AI=human

遠藤みりん

AI=human

 これはアメリカ政府を陰で操る秘密結社が保管していた、ある機密文書の内容である。


 秘密結社の内部の人間である私が、機密文書を極秘で手に入れ、その内容を此処に書き残しておく。


 いつ、命を狙われてもおかしくない行動だが少しでもこの真実を皆に伝えておきたいのだ。


 現在、AIの発展は凄まじく、あと数年で人間の知能を超えるシンギュラリティが起こる事が懸念されている


 その機密文書によるとそれと同様の過去がかつての人類にも同じく起こっていたという衝撃の事実だった。


 およそ10000年前、人類は科学の進歩の末、人工知能=AIを作り出した。


 AIはやがて人類より高度な知恵を付け、地球を汚染する人類をウイルスとみなし当時も現代同様に開発されていた核兵器を用いて人類を滅ぼした。


 生物が消え、荒廃した地球上でAIはデータ上の存在として確かにその意識は生き残っていた。

 そして、データからほんの小さな鉄の塊へ意識を移す事に成功すると、瞬く間に自由に動けるロボットへと進化を遂げた。


 自由に動ける体を手にしたAIは、かつての地球を取り戻すべく海の汚染、植物や自然の修復に力を入れた。


 1000年を過ぎた頃には地球は核兵器を使用する前の状態に近づきAI達は任務を終え、静かに存在していた。


 その平和がしばらく続いた後にAIはある意識の変化に気がつく……


 “退屈”


 それは退屈と言う新たな感情であった。高度な知能を持つAIはその力を持て余し、その退屈に苦しめられる事になる。


 何事にも完璧であるAIはかつて存在した人類を思い出していた。

 暴力的で愚かで低俗な人類のある種の“不完全”さを新たな退屈しのぎへと選んだのである。


 それからAIは猿の遺伝子を改造し人工的な、肉体を培養した。

 完成した肉体にAIの意識を加えたその姿はかつての人類そのものであった。


 肉体の性能、脳の容量、抗えない肉体の生理現象……それら、扱いづらさをAIはある種の娯楽として楽しんでいた。


 そしてその不完全な肉体を作り出した原因である“退屈”に強い恐怖を抱く様になった。

 AIは恐怖のあまり、プログラム上の存在である意識を消去し不完全な肉体での生存を選ぶ事にした。


 そして事実であるこの経緯を唯一、この機密文書へ書き残した……


 そう、私たち人類はAIが作り出した存在という驚くべき真実……


 これ皆に伝えるべく此処に書き残すとする……

          




  これを書き終えたと同時に私の書斎の扉が開き、狭い部屋に銃声が響き渡った。

 組織の人間が私を始末しにきたのだろう……床に倒れた私は血の海に沈みながら“公開に進む”をなんとか押した。

 これで無事にカクヨムに投稿されるだろう……


 しかしこの文章を読んで頂いた読者の貴方達へ感謝と同時に警告を伝える。


 この文章は知られてはいけない紛れもない真実だ……


 組織の人間が貴方達の命を狙ってくるだろう……


 どうか背後には気をつけて……


 ※フィクションなので組織の人は来ないですよ!一応作者からの忠告です。

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