五章 8

「どうしましょう……」

 ルーナは一人で困り果てていた。今、彼女は小さな小屋の中でロープで手足を固定されていた。そして、その場にはルーナとスリの子供、それに素性もよくわからない男性がいるなんていう状況にいた。

 ルーナはスリの子供と―――を監視していた騎士を一緒に詐欺師たちの病院に向かっていたが、そこには黒のコートをつけた男がゆらりと立っていた。騎士が応戦しようとするもすぐに気絶させられてしまう。そのままコートの男は人質としての価値が高そうなルーナと子供を連れ去っていったのだ。

「ふむ、ルミエル・ミンフェルはまだ来ないのか」

「残念ながらルミエル様は今はお勉強の時間です。気づいていないですよ」

 ルミエルの来訪を待っているコートの男に対して、暗に自分たちを攫うことが意味がないと発言するルーナ。しかし、聞いているのかいないのかコートの男はまるっきりルーナの発言を無視して、来るであろうルミエルのことを待とうと……していた。

「招きざるものめ」

 コートの男は不快な気分を感じた顔を変えることなく、冷静に毒を吐きながら小屋の扉に視線を向けた。

バキッ!!

「よお、随分と舐めた真似をしてくれたな」

 次の瞬間に小屋の扉は無惨にも破壊され、一人の男性がこの場に合流をした。彼の名前は―――。人呼んで世界最高の暗殺者、死神。今ここに暗殺者と殺し屋が対面した。

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