて行こう。
「サンドリアリーフが白亜のスキャンティとなった」
「サンドリアリーフのお茶で雫を飲むことが流行するようになった」
白亜の問題が出たということが起こり、私はプラントに出張することになった。
私はベルファイアに乗って、チベットを目指した。ずいぶんと長旅となるが、滞りなく旅は終わり、私はチベットに到着した。
マフィアのチベットのギルドに配属された私は、シーザーのプラントで働くこととなった。
プラントとは、星からエネルギーを吸い上げて、各種公共機関の動力源とするもので、時折、見かける施設だった。
「プラントが暴走すると、天使の姿が現れることがあるんです」
真しやかに囁かれ、私は、呆然と頷いた。
プラントのロビーに「わたみ」のマッチが籠に積まれていたので、
「無料配布?」
と、思って、マッチを取ってもって帰った。
プラントの仕事の概要はこうだ。
「貴重品がシイタケになったから、幻のシイタケを倒してほしい」
とのことだった。
敵対プラントの争いで、シイタケ置き場にされたことから、シーザーのプラントの負担が大きくなり、幻のプラントはシイタケをもってないのに、好きなシイタケばかりとるから、貴重品が枯れ草になって、プレミアが責任を取ろうとしないから、プレミアがプラントをもたないのだと言う。
だから、ファイナルステージ扱いされた私が、幻のシイタケを倒せば、シーザーとは無関係に私だけが儲かる。
プラントは一時的に外部を入れて、すぐに閉じるしかないような問題が起きただけだ。
「幻のシイタケとは何だろう」
と、聞くと、施設があると案内された。
何がシイタケになったのかと言うと、アニメの世界は物質界にあるが、そういうアニメの顔、アニメの身体、アニメのデザインの世界とは別に、なりそこないのアニメの溜まり場があるから、調停というか、倒してほしいとのことだった。
フォームワームの時みたいに、本物の古代兵器ではない、死体から飛び散った小さな塊みたいなものが、集まっていて、そういったものがなりそこないだった。
私は、試験的戦闘を行うことになった。
私は、シイタケの施設の中に入り、戦闘準備を開始した。
プラントの中で戦闘があることは、マフィアに聞いていたので、私は愛用のマスケット銃を抱えて、中に入った。
ボーンボーンボーン
柱時計の鐘のような音がして、部屋の扉が閉まった。
ギルドの仲間は他にもいたが、一人一人の採用試験のようだ。
私は一人で戦闘に挑む。
広い空間だった。まるで銀河の中に立っているかのような気がする。
これはもしかして、プラネタリウムのような装置を使っているのだろうか。
低い轟きがあり、空間が震動する。
「思わない」
と、いうくぐもった声と共に、巨大な闇が飛来した。
私は即座にマスケット銃を構え、防御魔術を展開させる。
思わない闇は、空間を圧迫するように通り過ぎた。
すると、何処からともなく、アニメの顔、アニメの身体、アニメのデザインをした人間が現れた。
「ロザリオルームマヤディメンション」
アニメの人間が、思わない闇に向かって放った。
一条の閃光が、弾丸のような速さで闇にヒットする。
すると、わらわらと人だかりに囲まれた。
アニメの人間が、口々に文句を言う。
「マヤが下品になったから」
「腐れ」
「飛ぶぞゴミ」
一体、何人いるのだろうか。
私が、呆然としていると、アナウンスがかかった。
「幻の破壊を許可します。いかなる手段を用いてもいいので、全て破壊して下さい」
「うん」
私は頷いた。
私はマスケット銃を構えて、アニメの人間に向かって撃った。
ブゥン
と、いう音を立てて、簡単にアニメの人間が消えた。
すると、たくさん集まっていたアニメの人間の集団が一斉に私に振り向いた。
「人殺し」
「やめろよな」
「たくさんいる」
口々に叫んで、アニメの人間が戦闘態勢に入る。
ある者はロボットを呼び出して乗り込み、ある者は変身してヒーローとなり、ある者は鎧の剣士のまま武器を構えた。
すると、空間が肥大化し、多種多様なアニメの世界を構成する。
色んなアニメが大集合。豪華キャストでお送りします。
こう、テレビで放送されそうだよな、ヴァーチャルだけど。
「まっ」
とにかく、全て破壊しなくてはならない、と。
ごった煮の動乱の中、華麗にアニメの人間が必殺技の応酬をする中、私は流れ弾を回避しながら、戦っていた。
何故、流れ弾なのかというと、話題の中心が私ではなく、別人で、アニメの人間同士が揉めているだけだからだ。
色んな言い分があるなあ、と、思いながら、無感動で幻を消していると、私達のいる地点ではない、遥か遠くで何かが強く光った。
建物ほどの大きさがある巨大なガラスのフラスコの中に、何枚も羽根をもつ天使がいた。人間の身体をもち、美しい容姿に白い肌、長い髪を纏いながら、翼を大きく広げ、膨大なエネルギーを溜めて発光している。
私の周囲のアニメの人間の中で、それを気付いたやつが叫んだ。
「現実だ」
その声が終わるか終らないかのうちに、プラントの天使から、膨大な殺傷エネルギーをもつ閃光が放たれた。
プラントの天使にはまともな意思があるのかないのか解らない。
何の音もしない。
消滅の瞬間のように、全力で力を振り絞り、裁きの閃光を飛ばした。
すると、アニメの人間の中で標的にされた存在が、消し飛んだ。
プラントの天使が次々と閃光を放つ。
次第に空間が崩れだした。
私は、空間自体を破壊しなくてはならないらしい。
このままこの場に突っ立っているだけでは、私も空間の崩壊に巻き込まれる。
「うん」
特殊な事はいらない。空間魔術を使えばいい。
私は空間魔術を展開させ、魔導を開いた。
破壊しなけれならないとされたのなら、そもそも空間にほつれがあるはずだ。
「あった」
私はそのほつれに向かって、空間崩壊魔術を放った。
すると、空間が割れ、不気味に崩壊していく。
