桃太郎創世記〜絶対強者への反逆〜

@shingoK777

第一話 桃から生まれた異端

勇敢な風貌をした戦士たちは、一つの強大な存在と対峙していた。


絶対者「お前らごときでは我には届かん。その者たちはいつでも破壊できる」


輝く剣を持つ男「私たちは…お前たちを守るために最後まで戦う」

戦士たちは絶対者を囲む。が——


絶対者が放った大きな雷が、一瞬で辺りを覆い尽くす、

「ぐぁああああああ!!」


ーーーーーーーーーーーーーーー


桃太郎「うわっ!痛い!!」

急激に起き上がったため、彼は箪笥たんすに頭をぶつけていた。


桃から生まれた桃太郎はすくすくと育ち、誰よりも力強く、誰よりも俊敏な少年に成長していた。村の子どもたちと遊ぶときも、彼はいつも圧倒的だった。木登りでは一瞬で頂上まで登り、川遊びでは誰よりも早く泳ぎ切る。しかし、その特別さが彼を孤立にさせていった。


「桃太郎って、なんか怖いよね。普通の人間じゃないみたいだし…」

「そうだよね。あんな力持ち、近づいたら危ないかも…」


村の子どもたちは次第に桃太郎を避けるようになり、大人たちも彼を遠巻きに見るようになった。老夫婦だけが彼を温かく見守っていたが、それでも桃太郎の心にはぽっかりと穴が開いていた。


## 鬼の噂


ある日、村に恐ろしい噂が流れ込んできた。

「鬼ヶ島の鬼どもが近くの村を襲ったらしいぞ」

「うちの村にも来るんじゃないか?」

「どうするんだ! 誰か鬼退治に行ける者はおらんのか!」


村人たちは怯え、ざわめいていた。その様子を見た桃太郎は、胸の奥で何か熱いものが燃え上がるのを感じた。


「俺が行こう。俺ならできる。」


桃太郎はそう告げると、自分の決意を固めた。老夫婦は最初こそ反対したものの、彼の真剣な眼差しを見て、最終的には送り出すことを決めた。


「これを持って行きなさい」

老婆は特製のきび団子を作り、それを桃太郎に渡した。

「ありがとう、おばあさん。必ず鬼を退治して帰ってくるよ」


## 旅立ち


翌朝早く、桃太郎は旅立った。背中にはきび団子の包みを背負い、その目には決意が宿っていた。

広大な山道を進む中で、彼はふと空を見上げた。青空には一筋の雲が漂い、その形はどこか不思議な模様を描いていた。それはまるで、自分に向けられた何者かの視線のようでもあった。


「俺は一体何者なんだろう…」


孤独な心に浮かぶ疑問。それでも足は止めず、一歩一歩前へ進む。そして、この旅路で彼が出会う仲間たちや、自分自身に隠された運命など知る由もなく、新しい冒険への幕が静かに上がったのであった。


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次回、「異形の友、犬彦たちとの出会い」

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