良幸学院歌い手部
しきしま
第1話 Good morning Baltimore
伝統ある高校の校舎が、誇らしく輝いて見える。
中学三年生、卒業間際の三月。
俺、
在校生の説明では、聖堂があるという話だった。何か引き寄せられるものがあって、俺はそこへ一人で踏み出した。
建物に入り、廊下を抜け、両開きの扉を開ける。
聖堂の内部は、七色のステンドグラスが散りばめる光に溢れていた。思わず息を呑む。壁の中央で透明な正方形のガラスが集合し、ひとつの大きな十字架を形作っていた。
パイプオルガンの讃美歌が聞こえる。そこで、奥に一人の男子生徒を見つけた。どうやら、何かを歌っている。
俺の足音に彼は振り返る。
青く腰ほどまで長い髪に、浅黒い肌。少し伏せられた形のよい目。
その姿が俺の瞳に映り込んだ瞬間、そしてその歌声を聞いた瞬間、気付いた。
この人を知っている。それどころか、彼は。
息を吸った。
「俺、
告白のように、問いかける。
「俺と、歌い手グループを組みませんか?」
それが俺と彼──
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