第4話 時間よ止まれ


「まって……!!!」



今ほど時間が止まって欲しいと思ったことはなかった。頭に駆け巡るは君との思い出。


出会いは4月、桜の木を見上げて変な顔をしていた君を見かけた時だった。自分から見た桜はきれいなのに、君から見た桜には、虫が着いていて、不愉快そうな顔をしてたっけ。


「なんでそんな顔してんの?」


あまりにも気になって話しかけたことから仲良くなった。君がみあげる先を見て、自分も同じ顔をして、見合って思わず笑ったのは、とてもいい思い出。


その後は、クラスも一緒で、席も隣で、毎日お昼を一緒に食べた。


「あ!!たまごやきはだめ!!」

「もーらいっ!」


美味しい〜!!と頬を緩ませてあまりにも美味しそうに頬張るから、つい許してしまったんだよね。


部活だけは違って、帰りも行きも一緒にはならなかった。だから、知らなかった。自分だけ知らなかった。いつも幸せだと思ってた。

でも君は……


「ばいばい。」


そう言って君は、屋上から落ちていった。

2年目の夏だった。

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