第34話 昇進

戦果の報告

フランス解放作戦を終え、日本艦隊は日本へと帰還。山本五十六の指示で、岡本晃司少佐と渋野忠和中尉は、南雲中将からの詳細報告書を携え、軍令部の永野修身総長に面会した。


永野は報告書を読み進めるうちに、声に力を込めた。

「これは実に素晴らしい。連合国軍の勝利を支えた作戦であり、我が日本軍の力を世界に示すものだ」


「ありがとうございます。しかし結果的には史実通りに近い展開だったので、私たちも予測しやすかったのです」と晃司が謙虚に答えた。


忠和も続ける。

「作戦の詳細はその場で練り直しましたが、全体の大局は事前に想定していました。それが成功の鍵でした」


永野は頷き、伊藤整一次長に昇進の案件を進言するため、二人を連れて執務室を後にした。


昇進の審議

伊藤次長の執務室にて、永野は南雲中将から預かった報告書を手渡した。

「伊藤次長、この二人が作戦を立案し、結果を出した。この功績により、渋野中尉の昇進を検討してもらいたい」


伊藤は報告書を熟読し、唸り声を漏らした。

「確かに見事な作戦だ。史実を踏まえた上での巧妙な戦略が光る。渋野中尉の昇進は間違いないだろう。岡本少佐については、海軍省への具申が必要だが、可能な限り後押ししよう」


晃司は静かに頭を下げた。

「ありがとうございます。ただ、私の昇進は状況次第です。渋野大尉の昇進が正式に決まれば、それで十分です」


忠和も謙遜しつつ口を開いた。

「作戦は晃司と私の二人で立案したものです。岡本少佐の功績が評価されるよう、改めてお願いしたいです」


「その点も考慮しよう」と伊藤は微笑み、二人を待機室へ案内した。


辞令の授与

翌日、永野の執務室に呼ばれた忠和は、大尉への正式昇進の辞令を受け取った。

「渋野大尉、おめでとう。この功績に相応しい昇進だ」


「ありがとうございます、総長」と忠和は礼を述べた。


晃司も永野に頭を下げた。

「私からもお礼申し上げます。軍令部がここまで尽力してくださったことに感謝いたします」


永野は静かに微笑みながら言葉を返した。

「岡本君の件についても海軍省に話を通している。結果を待っていてくれ」


二人はその後、山本五十六の元へ戻った。


艦内の祝賀

山本は二人を見るなり、声を上げた。

「忠和、大尉昇進おめでとう。晃司の方はまだ連絡待ちだが、良い知らせが届くことを祈っている」


「ありがとうございます、長官」と二人は口を揃えて礼を述べた。


山本の勧めで、艦橋の乗組員にも挨拶に向かった二人は、宇垣纒参謀長に出会った。

「渋野大尉、正式昇進おめでとう」と宇垣は握手を交わした。


「ありがとうございます」と忠和が答えると、宇垣は続けた。

「岡本少佐、君の昇進も近いだろう。軍令部もその価値を理解しているはずだ」


次に出会った黒島亀人首席参謀は、二人に笑みを向けながら言った。

「堅牢堅実不敗の渋野忠和、奇想天外常勝の岡本晃司。そんな異名が広まりつつあるらしいが、まんざら間違いでもないな」


次なる一歩

山本の助言で、二人は海軍兵学校へ向かい、園田一花中尉と井上胡桃少尉に昇進の報告を行った。


「おめでとうございます、渋野大尉。これからもお二人の活躍が楽しみです」と一花が笑顔で祝福した。


胡桃も続ける。

「史実の確認だけでなく、私たちにできることがあれば、何でもお申し付けください」


晃司と忠和は、その声援を胸に刻みつつ、次なる任務に向けて心を引き締めた。


彼らの道は、今や一層明るい未来に向かって拓かれている。

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