私は、防御魔術の中で、空間が崩れ去るのを待つだけだ。
しばしの震動の後、シイタケの空間が跡形もなく消えた。
私が感慨をもつ間もなく、アナウンスが告げられる。
「お疲れ様でした。結果は後ほど、ご報告します。部屋から出て、エントランスにてお待ち下さい」
私は頷いて、部屋の外に出た。
試験の結果は、合格だった。
定期的に、シイタケの処理を頼まれるだけの仕事らしい。
私は、チベットにマンスリーアパートを借りた、長期の仕事となる。
実は、このプラントは無人であることを私は知っている。
魂には色々な種類があり、他の種類が原因で、自分の世界なのに制限がかかることがある。
それにより、自由に使えなくなった場所が出来る。
こういったものが、他人の管轄とされるが、その他人ですら、いらない土地になってしまうこともあり、チベットのプラントはまさにいらないことによる無人の土地だ。
理想の国民の研究所が原因で、全員が一瞬になれとして動けなくなったら、プラントに回される場合があるが、そうやって、意識が無い魂ですらも研究所の権利であることにされると、本当に入れない土地が出来、無人の人間が住んでいることがある。
その無人の土地ですら研究所が権利をもって、理想の国民の世界とされていない私達の世界ですら、このように処刑日の国が出来てごちゃごちゃしているから、その中の無人の土地は、私達にとって自由になるために解除すべきである土地となる。
「サンドリアリーフが白亜のスキャンティ」というのは理想の国民の世界の取決めで、私達の世界の取決めではなかった。
だから、私達は私達の世界の中で解決することとなったのだ。
だから今、私達の世界の中の無人の土地にいる。
さて、フォームワームの時のように、何かを解決しなくてはならない。
今回は土地なので、歴史の時のようなややこしさは無さそうだが、プラント自体が理想の国民の研究所なので面倒だ。
されど、無人。手立てはある。今までのように。
擬似的とは言え、共存と似たように世界を作らなければ、過去に本当に共存にいた時の呪いが解けない。
私は、理想の国民の研究所が嫌いだ。
ちなみに、アニメを作って人間がやる形式はあるんだが、本当にアニメでしかない姿でアニメになる世界を作ったのも別人。
頼まれることがことごとく、なりそこない、なので、たいした影響は無いだろう。
私は、シーザーのプラントでシイタケ退治を行い、そういう生活にも慣れた頃、色々と顔見知りが出来た私は、プラント見学をすることになった。
案内人に連れられて、施設の中を歩いていく。
施設は近代的なビルで、リノリウムの床だった。
係員のオフィスであるステーションを通り、エレベーターをあがる。
イメージは、病院に近い。
案内人が、
「精を見ますか?」
と、言うので、私は従った。
ガラス張りの広い部屋の中に、美しい植物の楽園が広がり、天上の絵画のように区画を埋めていた。
ガラス張りの広い部屋は、いくつかあった。
似たような部屋の造りをしている。
ガラス張りの広い部屋の中に、アルビノがいた。
色素が薄い人間で、透明に近い白い髪と肌色がほとんどない白い肌と、赤い瞳、皆一様に無言で、あまり動かない。
「プラントから取れた偽物です。お手を拝借」
案内人が言うので、
「いや、けっこう」
と、断った。
「放っておくとアルビノになりそうなので、捕まえました。皆、病弱ですが、病弱は偽物なので、病気にはかかりたくないものです」
案内人が呟くので、私は言った。
「もう、アルビノなのに、アルビノじゃないんですか」
案内人が呟くので、私は言った。
「もう、アルビノなのに、アルビノじゃないんですか」
案内人は怪訝そうな顔をしたが、遠くを眺めて言う。
「戦場の幻ですよ。皆が住みたがらない。当分、廃棄です」
私は言った。
「解りました」
私はビルを抜けて、プラントのほうに向かった。
案内人は私の前を歩いているが、途中で商人と出会い、商人と何事かを話している。
私は、その後を、ついていった。
そして、プラントに辿り着く。
見事なプラントだった。巨大なガラス張りの壁に、人がたくさん並んでいる。
居丈高な商人が、告げた。
「わめけ」
すると、ガラスの中の壮大な人数が笑った。
「ぎゃはははは」
「来んなよ」
「うぜえ」
「あはははは」
「どうせ廃棄なんでしょ?」
「やめようよ、もう」
空間が騒然となって、まとまりがつかない。商人は、
「やめろ」
と、言った。
「結局、汚いんでしょ」
キングに向かって、青年が人差し指を突きつけながら、言った。
「廃棄」
同じ青年だった。
ガアン
と、けたたましい音を立てて、ガラス張りの部屋のシャッターが閉まった。
案内人は言う。
「失礼」
商人はうずくまっていた。
突然、暗くなった通路の中で、案内人が言った。
「先に進みましょう」
カツカツカツ
足音を響かせて、三人は進んだ。
「時に、メールは打ちましたか?」
案内人が言うので、
「止めました」
と、商人が言い、
「打ってますよ」
と、私が言った。
すると、苦々しい顔をして、案内人が言った。
「嘘ばっかり」
しばらく歩いて行くと、巨大なフラスコがあった。
ガラス張りの何とかの精の部屋と同じような景色が、フラスコの中に広がっている。
天使が入ってるわけではないのかあ。
「プラントです」
と、案内人が言った。そして、続ける。
「実は、このプラントの社長の娘さんが、取り組んでいることがあるんです。プラントはエネルギーが貯まると、人型になり、天使が現れることを知っていますね。プラントになる天使があまり発現しないので、人間として現れるようになればと思い、プラントの中に人間の異性を入れて、会わせているんです。交流している様子は伺えますが、その女性と会ってみますか?」
誰に言っているのだろう。私か? 商人か?
