第3話 ミントと薬師
いつの間にか隣に人がいた。
せっかくだし、話しかけることにすっか。我ながらに口が悪いという自信があるので、こういった相手にはなるべく丁寧になるよう心がけていくぞ。
「こんにちは。今日から俺たちの住む世界と、リンユーグの繋がりが安定して、決められた人数の
「あら、そういえば今日からだったのね。ありがとう、親切な
納得したとばかりに頷いた老婦人が歓迎してくれたので、本当に異世界へとやってきたような気分になった。そのまま世間話へと洒落込む。
チュートリアルでついた師匠NPCにも思ったが、受け応えが本当に滑らかだ。俺が好むVRMMOなら、住人NPCと仲良くしておくことに何も損はない。それに、お年寄りに無体を働くのは俺がとても萎えるんだよな。
住人NPCは各々AIで動いており、こうして
世間話の中で、老婦人がミントという名前で街で薬師をしながら道具屋を営んでいることを知る。うーん、渡りに船〜。
「俺もこの世界では薬師を志そうとしていまして。もしよろしければ、ミントさんに先生として、薬についてのご教授願いたいのですが」
「そうなの。あなた、薬師になりたいのね。……そうね、これも絆の神様のお導きかもしれないわ。よろしくね、晩白柚さん」
軽い通知音と共に、視界端にミッションクリアのマークがついた。あとで確認しておくか。
《初めて
《〔見習い薬師・ミントの弟子〕の称号を得ました》
ナビ妖精の声を聞きながら、スポーン位置からはそこまで離れていない、商店街的な店が連なる通りに向かう。
ミントさん……いやこれからは先生と呼ぶか。先生はその商店街にある自分の店から来たようだ。ファンタジー感のある内装にテンションが駄々上がる。こういうのどんなゲームでもやっぱいいもんだな。あとでスクショ撮りまくろ。並ぶポーションや、冒険に使う道具であろう品々を横目に店の奥までついていく。
まだ薬に煎じられていない色んな草の匂いがしてきた。よもぎもち食いたくなってくるな、この匂い。
「薬師について何も知らないということだから、まずは初心者用のポーションを作るところからね」
「はい、よろしくお願いします」
「弟子を取るのは久しぶりだけれど、
「なるほど。街の人たちも職業で薬師が出れば直ぐに買い求められるということですか」
「そうよ。ふふ、じゃあこれは最初の一歩を踏み出す弟子へ、私からのプレゼントよ」
「ありがとうございます、先生!」
「先生って呼ばれるのはいいものねえ。気分がしゃきっとするわ。それじゃあ、晩白柚さん。今日はこの本を読んで、一番初めに書いてある
先生の動きには無駄な動きが一切ないように見えた。うーむ、プロの腕前だ。慣れた手つきでポーションが作られていく。
「
「はい、了解です」
店の奥にある机をひとつ借りて、まずは本を読むか。の前に、クリアしているミッションと称号の確認だ。
最初はミッションリストに存在していなかった『住人と師弟関係になる』のミッションがクリア済みになっている。
クエストはそれこそギルドを介して住人や
一応の決められたミッションや話の筋もあるのかもしれないが、同サーバー内では同じ進行にならない可能性が高いと運営から説明が出ていた。別サーバーでは同じ進行になるかもしれないが、全く違う展開になる可能性もある。いわゆるパラレルワールドが存在しているようなモンってことか? そんでもゲームが破綻しないようになってンだろうし、ゲームAIってすげえわ。
「他にクリアしてるのは……ねえな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます