第22話 ガロンの教えてくれた事


 私は不意にガロンの事が思い出された。


 (ガロン、きっとまた来るからね)そう心で思った。


 (えっ?フローラ。帰っちゃうの?どうして僕を迎えに来たんじゃないの?いやだ。行かないで~)


 脳内でガロンの悲痛な声がした。


 (どうしてガロンの声が聞こえるの?ガロン、私が念じたことが分かるの?)


 (わかるよ。フローラが呼びかけたら通じ合うんだ。だって僕たちは魂が繋がってるから、あの時フローラが僕を助けてくれたから僕は気づいたんだよ。フローラだって…だから僕はまた魂を繋いだんだ)


 (ガロン。でも、私はあなたが思っているフローラじゃないのよ。もし魂が繋がったなら切り離してくれないと困る…)


 私はガロンの勘違いだと言うが…


 (そんなも無理だよ。だって魂は女神の加護を持つ人間としか繋げないんだ…)


 (そんな…私女神の加護なんて持っていないわよ)どういう事?ちっともわからない。


 (おかしいな。僕が間違う何てことないはずなのに…あっ、あぁぁぁっぁ!もしかしてフローラに何かあったのかも。だってあんな声が聞こえたんだ。どうしようフローラに何かあったら僕…うぇぇぇぇぇん~)


 (ガロン?大丈夫。私もその人の事良く知らないからどうしていいかもわからないよ。でも、悲しまないできっとフローラは大丈夫よ)


 私はそう言いながらもあの時聞いた内容が本当なら何かあった事だけは確かだとは思う。



 しばらくしてガロンが突然声を上げた。脳内で声が弾ける。


 (あっ!あっ!あっ!…も、もしかして君はフローラの子供なの?そう言えばあの時アリーシアを頼むって言ってたよね?君はアリーシアって言ったよね?もし、君がフローラの子供なら魂が繋がってもおかしくはないよね?魂が繋がったら君の女神の加護が目覚めるかも知れないんだ。何か変わった事はない?)


 (そう言えば魔獣退治の時今までになかった力が使えたわ。それってもしかして女神の加護のせい?


 なんなの?それじゃまるで私が女王の子供みたいじゃない!そんな事あるはずないのに…)


 私は激しく動揺した。


 なのにガロンの声ときたら当たり前みたいな偉そうな声で。


 (ああ、きっとそうだよ。女神の加護は色々な力があって人によって違うみたいなんだ。僕は女神に仕えていた聖獣だったんだ。だから僕と繋がると女神の加護を受けるんだよ)


 (じゃあ、女神の加護って魔力がアップするって事なのよね?)


 思い当たる事に余計戸惑いを覚える。


 (そうだよ。結界を国中に張る事が出来たり、浄化や治癒も飛躍的に力が増すはずなんだ)


 つらつらと話をするガロンとは打って変わって私はとにかく誰かに聞いて見なきゃと焦る。


 (ねぇ、アリーシア?もうこれでわかったでしょう?)


 なにが?と思うがああ、そうだった。脳内の思考がガロンに伝わるんだった。これ以上がロンを刺激したらここまで飛んできそうな気もする。


 私は急いで気持ちを切り替える。



 (そうなんだ。じゃあガロン、私一度教会に帰って詳しい話を聞いてみるから。ネッ、少し時間をちょうだい。でもね、私は生まれてすぐに教会に捨てられていたんだよ。何かの間違いかもしれない。だからあまり期待しないでね。また詳しいことがわかったらここに来るからそれまで待っててくれる?)


 (う~ん。仕方がなさそうだね。我慢する。でもなるべく早く戻って来て。僕はもう君の従僕なんだから、ここにずっといるつもりはないからね)


 (わかったから、無茶はしないでみんな驚くから。ここでちゃんと待ってて、約束よ)


 (わかったよ~約束)


 (うん、約束ね。じゃあ、またガロン)


 何とかガロンを納得させられてほっと息をついた。


 「アリーシア大丈夫ですか?さっきから独り言がすごいんですけど?」


 「あっ、えへへすみません。ロベルト神官急いで帰りましょう」


 私は神官と教会に急いだ。


 (私の生まれた時の事聞いてみなくてはと…それにしてもガロンの言ってるフローラってやっぱりイエルハルド国の女王なの?女神の加護を受けれる人って…ううん、そんなばかな事あるはずがないなじゃない)


 私は言いようのない不安な気持ちで教会を目指した。




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