私が返事をする間もなく、誰かが私達が通ってきた道を辿って歩いて来るのが見えた。
少女だった。
一緒にいる男は、社長だろうか。
「代表取締役のうちの一人で、名前は無関係です」
案内人が言う。
少女はプラントに近付いた。
すると、プラントの中に天使が現れた。天上の楽園のような環境が全て天使に吸収され、人型となり、何枚もの羽根をもつ男性となる。
天使は、言葉にならない声を上げて、膨大なエネルギーを放出し、それをまといながら、巨大なフラスコの中で動き出す。
重力でもあるのだろうか、緩慢な動きで、筋力を活性化させてもなかなか少女に近付けない。
しばらく待って、フラスコのガラスの近くの少女に天使が近づき、出ない声を振り絞って、何かを語ろうと口を動かす。
その天使は、裸だった。
股間が、勃起していた。
少女は天使を見て、口元をほころばせて笑った。
母の微笑みだった。
「娘さんは、プラントの子供を宿しています」
案内人は、居丈高に告げた。
色々な説明の後、私はプラント見学から解放された。
プラントの広い構内を散歩し、ベンチを見つけたので、私はベンチに腰を下ろした。
「朝が子供を生みたくないから、廃棄だね」
今日、見たことはただの望みだ。無人だったのに、出来ないから続けて、巻き込まれる。
誰にでもやるのか? あれは。
プラントが丸ごと偽物となった今、理想の国民の研究所にはこんな風になってまで異性を求めて本当になるやつなんて、そもそもいなくて、
「皮肉だね」
と、言いたかった朝までやめたから、成り立たない。
「ランプにしてえな。こういうの」
私は呟いた。
私が煙草を吸いながら、ベンチで休憩していると、人が通りかかった。
「シーザーにインペリアル返す」
若い男に、少女が近づいて、何かを渡した。
プレゼントか何かだろうか。
私はおもむろに立ち上がり、その場を離れた。
「おいおい、イグアナ、そりゃないっしょ…」
私は呟いて、空に投げた。
自宅に戻った私は、ベッドに寝転がりながら考えた。
今日、見せられた光景は、面倒な業がかかっている。
何故、見せられたのかの解明をして、何でアニメなのかを解かないと。
私は目をつぶり、眠りについた。
「価値があると思ってる魂の気がしない」
が、原因で、王様と市民兵が殺された。
「価値があると思ってる魂の気がしない」
は、市民兵だった。
しかし、市民兵は人狼だった。
「汝は人狼なりや」
に、市民兵は、かけられた。
皆が同じに見えた。解らないから相談した。そう思ったから、そいつだった。だから、そいつが人狼だった。
時が経ち、王様と市民兵が同じ敵に立ち向かう共闘者となった。
「価値があると思ってる魂の気がしない」
が、敵に倒された。全てを失う、一瞬にされた。
命の灯が消えそうになったその時、市民兵が、
「返す」
と、王様に言って、
「託した」
ドラマを仕切る統率者が、ややこしい。
解らないので、決めた。
同じなので、単純だった。
なりそこないだった。
なるべく、違う考えを退けようと離れたら、中途半端に似てる環境になり、住みたい世界になおすために、更に闘う者達となったのが、私だ。
白亜の世界は、真裏の世界。三百六十度地点の世界。
共存が魂の病気とすると、元の存在になるために共存をもたないといけないのに、共存が白亜をいらなかったから、影絵になった。
白亜は仲間以外の周りが白亜をいらなくても、何かから、まとめて全てを守ることが正しいと思っていた。
だけど、白亜が嫌いな周りが嫌いだった。
だから、なりそこないが皆なら、なりそこないのフォームワームの魔術で他人が死ねばいいと思い、なりそこないのフォームワームが出ない世界にしなかった。
すると、なりそこないのフォームワームに勝てない侵略が、来なくなった。
行けない土地は侵略の名残り。
名残りは、フォームワームかもしれなかった。
私がシーザーのプラントで、アニメを壊して、一端、休憩を取ろうということになり、ロビーで休んでいると、ロビーにあるテレビでニュースが流れた。
「エデンの聖剣伝説接近中」
と、いうテロップに、私はニュースに注目した。
「男しか住んでいないエデンの聖剣伝説から、鎧が完成したので、エデンを求める美男子が聖剣伝説に選ばれることになりました。この報告を受けて、エデンは、自分ではない聖剣伝説が吹聴していると答え、念の為、エデンの聖剣伝説は、マウラの近くにあると、回答しました。この報告を受けたナノコロナ当局は──」
ニュースキャスターが語った。
私は、はっとして立ち上がった。
私は、プラントのアニメ担当者に、一週間ほどの休暇を取りたいと伝えると、人が混んでいるから、半月ほど休めと言い渡されたので、その通りにした。
何だったら、一ヶ月休んでもいいと言われたが、つまり、いくらでも休めるということだろう。
これでクビかもしれないが、それはそれで、構わない。
私はベルファイアに乗って、自宅に戻り、パソコンでプラント周辺のダンジョンを調べた。
このプラントの地形を見るために何度か地図を見て、ひっかかるダンジョンがあった気がしたのだ。
「あった」
ハルブーンだ。
チベットの中には、市街地戦として活動している街があり、市街地戦を始めるために準備をするダンジョンがある。その街とダンジョンの名前が、ハルブーンだった。
ハルブーンの市街地戦は、自警団の活動が主だが、自警団によって何となく解決をしている場所でも、マフィアのギルドがあるのなら、クエストが出来るのは確かかもしれない。
私は、マフィアのギルドに連絡をした。
すると、ハルブーンの自警団は自由に冒険者が参加して、市街地戦をやっているから、参加が出来ると言われた。
「うん」
では、自警団に掛け合ってみようと思い、電話をする。
すると、
「ダンジョン自体の出入りは、自由です」
と、言われた。
レベル上げの冒険者パーティや、冒険の阻害をしないために、極力、自由に解放されているようだった。
何故、私がハルブーンに目を付けたかというと、
「春を売る」
ことによって、ブゥンと消える夢がハルブーンとされているからだった。
