スカイ・オデッセイ 〜空を駆ける約束〜

まさか からだ

第1話 空への旅立ち

 かつて、人類は地上で都市を築き、自然を搾取しながら発展してきた。しかし、気候変動、環境汚染、資源枯渇——そうした問題が限界を迎えたとき、新たな解決策として「空飛ぶ都市」が生まれた。大気中に浮かぶ新世界では、風力・太陽光・水資源を活用し、持続可能な暮らしが実現されつつあった。


 そして、その技術の要となったのが、個人で所有できる「空飛ぶ車(エアモービル)」だった。もはや移動だけでなく、住居、エネルギー供給、自給自足まで可能な万能の乗り物。地上に縛られず、自由に生きることができる世界——そんな未来が訪れていた。




 「ソラ、お前は本当に行くのか?」

 空中都市スカイネストの整備場。エコエンジニアとして育ったソラ・アオバは、自ら改造したエアモービル「エアランナー」に荷物を積み込んでいた。


 「うん、地上の環境再生プロジェクトに参加する。空の都市だけで生きるんじゃなく、地上も救いたいんだ。」

 師匠の言葉に振り返ることもなく答えながら、ソラは最後のチェックを終えた。


 スカイネストの人々は、すでに地上を見限っている者が多かった。だが、ソラは幼い頃に見た、廃墟となった地球の姿を忘れられなかった。「自然と人間が共存できる未来を作る」——その思いを胸に、彼は広大な青空へと飛び立った。




 ソラの目的は、各地の空飛ぶ都市や地上のエコシティを巡り、新しいエネルギー技術を学び、地球環境の再生に役立てることだった。


 しかし、ある夜——

 広大な雲海を超え、廃墟と化した旧都市の上空を飛んでいたとき、突如として閃光が走った。


 「な、なんだ!?」


 警報が鳴り響き、エアランナーが激しく揺れる。計器を確認すると、何かが上空から急接近していた。次の瞬間——


 ドンッ!!


 何かがエアランナーの屋根にぶつかり、ソラは慌てて操縦桿を握る。機体を安定させた後、ハッチを開けると、そこには——


 「……助けて……」


 銀色の髪を持つ少女が倒れていた。ボロボロの服に、傷ついた身体。そして、胸元には青く輝くクリスタルが埋め込まれていた——。


 「おい、大丈夫か!?」


 彼女はゆっくりと目を開け、ソラを見つめた。その瞳は、まるで星のように光を宿していた。


 「あなたは……誰?」


 ここから、二人の旅が始まる——。

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