物語の世界観は、
幻獣や成獣といった神話上の生物を、ゲノム上で実際に作り上げ、
「飼う」ことのできる世界線です。
主人公優華は、仕事疲れの慰みに、『三日しか生きられない』妖精を、花一輪と同じ値段で飼うことになります。
しかし、いくら化学の発達した世の中でも、人間は何も学ばないのでしょうな。
ここで語られることは、生き物を「飼う」ということ、植物を「育てる」ということに向き合うことにございます。
それは、三日でも10年でも変わらないことでして、
死期が近づくにつれて、「あの時もっとこうすれば……」と後悔するのです。
主人公は違ったようですが、おそらくこの世界線の違う人は、
「死んだら違う妖精を……」などと考えることでしょう。
我々と一緒です。
その辺りの現実でもって、作家先生は容赦無く我々を殴りつけます。
身につまされます。
私も、清々しく横っ面を引っ叩かれた感覚になり申した。
おすすめです! ご一読を!!
人工的に愛玩動物として設計された妖精のあだ名は「三日妖精(スリーデイズ・フェアリィ)。
主人公の女性優華の部屋で、妖精は目覚める。
その可憐さに読者の頬も思わず緩むが、妖精の美しい瞳には
「ただ雑然とした狭いワンルームの光景が映っていた」
この冒頭の一文が、厳しい現実と哀感を共にたたえていて胸が痛んだ。
タイトル通り可憐な妖精はわずか三日で死ぬ。
本作を読み終え、若いころ愚かで未熟で幼稚でドアホな自分のせいで死なせたペットを思い出してガックリ落ち込んだ。
本作の主人公優華は部屋の掃除もろくにできない女性で、正直妖精を飼う資格はないのだが、それは自分もまったく同じだと思った。
と同時に作者の強靭な精神に感銘を受けた。
作者の優華を見る目は常に厳しく、妖精と暮らす三日間は優華が生まれて初めて自分の「無力」をとことん味わう三日間だった。
妖精がモチーフなのに、物語に甘さがないのはそのためである。
たしかに優華は成長した。
しかし妖精は死んで帰らない。
やっぱりこれは悲劇だなあと思った。
かつてペットを飼っていた人にはたまらない小説です。
ご一読をおすすめします。
たった3日しか生きられない妖精を買った主人公。彼女は3日後、妖精に深く謝罪をすることになります。少ない人生を満足に生きられる環境を提供できなかったことに。
例えば掃除をしていない部屋。人間なら数日掃除をしなくても平気かもしれません。しかし妖精からしたら、たった1日でも、人生の1/3を汚部屋で過ごすことになってしまう…耐えられたものではないでしょう。
この体感時間の差は人間とペットにも当てはまるのではないかと感じました。人間より寿命が短い動物にとって、1日の感じ方は違う。人間よりも何倍も長く、大切に感じているかもしれません。そんな動物たちに応えてあげられただろうかと、自問自答してしまいました。
私は今ペットを飼っていませんが、過去に飼った動物はたくさんいます。彼らがどうか、満足な一生を終えられたと思えていることを願うばかりです。
心の動きが綺麗に描き出されていて、しんみりと切ない気持ちになります。
「レッドローズ・フェアリイ」と呼ばれる生き物を飼い始めることにした主人公。
その妖精は長生きはせず、三日もすると死んでしまうという。
でも、「あまりにもか弱い生き物」を飼育していく中で、少しでもその命を長引かせ、その生を充実したものにしてあげたいという気持ちになる。
生きながらえさせるために必要なものは何か。自分にできることは何か。必死に考えをめぐらして甲斐甲斐しく尽くすように。
そんな中で、自分のこれまでの人生とか、自分の現状などを見つめ直すことにもなっていく。
自分にもっと力があれば。もっとしっかりと人生と向き合っていたら。
その先で迎える結末。
いつの間にか、彼女の中でその妖精はあまりにもかけがえのないものになっていた。
大切なものを「大切」だと思うのに時間の長さなんて関係ない。
深く心に沁み渡る作品でした。
遺伝子組み換え技術によって、妖精が存在する未来。
そんな世界で忙しい日々に疲れた主人公は、たった三日しか生きられない「スリーデイズ・フェアリー」とも呼ばれる妖精のうち……「レッドローズ・フェアリー」という品種の妖精を家に迎える。
忙しい日々をただただ消費するだけだった主人公は、美しい妖精との三日間で何を感じるのか––––。
僅か三日の命。
そんな儚いものを目の前にして、主人公がだんだんと気付きを得て前に進んでいこうとする……そんなところに、主人公の強さを感じました。
残酷さが覗くが故に、自分の行動を後悔する主人公の優しさも感じられる……読み終わった時に、前より少し命と時間を大切にしようと思える。
そんな優しいお話です。
ぜひご一読ください。