あれだけ他人の夢を壊していたら、何らかの影響が出る。
だから、目星をつけて、プラントが終わったらやろうと思っていたのだ。
また、白亜だからと理想の国民扱いされては堪らない。
私が、かつて、読んだ本がある。
天使の話だった。
世界が滅ぶということが起きた世界。
その瓦礫の山に、真っ白な天使が現れた。
その天使は純粋無垢で美しい容姿をした男で、天上の位がある重要な役目のために、滅ぶ世界に降り立った。
そこで、ホームレスとなって人を集め、強く逞しく生きる少女に出会った。たくさんの子供を抱えたまだ未婚の女性の近くに、黒い天使の男がいた。
その黒い天使は、白い天使のかつての仲間だった。
黒い天使を天界に連れ戻せという命を受け、白い天使は黒い天使を、見つけた。
そして、白い天使の、かわいらしさ、に、黒い天使の心が浄化され、天界に帰ることになった。
白い天使は黒い天使を「愛して」いて「男同士なのに」と、何度も意見交換があり「子供が生めない」ことが問題とされた。
しかし、白い天使と黒い天使は、女性に誓った。
「例え、子供が生めなくても、愛し合う」ことを。
本は、そこで、
「めでたしめでたし」
だった。
だが、子供が生めないということは、発生出来なくなることで、プラントにされた天使が、あのように少女を求めた先が、あの世界だとすると、天使というものは、どうなってしまうのだろう。
周りで、他人の夢を壊す仕事についた私に、こういった業がからまって、男しかいないエデンの聖剣伝説が来たということは、何かある。
それにしても、何故、女がそれほど嫌われたのか。
私は考えた。
鎧という素材は、大抵、金属だ。
だから、世界が滅ぶことから守ろうとして義足を作ったりするが、金属の義足だったこともあったらしい。
「全員が偽物なら、三位だったら取れる。ブロンズだから」
と、いう名乗りの元、あの外灯盤の善と悪にこだわる領主が何かしていたような。
「あれ?」
女が関係なかった。
魔導でも見たかな。
「ア・イ・シ・テ・ル」
で、あれだけのことがあったということを考えると、何か大変な気がするんだよな。
プラントの中の天使と、少女の話。
案内人に見せられたものだ。
プラントの中の天使が、あるいは私のような魂の存在だとしたら?
「そんなまさか」
と、思いたい。
とにかく、ハルブーンに行こう。
私は、旅支度を開始した。
旅支度が滞りなく終わり、私はベルファイアでハルブーンに向かった。
その途中で、私は山道に入った。
狭い山道だなあ。
ガソリンは満タン近いから大丈夫だけど。
対向車が来ても、すれ違うことくらいは出来そうだ。
私がラジオをかけながら進んでいくと、前方に人が立っていた。
その人は手を挙げて、
「すいません」
と、言うのがガラス越しに見え、私が通り過ぎると、追いかけてくるのがバックミラー越しに見えたので、ベルファイアを止めた。
ウィンドウは、少しだけ、開いている。
そのため、声が聞こえた。
人が歩いてきて、私の運転席の近くで立ち止まる。
その人は、街への方向を知りたいようだった。
私はカーナビで地図を調べた。
「近くの街は──」
私は、口頭で説明をした。
すると、その人は、お礼を言って、指をさした。
「あれ」
指さした方向に、巨大な黒い影があった。
あの影は何だろう。
「車を追ってたみたいですけど」
その人は言った。
私にそのことを教えたかっただけかもしれないと思い、私はベルファイアから降りた。
「それじゃあ」
と、言って、その人は去って行った。
私は、戦闘準備に入った。
ベルファイアの助手席からマスケット銃を取り、後部座席のドアを開いて、何を使おうかと、考える。
そして、黒い影をちらちらと見ていると、黒い影がディザ合成されたように、一粒になりまばらに分解して消えた。
「あれ?」
何だったんだろう。
周囲を見ても、何も無い。
私は、ベルファイアに乗って、先を急いだ。
私は、ハルブーンに到着した。
適当な宿を選び、荷物を置いた。
お腹がすいたので、店で食べた。
「うん」
ハルブーンに到着しただけでも、良しとしよう。
私は、休んだ。
昼夜明けて、ハルブーンを見て回ったり、自警団に行ってみたり、ギルドに行ってみたりと、色々活動をして、ここがどういう仕組みなのか、解ってきた。
ハルブーンの市街地戦とは、ギガース族というモンスターの野営地から、人間の市街地へギガースが入ってくることで、ハルブーンのダンジョンの封印が解けやすくて、街に入ってくるのなら、日時を決めて街に入れて、戦争を行おうという試みで、ハルブーンに来た冒険者に手伝ってもらうこともあるのだと言う。
自警団の大将が、また、おもしろい人で、と、いうのは、別の話。
私は、楽しく交流したよ。
何でハルブーンの封印が解けやすいのかというと、ギガースが鏡をたくさん使うからで、鏡を割りに行かないと、市街地戦として決められた日以外でも、野営地から街に入ろうとするのだと言う。
冒険者によって、鏡が勝手に割られていることもあると、視察の人が言っていたと、自警団が話した。
自警団の人は全員お仕事があるので、市街地戦以外は手伝えないのだと言う。
その代わり、割と自由なので、何かがあったら報告して欲しいと言っていた。
私はハルブーンの図書館に、向かった。
ハルブーンの図書館には、エデンの問題の書物がたくさん置かれていた。
私は、その書物を手に取り、読み進める。
エデンの体組織大図解とかいう本だ。
絵がたくさんあって読みやすそう。
エデンは古からの人間古来の身体を保ち、容姿端麗で、女の子を守るために活動をしている。
聖剣伝説とは人と人との交流の世界で、やましいことなど何も無いと言いながら、日夜、男をはべらせ、後ろの穴での性行為を行い、城に捕まった数少ない王女達のためにヤラセを行っているのだ。
理由は「かわいいから」
エデンの聖剣伝説は人さらいで、女を徹底的に呪って、女がいない状態になったら、男を天使に変える。
「うん」
しばらく資料を読んでいたが、色々と思うところがある。
