決意?興味?
うるっさい電話に叩き起される
「あぅっ?うるっさいなぁ
しかもまだ5時前...」
辺りを見ればまだ薄暗く、差し込む弱い光がペットボトルに反射し淡い光を放っている
こんな時間に電話、この非常識さはどうせ所長だろう
「はい、もしもしこの電話のせいで土曜日の朝4時半なのに起きる羽目になった上田ですけど」
「ま、まぁそう怒るな理叶君
良い知らせを持ってきたから」
「お、もしや例の隕石調査の件ですか?
それ以外なら本当に怒りますよ?」
「当然調査の件だ、だから怒らないでくれ
それでだ、調査に加われるのは明後日からだ
理叶君どうせ明後日は暇だろう?」
....うん、やっぱり所長はクソほど非常識だ
「これで明後日私に予定があったらどうするんですか、普通日付決めるのなら私に確認取りません!?」
「明後日君に予定が無いことを確信していたからな!
君も明後日からの調査に加わるだろう?」
「勝手に日時決めたも予定無いのを確信してるのもムカつきますが、当然明後日から調査に加わらせて頂きます」
「さて、最終確認とあの隕石に事前情報だ
知り合いの研究者からの忠告だが、あの隕石どうやら中に何かあるらしい
あ〜、今から話すのは「もしも」だ確定した訳じゃないそれを踏まえて
少し長いがよく聴いてくれ」
「あ、えっとはい」
こんなに真面目な所長は久しぶりだ
「明後日我々が関わるのは隕石の内部にある何かの調査だ。
その調査では隕石を削ったり穴を開ける」
「えっ!内部の調査に関われるんですか!
あ、ごめんなさいちょっと五月蝿かったですね
はい、それで「もしも」って?」
まさか隕石内部の調査だとは...
つい嬉しくなってしまった
「もし内部に未知の細菌等がいた場合、研究所は即刻封鎖し研究所内の人間のみでその存在と隕石の調査を終わらせデータをJAXAに送る」
「未知の細菌等...
それが発見された場合って我々調査チームは...」
「あぁ、ご想像の通りだ、説明を続けるぞ
そしてその存在が致死性の物であれば我々は人類の為に、封鎖された研究所内で人生を終える。
あ〜そのつまりだな、もし隕石に何かヤバい物があれば調査チームは死ぬかもしれない
理叶君、それでも調査に加わるか?
怖くなったのなら参加しなくても大丈夫だ
そもそも私が知り合いに無理を言って調査に加われる事になっただけだからな。」
覚悟はしていたつもりだった、けど実際にこう言われると少し怖くなる
「あ、その所長これ、あくまで「もしも」ですよね?」
「あぁ、そうだ100%生きて帰れない訳ではない。
むしろハイテク技術を解析して世界の英雄となって帰還する可能性も十分ある」
「ちょっとだけ考えさせて下さい、すぐ答え出しますんで」
「了解」
少し返事を躊躇って部屋を見渡す
いつもと変わらない部屋
もし、死んだら?
ここに帰って来られない
怖い
怖い
けど、死とは?それはそれで気になる
なら答えは決まった
安っぽい覚悟を決め直し口を開く
「所長...目の前に未知の物があり調査に参加させてもらえる
こんなに楽しそうな話二度目があるか分かりません、例え危険があろうとも参加しない訳無いでしょう!
それと所長は行くんでしょ?
なら私も付き添わないと」
「そうか、じゃあ知り合いに参加を伝えておくよ
今言うのは早いだろうが
共に調査を楽しみ、必ず生きて帰ろう」
「はい、必ず生きて帰りましょう」
そう言いつつ隕石にも、そして死にすら
恐怖と興味で心臓を高鳴らせている自分が居る
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます