※読み合い企画からのレビューです
小学六年生のときにダンジョン発生によって両親を失った主人公・式見空也
魔力がなく、ダンジョン探索資格試験に落ち続けていた彼だったが、突如として発生したダンジョンに女子高生が囚われてしまったと聞き、一人突入してしまう──という導入から始まる本作品は、主人公である空也が非常に魅力的だ
彼は確かに"いい人"だが、本来、死と同義の救助行動をするような人間ではない
彼が女子高生を助けに行ったのは、両親を失った悲しみや、両親を助けられなかったという強迫観念、自分と同じ境遇の人間を増やしたくないという矜持によるものだ
ただの命知らずないい人ではないことが、空也という人間に深みを与えている
そして空也は、女子高生を助けるために、さらなる犠牲を自らに強いる
その姿は、カッコいい以上に痛々しく、「もういいから!」と口に出したくなるほどだ
だが、そんな空也だからこそ、応援し続けたくなるような魅力に溢れている
彼の行く末を、是非一緒に見届けてほしい