何か、何があったとしても、誰も困ってなかったりするんだよな。
「白亜がエデンだった」
とか、言い出すやつが現れたりするし。
自分の世界で暮らせなくて、困ったやつが、実は住んでたりするけど、マウラではさすがに自由に動けないだけだから。
皆が皆、本来の姿や現実を見ないで、勝手に他人を決めつけるけど、そうなって欲しいっていうのなら、それでいいわけで、世界に入るための空間に、特定の対象と決まった他人がなってほしい白亜の空間でも置いておけば、白亜の世界に入りたくても、そいつがなって欲しいと決めた他人の世界に行くわけだから、他人の願望通りのイメージは便利なんだよな。
私のマスケット銃って、小石拾いと同じなんだよ。
小石拾いはゲームなんだよ。
だから、マウラとしてあるここをなおした私の天があるけど、その天に住んだまま落ちてないことにするために、ゲームが物になって人間になって、かつて全員で共存になった魂の傷のマウラで活動しているわけだから、何があっても、結局、私の天のゲームの中での活動になって、天に帰れるんだよな。
人間が作ったアニメ自体になる世界って、ただの管理失敗だから、管理失敗がシイタケになるとか、服についた泥になったとかで嫌がる誰かが、アニメをシイタケにしただけなんだよな。
「うー」
まあ、テレビでも見るみたいにぼーっと他人を眺めてればいいんじゃないの。
「全員が最低だと思ったからこうしてやった」
みたいなやつが、大抵、エデンの聖剣伝説みたいな変
な世界を作ったりするから、巻き込まれなければいいんだよな。
つまり、私がゲームだとして、アニメを壊したとしたなら、同じ創作物としてイメージの破壊をやったけど、他人のプラントで人間としてゲームが入ったというだけで、アニメに人間が勝ったわけだから、一時的に人を雇わないといけない理由ではクリア。
私と同じ体組織をもっているのに、細い管で刑罰とすることを知ったから、エデンが近付いた理由もクリア。私の世界は、尻は糞を出すところで、糞を男女の絆にするようなことはしないから、罪が無いということで、巻き込まれただけ。
スキャンティのところな。
ハルブーンに鏡割りがあるということは、鏡が何なのかということになる。
鏡面によって左右非対称の同一が同じ動作をして双子となることがあるから、その制限の解除か何かだろう。
マウラは三百六十度だから、鏡面ではないが、並んだ同一とされる点が多いのは確かで、点によって左右非対称の表現でも行えば、跳弾の結界のように同一を成すことはある。
ハルブーンのダンジョンはどうなってるんだろうな。
「敵が強くて倒せないことがあるので、注意」
と、言われた気がする。
知覚遮断の薬が、アイテム屋で売ってた気がする。
モンスターに感知されずに、ダンジョンを動けるアイテムがある。
それを購入してもっていこうか。
マフィアの支給品で、そういうのあったかなあ。
そう思いながら、私は図書館を出て、街を歩いた。
街の中を歩いていれば、デパートやセレクトショップみたいに、アイテム屋が通りに並んでたりするかもと思い、私は、ウィンドウショッピングを開始する。
何ということは無い。都会の大通りと似た道路だ。
片側二車線の国道が真っ直ぐ通り、四本の列を成す。強い日射しにあたためられたアスファルトがじりじりしている。
国道の両脇にある歩道の片側を私は歩いていた。
街路樹が点々と並ぶサルスベリの通り。
都会らしく大きなビルやショウウィンドウのお店が多い。
今日は、ベルファイアに乗って移動しているわけではない。
何となく、外を散策したくなって街を歩いている。
しばらく歩いて、アイテム屋が見つからないので、私は店に入った。
ドリンクでも飲もうかなと思って、その辺のカフェに入った。
私はレジでコーヒーを注文し、サンドイッチみたいなものを選んで、客席に座った。
大きなテレビがあるカフェで、喫煙席と禁煙席があり、自由席があるらしく、自由席のほうにテレビがあるが、あまり音は聞こえない。
自由席の中で、煙草を吸っている人がいたので、私も自由席についた。
自由席ではテレビの音が聞こえるんだな。
私はライターで煙草に火をつけて、煙を吸い込んだ。
「ふーっ」
何か落ち着く。
私は、コーヒーを飲んで、ぼーっとした。
テレビを何となく見ていると、速報が入った。
まるで地震でも起きたかのようにテロップが流れる。
人が飛んだらしい。
エデンの聖剣伝説に呼ばれる理由がある男の魂が大量に身体から引き抜かれ、それによって、人の身体まで、屋根高くに昇り、そして、地面に落下したとのことだった。
付近の住人には重力のような圧力がかかり、飛んでも飛ばなくても、苦しい万力があったらしい。
どうやら、諸外国のイタリアから、
「返す」
と、いう釈明があり、エデンの招集の起点が、イタリアから別の国に移されたとのことだった。
「うん」
返す、ねえ。
私はサンドイッチを食べながら思った。
「うーん」
サンドイッチを食べているとこういう情報ばっかり見るような。
これだったら、カフェや喫茶店ではなくて、マックのほうがいいよな。
ファストフードだったら、店内にいなければ、もち帰りで、邪魔されなさそうだし。
私はカフェから出た。
そして、再び、街を歩いて、アイテム屋を探した。
社会が無くなって、学校が封鎖されて、それでも一応あるところを使っているが、私は戦士だった。
戦士が一番自由で、使いやすい。
世界はあるのに、この状況だし。
だけど、人が来ることがあるから、世界の中に、人間として、創作物の世界を作り、その人のもちものだから、学校のクラスとしてはめ込んで、創作物の生活を人間のままさせたら、すごく喜ぶ。
理想の国民の世界が、人間のまま、創作物の世界を作らせないだなんて、知らなかったな。
だから、ああやって、アニメを壊したら、何かの縁で、人が来るかもしれないが、創作物の世界の中でも負担が少ない趣味の世界だったら、クラスにすることが出来るから、何か本人のこととかどうでも良くて、昔作ってた創作物の世界をクラスにしてそこを世界に来た魂の住所にして、そのまま放置した。
