マミー、ファインプレーです!

夢我夢中

第1話 セーフ!

「おめでとう!国家試験合格出来たわね。後は単位を落とさず1年ちょい頑張れば大学も卒業ね」


「ありがとう、お母さん。今までお母さんの全てを私に捧げてくれたお陰で、ようやくここまで来れました。私も頑張ったけど、お母さんも頑張りました。よって、ここに『母親は凄いで賞』を捧げたいと思います」


 私の名前は広瀬美香。大学2年生、女子大生のド真ん中営業中です。大学生活も折り返し地点を回り先日国家試験にも合格して、人生の順調街道をまっしぐらに走行中。

 私の家庭はお母さんと私の2人だけの「母子家庭」です。お母さんは若い頃付き合っていた人との間に子供を授かったの。でも結婚はしなかったわ。理由は分からない。聞いても教えてくれないの。多分、親が反対したか彼に経済力が無かったせいで結婚まで考えられなかったのだと思う。そして、その子供が私っていう事。


 お母さんの事は尊敬出来るし、凄い人だと思う。でも、父親無しで子供を育てるって事には私は反対なの。だって、お父さんが居ないって事はやっぱり淋しいじゃない。それは私が一番知っている事よ。周りの目も気になるし、頼りたい時に頼れないしね。

 だから私が相手に求める事は、私の事や子供を愛してくれて尚且つ経済力のある男性でなければ結婚する事は無いわ。それ以外のチビ、ポチャや年齢差なんかは多少なら目を瞑るけど、どうせならイケメンが良いわね。


「みんなー!待ってよ。今日の午後みんなで何処か行こうよ。授業は午前中だけだし」

「美香は余裕よね、国家試験受かってさぁ。私なんかこれからよ。もう早く自由になりたーい」

「美里はこの間、試験終わって後は結果を待つだけね。でも、美里は先生の折り紙付きだから先ず落ちる事は無いわね」

「美紀は大学卒業したら親の会社に入るんでしょ?良いわね~。親が社長さんだと」

「そんな事無いわよ。相手が親だから多分容赦なく私に無理難題を押し付けて来るはずよ。もうそれを考えただけで憂鬱よ」

「美咲はあの有名なモデル事務所からスカウト受けてモデルとしてこれから活躍して行くのよね?」

「でも知ってる?美咲のやるモデルはモデルでもスーパーのチラシのモデルよ。ミ〇ノとかガールズ〇〇に出るモデルでは無いですから」

「美鈴、余計な事言わなくて良か!黙っときんしゃい。因みにドクモもやりますから」


 そう、私達は仲良し5人組。そして、みんなの頭文字が「美」で始まる名前なの。こんな事ってある?ほぼ奇跡でしょこんなの。

そして、全員彼氏が居るの。正に人生順調街道を走ってるって感じよね。


「じゃ授業が終ったら食堂に集合ね。学食喰って、カラオケに行くわよー!今日は歌いまくるわ!昨日彼氏とケンカしたから、その腹いせよ」

「美咲はいつも彼とケンカする度、カラオケで発散するのよね」

「あたぼーよ!私はこれでバランスを取っておるのだ」

「今日も見れるかしら、美鈴のモデルダンス。美咲の歌に合わせて踊るのよね。あれ超ウケるわ」


 とまぁーこんな感じで毎日が超楽しいのですが・・・私には若干悩みの種があるのです。

それは、今の彼氏の事。彼はとても優しくて誠実で周りにも気が使えるとってもいい人なのだけど、ギャンブルに依存していて、このままでは俗に言う「パチンカス」になる要素をたっぷりと持っているの。それって経済力とかに結びつくわよね?

 それに、私にはもう1人気になる人がいるのよ。その人は、この間うちの大学に入って来た数学の先生なの。その先生には一目惚れっていう感覚なのかもしれない。自然に目で追い、自然に近付き、自然に好きになってしまったって感じ。何かもうヤバいわ。


 最近では携帯のカメラに先生が入る様にみんなと撮ったり、彼氏と撮ったり、自撮りなんかもしている。

「あ~先生に会いたい。おしゃべりしたい」


 そして、携帯の写真をニコニコしながら見ていると、お母さんがのぞき込み・・・。


「これ美香の彼氏?結構イケメンじゃない。今度紹介してよ」

「うん?この後ろに映っている人は学校の先生?どの写真にも写っているじゃない。変なの」


「ヤバイ、バレる!」


 あの時は結構焦ったわ。でも、数日後今の彼とは別れてしまったの。やっぱり、ギャンブルをする人はNGだわ。そして、私は決めたの。山本先生の奥さんになるって。

それを、お母さんに話すと当然反対をされたわ。理由を聞くと年が離れ過ぎているからって言うのよ。私は年の差なんて関係ないって言って半分ケンカみたいな感じで、言い合いになったの。

そして、私は一方的だけど自分の想いを、考えている事を言った。


「例え先生と結婚しても、お母さんを独りぼっちにはしないよ。私達と一緒に住めば良いじゃん。その位の事はいつでも考えているし、覚悟だってあるよ!」


「でも、猛烈に反対された」


 それから数日後、元カレからLINEがあって縒りを戻したわ。私とお母さんはそれを見ながら大笑い。何故だか分かる?


 だって、私の好きになった先生がお母さんの「元カレ」だったのよ。


「超ウケるでしょ! 変な事にならなくて良かった!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

マミー、ファインプレーです! 夢我夢中 @jyo-san

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