第38話 上には上がいるってことだ!


 今日は、ついにテスト返し!

 きっとみんな赤点じゃなく、いい点数が取れていることを信じて僕は、家を出た。


「おはようございます!」


「おはよー光!」


「おはよう!今日は、ついにテスト返しだな!」


「そうですね!」


「そう考えると、、、。うっ。」


「やめろ!出すな!」


「っ、、、。ふぅ〜危ない危ない。」


「この話はやめようか。」


「てか!土曜日!光、なんであんなに色々できるの!?」


「ん?ボーリングか?」


「それもそうだけど、まぁとにかく!色々よ!」


「そうだなぁ。ボーリングは、割と最初の方から、できたよ。たまたま、テレビでやってたやつ見て、へぇ〜こうやって投げるんだぁ〜って思って、やってみたらできた。」


「器用だねっ!?」


「それにしても、美味かったですね!」


「そう?美久だって、うまかったじゃん。」


「えへへ!私、ボーリング小さい時から好きだったので、よくやってたんですよ〜!」


「そうなんだ。」


「私だって、やってたのにぃ〜!」


「みやび。ここの問題だよ。ここ。」


 僕はそう言いながら、自分の胸を叩いた。


「うるさーい!」


「「あはははははっ!」」


▼▽


「光ぃ〜!」


「ん?どうした、廻?そんなもうすぐ人生が終わるみたいな顔して。」


「いや、そこまでじゃないけどな!?じゃなくて、テストだよテスト!」


「ん?あーだから、大丈夫だって。(多分、、、。)」


「もし赤点だったら、、、。あああああああ!」


「あーもううるさいうるさい。とにかく、そんなに不安がってたら、ほんとに赤点になるぞ?」


「でもさぁ〜。」


「お前は、僕たちのことを信じられないのか?」


「、、、。いや。信じてる。わかった。頑張る。」


「うん。何を?」


「テスト返しで、叫ばないように、頑張る。」


「う、うん。まぁ、そうして。」


「全員席に着けー。テスト返すぞー?」


「光。」


「ん?まさか、お前も緊張してるのか?」


「いや、もう大丈夫、じゃなくて、廻、また言ってたの?」


「うん。もう、殴りたくなったよ。」


「ふふっ。まぁ、大丈夫だと思うけどね。」


「だな。」


「じゃあ、出席番号順に取りに来い。はい。相澤〜……。」


▼▽


昼休み。


「よし、全員集まったな?」


「おう!」


「はい!」


「うん!」


「みんな点数はどうだった?」


「俺はな!赤点なかったぜ!すごいだろ!」


「やっぱりな。」


「そりゃそうよ。」


「誰に教えてもらってると思ってるんですか。」


「私もなかなかいい点数行ったわよ。」


「僕もだ。」


「私もです!」


「まぁ、とにかく、全員赤点無しってことだな!!」


▼▽


「と!いうことで!かんぱ〜い!」


「「「かんぱ〜い」」」


 僕たちは赤点回避祝いで、カラオケに来ていた。

 廻は、グラスの中に、ホワイトソーダを入れて、楽しそうに、アニソンを4連続で歌っていた。

 美久は意外にも、渋い音楽を歌っていた。(国家とあか、マツケンサンバなどなど。)

 みやびはというと、女性アーティストの曲が好きらしく、いつもとは違う雰囲気で、透き通るような歌声をBOX内に響かせていた。


「さぁ、次は光よ!」


「僕はなぁ〜。あんまり歌うの得意じゃないんだよなぁ。」


「そうなの?なんでもできそうな感じしてたのに。」


「歌だけは本当にダメなんだ。だから、音楽の授業とか中学の時、だいたい3だったからな、、。」


「あらま。それはかわいそうね」


「大丈夫ですよ!多分…。光さんならできます!」


「おう!がんばれ光!」


「わかった!じゃあ、歌います。蜜璃屋 光で、ドラえもん。」


「あ、そっち系のアニソンね。」


「意外ですね。」


「いいぞ!歌えうたえー!」


「少しだけ不思議な普段のお話……」


「う、、。」


「い、いいぞ!がんばれ!」


「(なんて音痴なんでしょうか、、。)」


「(ばかっ!聞こえてたら、どうすんの!)」


「、、、。」


「光?どうしたの?まだ歌い終わってないでしょ?」


「やっぱり、音痴だよね、、、。」


「聞こえてた、、、。」


「ご。ごめんなさい!実写版ジャイアンかと思いました、、、。」


「言い過ぎじゃない?」


「「「あはははははは!」」」


「あは、あはははは、、、。」


▼▽


 光たちは、涼しい顔で、カラオケから出てきた。と、言いたい所だったのだが、全員が、とてつもなくげっそりとした表情で出てきた。

 なんとひどいカラオケだったのだろうか。

 誰1人、うまいと言えるような人はいなく、全員平均的な歌唱力だった。


「きょ、今日は楽しかったですね!」


「そ、そうだな!俺は、結構たのしかった!」


「わ、私も楽しかったわ!また来ましょうね!」


「次は、もっと上手く歌えるようになってやる!」


「そういえば、光って、高校内で何位だったの?」


「えっとなぁ、3、いや、4位だった気がする。」


「4位!?えげつねぇ!もう、歌なんて歌えなくてもいいと思うぞ。」


「それもそうね。あ、美久は何位だった?」


「私ですか?私は2位でしたかね、、?」


「2位!?上には上がいるってことかぁ!」


「ま、まぐれですよ。今回はたまたまで、、、。」


「まぐれでも、すごいよ!次は負けない!」


「光、今日二つくらい、決意を固めてるね……。」


▼▽


【???の家】


「また、1位だぁ〜。もぉ〜誰か、面白い人はいないかなぁ〜?」


彼女は自分の1位という立ち位置から降りることができなかった。彼女は中学の頃から、誰にも負けない成績を誇っていて、常に1位を取り続けていた。しかし、


「、、、。またあの人に会えないかなぁ。次こそは、絶対に負けない、、。」


彼女にも負けたことはある。上には上がいるという言葉があるように、常に自分が1番にいるはずもないのだから、、、。

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