につめる
とまそぼろ
につめる
砕いたあなたが在るのなら、
あなたが
ええ、あなたがお気に入りだったバスケットに詰めたのは、薄く切った手焼きのパン。あなたをたくさん頬張れるように、あなたの味が掻き消えてしまわないように、薄く薄く切ったパン。
ほら、薄へらで、ところどころに小穴の空いたパンが見えますか? それなら彼岸で
草々の背を折って腰を降ろした横には、蝶のつがいがいますね。憎らしくも私たちとは違って、ありふれた恋模様のようですが。ほら、
そよぐ風に嘲られる。その温い風は、あなたと見紛わない。熱を帯びたあなたの吐息はもう少し
あなたをふんだんに、お気に入りのスプーンでパンに塗りつけて、恥じらいの残るひと口を頬張る。甘かった。あなたの味は、砂糖漬けにせずとも、とても甘い。きっと毒にも劣らない。私に眠る
喉元を過ぎても味が続く。醜い
ああ、次の
ひと通り頬張ったから、バスケットはがらんどう。あなたは私の中で溶かされていく。消えない綺麗事だけを
風がまたそよぎだした。果てにいるあなたの薄ぼんやりとした大好きな笑い声が、小さくも
につめる とまそぼろ @Tomasovoro
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