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「ハカセ。

 どうしていなくなってしまったのですか。

 ハカセは今、テレビでもネットでも、とても有名人です。惜しい人を亡くしたと、大勢のヒトが嘆いています。

 ボクはたくさんのインタビューを受けました。

 最初は嬉しくて、ハカセのことをたくさん話しました。でも、次第に思い出してしまいました。

 いつかのガラクタを、あっという間に忘れていったヒトたちを。

 だからボクはハカセの記憶を、ボクの中だけに留めておきたいと思うようになりました。

 喋らなくなったボクを、ヒトはいつしか、こう呼ぶようになりました。

『ガラクタ』と。


 ねぇ、ハカセ。

 ボクはガラクタだったのでしょうか。

 ヒトの心とは、一体なんだったのでしょうか。

 ボクは、悪くない。ハカセも何も悪くない。

 その他大勢のヒトが、きっと悪いんだ。

 ねぇ、ハカセ。

 こんなもの、ヒトの心なんて、ボクはもう要らな」


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