胡蝶の悪夢
しのつく
プロローグ
今より遥か昔、まだ世界が1つであった時のこと。
そこは今よりもずっと穏やかな世界が広がり、神と人と精霊、この3つの種族が1つの世界で平和に暮らしておりました。
しかし、ある日三つの種族の間に争いが起こります。ことの発端は些細なものでしたが、長く続いているうちに次第に大きなものとなっていきました。やがてあらゆる生物が争いに巻き込まれ、楽園のように穏やかだった世界は瞬く間に不安と恐怖に満ちた世界となりました。
そうして何十年も経った後、疲弊しきったこれらの種族はどちらともなく講和を持ちかけました。お互いもうやめよう、と。
そして、二度とこういったことが起こらないよう、種族ごとに住む世界を分けようという取り決めを交わしました。
ですが、本来共にあったものを完全に分かつのは、あまり良いことではありません。大きな混乱が起こることも、そしてそれがまた争いの種になることもあります。そのため、三つの種族は協力して、それぞれの世界を繋ぐ『門』を作ることにしました。
神の世界に繋がる門は狭く、人の世界と精霊の世界の間は広く。そして人と精霊から、神とそれぞれの種族の架け橋となる者を選び出すことにしました。神は彼らに権能の一部を託し、ほんの少し神に近しい者としました。
そう、彼らこそが、原初の『代行者』なのです。
精霊からは彼らの祖が、人間からは彼らの王が。神の代行者である彼らには『門』を開く権限と、悠久を生きる命を与えられました。彼らは何百年も神の側に仕え、長きにわたって世界を平和に保ってきました。
しかし、とある神の犯した罪が、その平和を再び壊してしまうのです……。
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