一目惚れ異世界転生〜必ず俺が君を最高のヒロインにしてみせる〜
お休みなさい
第0話 さらば社畜よ永遠に
カタカタカタカタカタカタカタカタカタ
無機質なキーボードを叩く音だけが室内に響き渡る。
「俺なんのために生きてるんだっけ……」
Fラン大学を卒業した人間に大した将来は期待できない。
大手の会社には就職できず、やっとの思いで入社した会社はブラック企業。
上司に叱責され、来る日も来る日もサービス残業、0時に帰れれば良い方で
ほとんどは帰るのが面倒になって会社に泊まっていく始末だ。
納期が近くなれば徹夜は当たり前で現在は3徹目だ。
「ははっ……」
カタカタカタカタカタカタカタカタカタ
乾いた笑いをすると涙が溢れてきた、だめだ考えるな、考えたらもう……
必死にキーボードを叩く、何も考えずただひたすらにキーボードを叩く、だたひたすらに。
「ぐっっ」
突然胸が痛くなり、息が苦しくなり椅子から転げ落ちる。
「かはっ!」
息が吸いたいのに出ていくばかりで胸を力強く掻きむしり必死にもがく…… だがわかっている、そんなことをしても無駄だ。
これは死だ、逃れようもない絶対的な死が眼前に迫っているのだ。
「でも、これで会社に行かなくてすむ……」
消え入りそうな声で久しぶりに自分の意思を言葉にできたことに少し驚いた。
そうして俺はこの苦しみに抗うことを止め、暗く深い闇の底に沈む感覚に身を委ね目を閉じた。
これは何者にもなれなかった田中太郎という男だけが知っている最後。
大切な命という物語の終着点。
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