7人の美少女のうち誰か1人が俺を「好きな人」と書いた
uruu
第1話 宮地 芽衣①
高校生になったら何かが始まるかもしれない。そう思った俺は、いろいろなことをした。困っている人が居れば男女関係なく助けたし、率先して女子と話そうともした。だが、その結果は芳しくは無かった。何も起こらないまま、もう2年生になっていた。
俺が最も期待したイベントである修学旅行は1年生の3学期に行われていたが、俺は途中で風邪を引いてしまって何も起こらず終わった。2年生も気がついたら一週間が経ち、新しいクラスにも慣れてしまっていた。そして、相変わらず何も起こりそうに無い。
「はぁぁ……」
俺は深いため息をつきながら学校に向かっていた。
「何? どうしたの、聡太」
突然隣に女子が来た。慌てて振り向く。だが、そこに居たのはいつものギャル・
「いや、高校生活、つまらんなあと……」
「そうなんだ。私は楽しいけどね!」
こいつは小学校の頃からの腐れ縁。だからときどきこうやって話すこともある。俺が一番話す女子だが、いつの間にかギャルになって、最近もいろんな男と噂になっていた。俺とは幼馴染みみたいなもんだから、お互いに男女の意識は無い。
「お前は楽しいだろうな。そういえば大坪とは付き合ったんだっけ? それとも別れたんだっけ?」
「まだ付き合ってないし。だから別れても無い。ただの噂。聡太まで信じないでよ」
芽衣はそう言ってむくれた。しかし、『まだ付き合ってない』か。時間の問題なんだろう。
「だいたい大坪君、人気なんだから。そんな簡単に私が付き合えないって」
「そうか。俺にラブコメが無いならせめてお前のラブコメで楽しませて欲しかったんだけどな」
「……何? 要するに恋バナがしたいってこと?」
「恋バナっていうか……まあ、そうかもな」
「ふーん、聡太が恋バナに興味あるなんて珍しいね」
「元々無いけど、あまりに自分に何も無いもんでな。人の話で楽しもうと思っただけだ」
「なるほどね……。あ、恋バナと言えば一つあったな、面白い話が」
「ほう、なんだ?」
「恋バナアプリって知ってる?」
「恋バナアプリ? 恋バナもアプリでやるのか」
「アプリで恋バナをサポートしてくれるのよ。みんなで好きな人の名前を書いて、誰が書いたか分からないように出してくれるの」
「なるほど」
「実はそれ、修学旅行でやったんだよね、うちの部屋の女子で。それでみんなが好きな男子の名前が分かったんだけど……」
ふん、どうせ大坪か、あるいはモデルをやっている塩田だろう。
「1人だけ、水島聡太と書いてた子がいたんだよね」
「は?」
俺の名前を書いただと……
「ふふ、驚いた?」
「ちょっと待て。つまり、俺のことを好きな子がその中に居たってことか」
「まあ、そうなるね」
「誰だ、教えろ!」
俺は芽衣に思わず言った。
「だから、誰が誰を書いたか分からないアプリだって」
「そうか、結局分からなかったのか……」
「そう。誰なのか分からないまま恋バナ終わっちゃったんだよね……」
「じゃあ、そのときその恋バナアプリに参加していたメンバー全員教えろ!」
「ひ、必死だね……」
そりゃ必死だ。俺を好きな子が居るなんて、聞かずにはいれなかった。
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