私の選んだ場所

第1話

茜色に染まる空の下、春から涼しい風が吹く夏に近づいた今。

兄弟たちは風に乗って先に行ってしまいました。

後は私一人です…。


そろそろ行かないとな…

そう思いながらも私は彼を見つめて、動かない。


すると、


「ここにいて良いんだよ?」


「えっ?」


母が言ってきた。


「彼といたいんでしょ?」


私は白いけど、西に傾く太陽に照らされて赤くなってる。


「別に貴方は貴方なんだから、ここにいたいなら、近くに降りれば良い」


母は私たちのために、遠くに行けるよう背を伸ばしている。


なのに私は…


…考える 後悔はしないように…



「いや…、行くよ。せっかくだし他のところも見たいから!」


「そっか…。貴方の自由だからね。自分のペースで頑張るんだよ。」


「うん…」


私は風に乗って、空に浮かぶ。

ずっと憧れていた彼に心の中で別れを告げて飛んでいく。



―――――



少し飛んで、美しい景色が広がる。

空はいつもより深く、透き通って見える。

緑豊かな地に降りた私は根を張った。



そして暖かい春が来た。

憧れていた彼にも負けない美しい黄色い花を咲かせる。


自分のペースで。


私は子どもたちに自分の好きなところに行くことを願う。

好きな場所だったり、




好きな相手のところで…


いつもまでも、幸せでいられるように。

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