第10話 流れ星

 外から大きな音がした。

 ルイは雷かと思い、窓の外を見た。

 いくつもの流れ星が、夜空を縦に切り裂き、遠くの山に落ちていく。落ちた星は山の頂上で眩い光を上げて爆発している。

「あれは、隕石を集めて鉄を作る工場だよ」

 窓辺に立つルイの背中に向けて、モナが言った。

「隕石を、集める?」

「うん。ここは隕石が多い。だから集めて、煮詰めて、鉄にする。隕鉄は最高級品で、よく売れてる」

「なるほど。興味深いですね」

「他の世界だと、隕石はそんなに降らないんでしょ?」

「『流れ星が流れる間に、三回願い事を唱えると、願い事が叶う』というおまじないがあるくらい、珍しいことです」

「ふうん。ここだと願い事しほうだいだよ。なにをお願いする?」

「そうですね……」

 ルイは答えようとして、これがかなりの難題であることに気づいた。

「……モナさんは、どんなお願いを?」

「兄さん達と再会して、今までどおりに暮らしたいよ。あと、外の世界の時計を見たい。時差っていうのを見たい」

「時差ですか。それはもう、外に出たら叶いますよ」

 山の上で光が炸裂する。一瞬、真昼のように明るくなる。虹色の光線が四方を照らす。

「私は、いつまでも健康に旅ができたらいいですね」

 ルイの口から願いがこぼれ落ちた。

 モナは答えなかった。ルイは振り返る。彼女は、作業台に突っ伏して眠っていた。

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