携帯小説くらいだったら、人間のまま小説の暮らしをさせることくらいは出来るんだよな。
フォームワームは本来、人間の身体の構成元素一粒に至るまで世界となった集合体とされていて、その全てが腐ってなりそこないになったのがあの奇形で、フォームワームの名前は分類名だ。
だから元の魂の大きさから、構成元素一粒まで細かく世界となり、全てに溶け混じって、小さな幼虫となったが、そこから本来の魂とフォームワームを切り離す手段があって、無から有となる成り立ちの星が集まった世界の銀河の特異点を通って、特異点を全て破壊したら、フォームワームの存在が負けて、呪いが消えるということだ。
私が回収したのは、フォームワームにのまれた他人の魂ではなくて、奇形として残ったフォームワームでしかない存在のほうだが、そのフォームワームを解体しても、人間が出るが、その呪いにかかった対象の全てがその人間に集約されることにより、呪いを壊すために、呪った人間の全てを殺さないといけないなら、フォームワームから取れた人間で、構わないというものもある。
ありとあらゆる段階があるが、そうした本人ではない呪いの品をありとあらゆる状況にはめ込むことで、特定のドラマを作り出すことは可能で、結局、マウラにあるものは私のもちものだから、私なのだ。
あんまり気にしてはいなかったが、創作物で色々なことがあることは、私の世界で、人間のまま特定のドラマが出来るだけで責任が取れてしまうものらしい。
ならば、いつも通り、丁寧な対処を個人的に行うとしよう。
私は、あまり構われるのが好きではない。
好きなように生きていければ、それでいい。
私は街の中を歩いて行った。
しばらく見て回ると、アイテム屋を発見し、中に入る。
そして、ダンジョン用の感知されない薬品を見つけて購入した。
色々と便利そうなものが売っていたので、選んで購入する。
「毎度あり」
と、店主に言われて、私は会釈をし、その店から出た。
私は、ハルブーンの丘の上にいた。
街を一望できる高台があったのだ。
そこには、石碑が建てられていた。
エデンの人間の魂を引き抜く招集は、各地で起きていた。
何も起きず、何も壊れていないように見せかけて、危機だった。
「鎧が完成した」
と、いうことは、マウラは三百六十度の真裏ではなく表だったとして、理想の国民の世界と同一の呪いによって、皆に一瞬になったと言うかもしれない。
ならば、その鎧を壊すことが出来ればいい。
そのために私は、魔導を探っていた。
理想の国民で、選ばれし創られた者がいた。
創られた者が本物だから、人間は人間以外になった。
人間以外になった人間が、理想の国民を創り、選ばれし創られた者がいた。
最初の理想の国民が表で、後が裏。
表が、裏を、堕胎で解決しようとした。
表と裏で完璧になったけど、裏はいらない。
そのために、人間以外になった人間に、表が灯籠を立てた。
理想の国民を創るために使ったのは、愛の創作物だった。
愛は食べ物で、水ではなかった。
だから、水が刃物になれと、食べ物から水を抜いた神と、下界に落ちない神の創作物が同じになった。
創作物から作られた理想の国民に、水が無くなった。
灯籠は火だったから、燃えゆくばかり。
火を消そうと水をかけたら、刃物でズタズタになった。
そして、光が消えた。
何故、丘なのだろうと考える。
白亜は、白亜紀であって、人間ではない。
水に縁があるかと考えたら、それほど縁があるわけでもなかった。
ハルブーンのような光の差さない街に滞在し、日時は経過しているが、ダンジョンにも行かず、市街地戦もやってはいない。
愛の創作物が、黄色のワビサビ色のボールを金属にして雫として飲んだから、誰も金属を拾えなかった。
水が無いなら、流し続ければいいと、いらないものを細い管で流し続けたから、身体からどんどん抜けていく。
エデンの鎧は、本当は、嘘。
愛の創作物の人間が表と裏で閉じられたのに、いらないものを細い管で流し続けていいのだろうか。
──止まらない──
そう、止まらない。
水を刃物にした神は、人の発生を禁じ、理想の国民として作られたら全てが消えた銀河すらない無の中で魂の形ももてないのに意識があるまま、天界の自分から作られた理想の国民を眺めろと命じた。
下界に落ちない神と同一になった時のように、愛の創作物が水を刃物にした神と同一にすれば、理想の国民のモデルは全て水を刃物にした神になると考えた。
そこで、水を刃物にした神は、愛の創作物の隙を見つけた。
男同士の恋愛が、愛の創作物だったことにすれば、男女の恋愛は、水を刃物にした神のものになる。
水を刃物にした神は、皆が金属を拾えないことに目を付けた。
だから、エデンの鎧になりすまし、ネキの細い管を切って、殺人者の点滴に変えた。
水が飲めないなら、殺人者を飲めとして、雫にした。
すると、ある神が倒れ、その神も倒れ、カマキリになった。
甲殻類なら鎧だからと、世界の接着剤にした。
そして、聖剣伝説となった。
だから、エデンの聖剣伝説なのか、水を刃物に変えた神の聖剣伝説なのか、見分けがつかなくなった。
愛の神が塔を建て、人を呪った。
──呪いが理想の国民のモデルとなった──
貴重品が落ちた音がする。
自動販売機に負けて、枯れて、流れたら、点滴だった。
イタリアに何処かの王女が嫁ぐらしいだとか、天から干からびた人間が降ってきただとか、なんだか世間が騒がしい。
私は、テレビを見ながら、マジックで何かを書いていた。
すると、干からびた人間についての報道が流れた。
干からびた人間は、天空島に幽閉された大臣だった。
聖剣伝説の世界で、若かりし日は名を上げ、勇猛果敢に活動をし、男しかいないのにも関わらず、数少ない王女のうちの侍女と結婚をしたが、横領の罪を着せられ、天空島に幽閉された。
どんなに拷問を受けても死ねない大臣は、天空島で奴隷のように働いたが、女を守るために侍女が王室に嫁ぐこととなり、大臣は天空島からプラントに移された。
「侍女を守りたいなら、天使となれ」
