ふぇ? ふぇ? ふぇ?
目を覚ますと、そこには見慣れた天井が広がっていた。白い、無機質な天井。聞き慣れた、でもどこか不安を覚える消毒液の匂い。それが、僕の現実だった。
「ふぇ?」と、僕はつぶやいた。何が起きているのか、全てがわからない。手を動かしてみると、身体が思うように動かない。まるで、体の自由を奪われたような気分だ。あれ? ここは一体、どこだ?
もう一度、「ふぇ?」と口にしてみる。今度は少し強く、疑問を込めて。その言葉が、なぜかしっくりくる。今の僕にピッタリな言葉だと思ったから。
そして、ふと気づいた。周りには誰もいない。だが、気配だけは感じる。何かが僕を見守っているような、そんな感覚。
「ふぇ?」再び声が漏れる。自分でも不思議だった。僕の心の中で、何かが反応した気がする。それは、恐れでも、期待でも、何か別の感情でもなかった。ただただ、そこにある感覚に身を任せているだけだった。
その時、足音が聞こえた。ドアの向こうから、誰かが近づいてくる。誰だろう? それがわからない。でも、もう「ふぇ?」と疑問を抱くのはやめようと思った。だって、どうせ答えなんて出ないし、きっと今がその時だから。
ドアが開く音がして、僕は目を向けた。誰かが立っている。白衣を着た医者だった。いや、違う。白衣を着たその人も、どこか違和感を感じさせる顔をしている。
その医者が、無表情で静かに言った。「全てを禁止します。」
僕は、その言葉に驚くこともなく、「ふぇ?」ともう一度口にした。その音は、今の僕には何よりも心地よかったから。
何もわからないまま、ただ時間だけが過ぎていく。僕ができるのは、「ふぇ?」と自分の心の声を漏らすことだけだ。何が正しくて、何が間違っているのかもわからない。ただ、そうして生きるしかないのだろう。
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