僕みたいだった
夜猫子
僕は街で
独りで空を見上げていたんだ
ある日に思ったんだ
その日は薄暗かった
曇ってた
空一面の雲が
僕みたいだった
太陽を遮って
光を曇らせて
空を隠して
みんな憂鬱そう
気付いた
ああ
僕は誰かの邪魔がしたかったんだ
ある日に思ったんだ
その日は暗かった
雨が降ってた
街中に降る雨が
僕みたいだった
太陽を遮って
光を曇らせて
空を隠して
ある人は喜んだけど
大概は迷惑そうだった
気付いた
ああ
僕は誰かを喜ばせたかったけど
僕は誰かに気付いてほしかったんだ
雪が降った
これも僕みたい
太陽も
光も
空も
そして
人も
道も
街も
みんな隠した
喜ぶ人もいたけど
邪険にされて
ゴミにされて
時々
涙した人がいた
気付いた
ああ
僕は誰かを喜ばせたかったけど
僕は誰かを泣かせたかったのか
ある日に思ったんだ
その日は薄暗かった
でも光が差した
雲が割れた空が
皆みたいだった
空の雲を引き裂いて
雨と雪を空に返して
光の階段を地上に掛けた
皆が喜んでいた
気付いた
ああ
皆は誰かを傷つけたくて
皆は誰かを喜ばせたかったのか
ある時に思ったんだ
その時は明るかった
空は晴れ渡っていた
雲一つない空が
皆みたいだった
空は青く澄んでいて
輝く太陽は白くて
陽射しは熱くて眩しい
街中が煌めいて
皆は嬉しそう
気付いた
ああ
皆は誰かを忘れたくて
皆は誰かの役に立ちたかったんだ
僕は街で
独りで空を見上げていた
僕は僕だけど
僕は
皆で
誰か
だったのかな
もう雲は見えない
しばらくは晴れてるんだろう
でももしも
もしもまた雲が流れたなら
僕はきっと
また独りで空を見上げるんだろうな
僕みたいだった 夜猫子 @yoruninetai
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