ギャルゲーの親友ポジに転生しました。〜原作通り進めようとするけどヒロイン達がそれを許してくれない〜
アスパラキング
プロローグ
守口宏人は死んだ。
意外とあっけないものだった。
てっきり何の楽しい事が無いまま200歳まで生きると思ってたから170年も短縮するとは思ってもみなかった。
友達も彼女もいなかったから俺が死んだところで悲しむ人はいないから安心して天国へ逝ける。
…いや、唯一の心残りがあった。
俺をここまで育ててくれたおばあちゃんは俺が死んだ事を悲しんでるに違いない。
逆にもしかしたらこんな孫が死んで朝から夜まで踊り喜んでるかもしれない。
こんな早く死ぬならもっとおばあちゃんに恩返ししておけば良かった、恩返しまではいかなくてもせめて最後はちゃんとした所を見せたかったなぁ。
今になってようやく後悔の波が襲いかかってきた。
こんな友達も彼女もいない引きこもりニートでもまだ生きたいと思ってしまった、まだ生きる事を許してもらえないならせめて最後におばあちゃんに謝りたかった。
「早く起きなさい」
「いてっ」
何かで頭を小突かれた。
「?」
俺の目の前には羽の生えた女性が立っていた。
俺は目の前で起きている事が信じられなくてただ眺めてる事しかできなかった。
「そんなアホみたいな顔しないで」
初対面の女性にそんな事を言われたら童貞のメンタルはズタボロになるからやめてほしい。
そんな事より!この羽の生えた女性は誰?
「もしかして女神様って人ですか?」
「女神だから人じゃないけどね」
おお〜!本当に実在したんだ。
女神様ってこんなツンツンしてるものなの?もっと優しさで満ち溢れてるものかと思った。
「あんたには転生してもらうから」
「…転生」
よく漫画やライトノベルで見た事がある転生ものだ。
アニメ漫画ゲームライトノベル等々が大好きな俺にとっては夢のような出来事だ。
よく妄想で異世界に転生したらどんなチート能力をもらうかで何時間も考えてたなぁ、まだ厨二心を忘れてない俺にはとても魅力的な話だ。
まさかそれが自分にやってくるとは思いもよらなかった。
「お断りします」
「じゃあ転生先なんだけど…、はぁ〜!?」
この女神様はリアクションがいいなぁ。
「あんた今お断りしますって言った!?」
「はい、言いました」
「どうしてよ!あんたみたいなヒキニートは転生みたいなの好きでしょ?何で断るのよ!」
言葉がキツくて途中で心が折れそうになるけど何とか踏ん張る。
「もう良いんですよ。充分生きましたから」
「ちょっと待ちなさい。…転生先はあんたが好きな恋愛ゲームのうわっ、すっごい名前ね。え〜、ときめけ!ドキドキ LOVEスクールだから!」
なぜ女神様が俺の好きなギャルゲーを知ってるのかはさておいて、転生先は異世界じゃなくギャルゲーらしい。
「転生先は関係ないです、俺はもう大丈夫です」
そもそもどうしてこの女神様は俺を転生させたいんだ?
「あんたが転生してくれないと上に文句言われちゃうのよ私が!だからさっさと転生したいと言いなさい!」
だからこの女神様は俺を転生させたかったのか。
「あ、本当に大丈夫なので」
俺は元の世界に未練はあるけど、それは転生先で解消できる問題じゃない。
「…っ、ちょっと待ちなさい」
そう言うと女神様はボンッと手の上に本を出した。
「え〜と…ここね、え〜分かったわ、ゲームにクリアしたらあなたの祖母に会わせてあげる」
!?
…おばあちゃんにもう一度会えるの?
「…ゲームクリアの条件は?」
「主人公への好感度が80%以上であること」
「やります。俺ギャルゲーに転生します!」
おばあちゃんにもう一度会えるなら俺はもう一回頑張って生きてみようと思う。
いつも迷惑かけて感謝も言えなくて自慢出来るところも無くて一生懸命作ってくれた料理も残した事もある本当にどうしようもない孫だけどおばあちゃんに会えるために頑張るね!
生きてた時に言えなかった事を全部伝えてやる!おばあちゃん、待っててね。
「じゃあ頑張ってね〜」
「はい」
俺の好きなギャルゲーだから原作の知識は頭に叩き込まれてるからゲームクリアは余裕だな。
原作通り進めてヒロインに好かれて、モテモテになったところでおばあちゃんに会えるとか俺の理想のような展開になっちゃったよ。
好きなヒロイン達に言い寄られる事を想像しただけで鼻の下が伸びてしまう。
「あ、言い忘れてたけどあんたが転生するのは主人公の
え?
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