第4話 セクハラ

 その日も私はサービス残業で居残っていて、オフィスにはカレと二人きりだった。


「お前、髪切ったんだな」


 データー入力をしている私の肩に手が置かれた。


「サービス残業中にパソコンを扱うのはパソコンの稼働履歴が情報センターに残りますから良くないのです。早くパソコンを閉じたいので協力して下さい」


「だったら、もう閉じてしまえよ」


「明日朝一で資料を欲しいとおっしゃったのは課長です」


「朝まではまだまだ時間があるだろう! こういうの昔もあったよな!お前がオレの部屋に来て、仕事だけじゃなく色々とやったじゃねえか」


「そうですね。あなたは私の長い髪にご執心で散々おもちゃにしたけれど……翌朝、出勤前には『洗面台にくっ付いていた髪の毛が指に絡んだ!』って腹を立ててました……」


 言い終わらない内にカレの手が私の襟元に差し込まれたので私は身をよじって逃れた。

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