と、命じられた大臣は、プラントでフラスコの中の天使として作り変えられるべく研究所に捕まったが、なりそこないとして、機械の身体の殺人ドールとなる。
代わりに侍女がフラスコの天使となり、魂を吸い上げられると鎧とされ、人と人との交流がうまくいかないなら責任を取れと言い渡された。
(煙草が事件なので煙草のシーン)
(男エキス女エキスの部屋)
侍女は天使のまま人の前に現れ、活動を開始した。
侍女が、
「子供を抱いてください」
と、老婆のようにすがるのは、
「死ねないからだ」
と、糾弾され、大臣に責任を追及したところ、
「俺の女じゃない」
と、断ったので、
「全ての鎧が断った」
と、して、各世界を脅していた。
干からびた人間は、大臣のような男の末路で、神として美しいまま裁いているのだから、そのような男がいる限り、神は裁きを続ける。
なりそこないの天使は、細い管から排出され、随時、交換。
殺人者が雫を飲み、成り立っている。
どうも、聖剣伝説のほうから、報道しろという用命があり、放送することになったらしい。
続いて、ニュースが流れた。
草原の線路にて、事故発生。
何も無い草原の上に、女性が寝転がっていて、列車がはねてしまったらしい。
ばらばらに飛び散った死体と、列車のガラスの貨物車が事故の損害となった。
私はハルブーンで市街地戦に参加し、そのまま過ごしていたところ、プラントに休暇を出したままなことを思い出し、連絡をした。
すると、やはり、クビとのことだったが、電話番の機嫌が悪いのか、こんなことを言われた。
「おたくと一緒に来た同僚が、列車で自殺するもんだから、こっちも困ってるんだよ。プラントの問題、解ってるよね。天使! 天使だよ!! 聖剣伝説が迫ってんのにさ。あんたはクビだけど、自殺ばっかりするようなやつ、送らないでくれる?」
私は、平謝りして、電話を切った。
そうしたある日のことだった。
私はワイン一本のために、賭けをすることになった。
私が市街地戦に参加した後、不死の酒があるという噂を聞きつけ、店に足を運んだら、その店主が、
「不死の酒はやらないが、一本しかない酒ならやる。条件は、ギガースの鏡を割ることだ」
と、言われた。
ギガースの鏡を割ることによって、ダムの里のかがり火が一つ消えるそうだ。
ダムの里のかがり火が一つ消えたら、その里は幻だったから、里が消えて、人が動けるようになるらしい。
私は、その賭けに乗った。
ハルブーンのダンジョンの大広間に鏡があるという。
決して壊れない鏡で、周りの小さな古鏡と違う上等らしい。
「そんな壊せない鏡を壊すって、どうしたら?」
と、聞くと、
「召喚獣を使って、アニメでも起こせば、人が死ぬ。人が死ぬから、人が動く。古鏡の幻で出来た里なんか壊してしまえば、ギガースだった名残りが消える」
と、店主が言うので、
「あっ、ギガースがおとなしくなるんですね」
と、私が言ったら、
「意味が解らない」
と、店主が言った。
もう少し、賢そうなことを言えば良かったと、私がうなだれていると、店主が言った。
「部屋の壁に気を付けろ。鏡がある。エンジェルハウリングってやつさ」
「あっ、プラントのことか」
「正解」
「細い管が人間にされて、殺人者しか雫が飲めないということは、干からびるから、アニメのまま活動しても、生まれたいで下品にされる」
「うん」
「解りました」
下品は廃棄で管の中に逆戻りだから、管の中から取るために、幻を倒すかあ。
私はベルファイアに乗って、ハルブーンのダンジョンに向かった。
私は召喚士ではないので、デリンジャーを何丁かもってきた。
街の道路を通り、山道に入り、岩地に入り、どんどん進んでいくと、ハルブーンのダンジョンが見えてきた。
私はダンジョンの近くにベルファイアを停める。
私は愛用のマスケット銃を抱え、デリンジャーを入れたホルスターをいくつか腰に巻いて、ガンホルダーをつけて、ダンジョンの中に歩いて行った。
前に視察をしに来た時は、感知されない薬を使っての観察で、そのまま出たが、ギガースはそれほど多くなかった。
私は、警戒をして、中へと進んだ。
ダンジョンの大広間は何処だろうと、地図を確認したがそれほど複雑な経路ではなく、ただ遠かったことを確認した。
微妙に湿った岩地だなあ。
巨大な灰色の岩が周囲を取り囲み、ひたすら続く洞窟だった。
道幅は狭くもなく広くもなく普通。微妙にデコボコしているが、表面はなだらなので、足が引っかかることは無さそうだ。
明るさは、割と明るい。岩の切れ間から日が差し込んでくることもあるが、電気が通っているのだろうか、明かりが点々とある。
歩くたびに銃器が鳴るので、感知されないか心配だったが、ギガースの姿が見えたら薬品を使おう。
私は、道なりに進んでいった。
しばらく歩いていくと、古い木箱が積まれた物置きと、いくつかに分かれて橋がかかる土間を見つけた。
そこにギガースが徘徊していたので、私は薬品を使って音と姿を消した。
すると、不思議と、ギガースが感知しない。
便利なものがあったもんだ。
私は歩いて、橋を渡って、土間を越えた。
また、岩の通路に入り、道なりに進んでいく。
すると、貨車がある部屋を見つけた。
ギガースが貨車を使って、何かを運んでいる。
人も乗ろうと思えば、乗れる大きさだ。
トロッコか。
私は作業の邪魔をしないように通り過ぎた。
大広間はいくつかあるが、用途が違う大広間で、同じような部屋なのに、祭壇があったり、植物が生えていたり、人が住んでいたり、何だか色々だ。
古鏡がある部屋はあるが、そういったところではない。
私は、さらに奥へと進んだ。
水源が流れる通りを抜けて、扉を開錠し、何だか立派な様相となってきたので、私は気を引き締めた。
薬品が切れたら足しながら、ひたすら歩く。
すると、私は鏡の大広間を見つけた。
神殿の礼拝堂の中のように、広く荘厳とした部屋だった。
ギガースが礼拝堂の中に何匹か歩いている。
私は手際よくギガースを掃除すると、部屋の中の鏡に向かう。
ものすごく巨大な鏡で、人の身長よりもさらに高く横幅も広い。
鏡の割に何も映していなくて、近付いても反応しない。
ただの鏡?
