【第5話】謎の贈り物?
◯静かな胸騒ぎ
クマンズ(#kumans)の船室は地面に半分埋もれていて、ちょうど真上にクマンザ(#kumanza)がいる。暇になると遊びに行ってる関係だ。
9個の船室のうち3個は外れてしまった状態で、森のなだらかな丘に突き刺さっている。クマズン(#kumazun)は既に5年以上動力源を修理しているが、まだまだ時間がかかりそうな様子らしい。
同じ生命体から分離独立した訳だが、異なる形態に進化していくのも面白いと言えばおもしろい。行動派のクマズ、クマオ&クマローの双子の兄妹は部屋にいたためしが無い。クマズンは体が大きいクマだが、どちらかと言うとコツコツ時間を掛けて物事を仕上げていくのが性に合っているようだけど、今回自分の責任も感じてか、一日中、中央動力源の部屋にこもったきりだ。
……………………
「いい天気じゃな!」
ノックしてクマンザ(#kumanza)が入って来た。ちょうど飲み物を用意していたクマンズは振り返った。
「おお〜ちょうどいいところに来たのぉ〜」
彼はこの惑星で言うところの「茶」を用意していたところだった。彼らは船室から出て惑星探索に行きたいのはやまやまだが、若干初老も手伝って、だいぶ億劫になっているのであった。
〜切り出したのはクマンザの方であった〜
「もう…そろそろ…何か始めよう!」
クマンズは船室の外に広がる景色を眺めていた。船室には緑色した生命力溢れる草が覆い尽くしており、このまま時が過ぎれば、文明に忘れ去られた遺跡のようになるのはわかっていた。
〜なにか始めよう〜
二人は本当にそう思っているようだ。
〜その前に ……………(^^;
「この船室切り離さないと埋もれてしまうな」
………………(^-^;
「確かに」………ʅ(◞‿◟)ʃ
◯ご機嫌なクマンズ
クマズン(#kumazun)は心良く引き受けてくれた。本体の動力源以外は壊れていないので、あっという間の作業だった。巨大な磁力で固定されていただけだったので、クマズ達も見守る中クマンズ(#kumans)の船室は見事に空中に浮遊した。
「どこに着地させましょうか?」
本当はすぐそばで良かったのですが、クマンズにはちょっとした考えが浮かんでいた……
……………………うーんそうだな…!
数キロ先に巨大な岩がむき出しになっている場所があると、かつてクマズに聞いた事があった。風は強いし危険度は今以上に強くなる事は承知の上だ。今まで草に埋もれていた部屋とは全く違う世界観を作り出してみよう…クマンズは始めてもいないのに、ワクワクする気持ちが抑えきれない様子だった。
〜遠い昔に…何となく思い出せないが……
こんな状況があったような……気がする
結局設置されたのは、岩と岩に挟まれた地上10メートルの安定した場所で、景色は今までとは比べ物にならないくらい抜群だった。クマンズは終始ご機嫌だった。
「嬉しい😆こんな気持ちは初めてだ」
クマンザ(#kumanza)もつられて嬉しそうだったが、一体、クマンズは何をすると言うのだ。誰も理解が出来ずにその場にいた。
〜夜が来た〜
クマンズは遠くから聞こえる、聞いたこともない生き物の声に少したじろいたが、いつもより深い眠りにつけたようだった。
すでに仲間たちは自分の船室に戻っていたが、みんな同じ様にクマンズの事が気になっていた。
◯謎の贈り物?
〜夜が明けた〜
〜陽の光がこんなに眩しいとは〜
クマンズはいつものように軽い食事を済ませると、船室から地面に降り立った。そう〜こんな気持ちはかつて無かった事だ。
〜クマンズは歩き始めた〜
〜気持ちいい〜
なんて気持ちいいんだ!
しばらく歩いていくと自然の森とはちょっと違う、手を加えられた雑木林が見えて来た。ちょっと警戒はしたが構わず進んだ。木々の間に何やら建造物のようなものが見えてきた。木の部分は朽ち果てていたが、石で固められている部分は無傷で、強固なドアが付いていた。透視スコープに似た生体反応装置は、誰もが持っていたので中を覗いてみる事にした。
「何だ?これは」
素材の異なる入れ物に入った液体が大量に保管されていた。だいぶ時間が経っている。管理する人さえ死に絶えてしまった事だけは見て取れた。
「飲み物のようだな」
空気に触れないように厳重に栓がしてあることはわかった。
〜誰かが大切にしていたんだろう〜
クマンズは石のドアを開けて、
一番手前の瓶を太陽にかざしてみた。
〜なんて綺麗な色だ〜
無性に飲んでみたくなったクマンズ。
…一口飲んだ…
〜何だこれは?
完全に熟しきってる〜
〜素晴らしく最高に美味しい😋〜
クマンズに脳天直下の激震が走ったのはお察しの通り。瞬く間に数本を空にしてしまったが、まだ奥の方まで大量に瓶があるのがわかった。
「相当楽しめるぞ〜コレは!」
クマンズにとって
〜得体の知れない胸騒ぎとは〜
この事だったのかも知れない………。
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