あたし、現役ホテヘル嬢
三十日十月(みそかかんな)
第一章 執筆活動
第1話 潮
——やっぱり、ヤマさんの指は相性がいいわ……
全身に大きな波が駆け巡り、思わず吐息が漏れる。
そしてその波が収まると、あたしは我に返って、急に恥ずかしくなり両手で顔を覆った。
「ワカバちゃん、相変わらずかわいいね。たくさん出てるよ」
ヤマさんはあたしの常連客で、本人曰く四十代後半。
だからこそなのか、落ち着きと優しさを指先に込めてくれる。
その指がゆっくり、そして少し圧迫するようにあたしの中を動いた結果、ベットに大きな池ができていた。
「感じやすく吹きやすい体質は、ワカバちゃんのアピールポイントだね」
——そりゃ、接客前に大量のお水を飲んだり、タイミングを図ってここぞというタイミングで吹くように力を入れたりと陰ながら努力はしているもんね。
お客様には言えないけど、はっきりいえば……
——『潮』とは言ってはいるけど、実はおしっこと変わらないんだよね。
まあ、絶頂とはまた違う気持ちよさを伴うから、嫌いじゃない。
「ヤマさんの触り方、優しくてお気に入りなんですよ」
本音だもん。
面白いように自由自在にあたしの体を操るからね。
出そうと思ってがんばって力む必要が無い。
自然と大量の水分が掻き出される。
——控えめに言っても『上手』だ。
「どこでそんなテクを得たのかしら?」
「ワカバちゃんが、かわいいから頑張ったんだよ」
そんなセリフ言いながら……体温が上昇して、鼓動も早く、息遣いも荒いあたしの吹いた直後の表情をマジマジと見ないでほしいんだけど。
「もう。ヤマさん。いじわる」
恥ずかしさを隠すべく右手をヤマさんの下の方に伸ばしてさわっと触れる。
左手をヤマさんの首に回し唇を重ねる。
舌は女の子から積極的に絡めていく方が、お客様は喜ぶんだよね。
しばらく舌を絡めたり吸ったりしていると、ヤマさんはヘッドボードに用意されていたコンドームを手に取り素早く装着した。
上品だが遊び慣れた洗練された動きだ。
あたしはにっこりと微笑むと、それを受け入れた。
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