鏡を壊せと言うけど、決して壊れない鏡かあ。
試しに、撃ってみよう。
私はマスケット銃を構えて、引き金を弾いた。
パアン
サイレンサーによって聞こえにくい音がして、マスケット銃から高速で弾が飛び出した。
「ヒット」
私は、小さく呟いた。
確かに当たった感じはしたのに、鏡の反応は鈍い。
燃やしてみよう。
私は手の平に魔力を集約させて、火炎球を作って放り投げた。
ゴオオと炎がうなり、逆巻く炎が舐めるように鏡を濡らし、鏡は業火に焼かれた。
きいてない。
じゃあ。
私は唇に手を触って、呪文を唱え、絶対零度の凍てつく吹雪を放った。
カキーンと氷点下の冷気が鏡に集まり、全てを凍らせる。
なんともない。
地鳴りを当てたり、切り裂く風を当てたり、雷を落としてみたり、色々な魔法を試したが、反応が鈍い。
ただ、何も映さない鏡がそびえ立つばかりだ。
召喚獣を使って、アニメでもやればと言っていたが…。
私は、魔導を開いた。
私がここに至るまでの経緯を辿り、ある一点に辿り着く。
私は鏡に向かって、デリンジャーを構えた。
私の周りに魔導が開かれ、部屋中にイメージが溢れ出す。あらゆる人間の記憶、そのダイジェストのような虚像が、動画となり展開される。
私の周りに出たオーラの調子が、すこぶるいい。
私は目を細め、魔導の探索を行った。
鏡に微細なヒビのようなものが見える。
そして、何か赤黒いものが塊となってはりつき、垂れ流しているのが見えた。
私はデリンジャーの撃鉄を弾き、引き金を弾いた。
金色の弾が瞬時に鏡に当たると同時に、溢れ出したイメージが群像劇となって鏡に収束する。そして戦いを演じたかと思うと、空間を斜めに切る亀裂が入り、そこから、巨人が飛び出した。
漆黒の闇の中から現れた巨人は、何枚もの羽根をもち、猛々しい容姿をした美男子だった。ほぼ全裸で、美術品のような造形をしており、神々しい。
禍々しい光を纏いながら、その巨人は両手を広げ、咆哮するように口を大きく広げると、強烈な閃光を放ち、膨大な光の柱が部屋を貫いた。
視界が真っ白に染まる。
私はとっさに目蓋を閉じた。
そして、魔導を展開させ、威力を測る。
巨人の放った閃光は、この部屋に留まらず、四方八方に魔力を放ち、天空に高々と打ち上がった光の柱が、成層圏を突破し、大気圏を抜け、宇宙の彼方まで飛んでいき、激しい閃光を伴った強大な魔力を放つと、星のオゾン層の近くで何かが弾け、包んでいた檻をはねた。
パアンと音が聞こえたかのように盛大に、空気の中から何かの魔力が消えていく。
私はつぶっていた目を開けた。
デリンジャーの余波で、空気がすごく澄んでいる。
うーん。この空気に包まれていたい。
ハルブーンのダンジョンの中なんだから、出ないといけないけどね。
私は、気を取りなおして、鏡を見た。
「あっ…」
鏡から、波動が消えている。
私は足を踏み出し、一歩一歩噛み締めるように進んだ。
そして、巨大な鏡を触り、確かめると、やはり、止まっている。
波動が消えたということは、壊せたのかな?
部屋の中を見回しても、いまいち解らなかったので、一端、引き返して、不死の酒の店に行こう。
私は、ハルブーンのダンジョンを歩いて戻った。
私は、無事にダンジョンの外に出て、ベルファイアに乗って街に帰った。
不死の酒の店に辿り着き、店の人に報告をする。
「おおっ、反応が消えたと思ったら」
クエストは、成功だ。
私は不死の酒の店の人と会話をすると、一本しかない酒をもらって帰って行った。
私は自宅に帰り、装備品の手入れをする。
お酒の使い道は、決まっていた。
私は、一本しかない酒と、ICレコーダーをもって、ベルファイアに乗って、丘に向かった。
街を走り抜け、丘に辿り着いた私は、ベルファイアから降りて、見晴らしのいい丘の石碑に向かった。
私は、一本しかない酒とICレコーダーは、もっている。
この石碑は、ギガースに攻め滅ぼされた街を守るために戦った勇敢な女子軍を偲んだ石碑で、その街は復興したらしいが、チベットで語り継がれているところもあるらしい。
私は、一本しかない酒の栓を抜くと、高々と掲げ、上空から石碑に水滴を落とした。
赤い血の色のようなワインが、石碑を濡らす。
わずかな音を立てて、酒ビンから酒が石碑に降り注いだ。
私は、酒ビンが空になったのを見届けると、地面に酒ビンを置き、ICレコーダーのボタンをいじって、曲の選択をする。
私は石碑にICレコーダーを突きつけた。
すると、麗しい歌声が、壮麗な音楽を奏でた。
曲の名前は、アヴェ・マリアだった。
小高い丘の上から、アヴェ・マリアは届いただろうか。
アヴェ・マリアは宗派替えの曲だ。
何か迷うことがあったなら、これで気分でも変えればいい。
私は、しばらくその歌声に聞き惚れた。
一曲、奏で終わり、私はICレコーダーのボタンを押して止めた。
遠くで、列車が通る音が聞こえた気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます