10年間オナ禁したら最強になった件
春鹿キウイ
第1話 佐藤湊という男Part 1
「ブウゥゥゥゥ!!」
それは大きな音と共に強烈な臭いを放った。
「うわっ!」湊は急いで鼻を覆った。
それは父親である強のオナラであった。
強は生来大胆な男だった。現役で合格した国立大学を中退し、強くなりたいがために自衛隊に入隊した。6年勤めた後に自分のパーソナルジムを作りたいと思い、すぐに自衛隊員からパーソナルジムを起業したほどだった。
湊はそんな父親が苦手だった。
活発な強とは違い、湊は引っ込み思案な性格だったからだ。
そんな父親が去年、交通事故で亡くなった。
女の子を助けるために犠牲になったのだ。
佐藤家は恐ろしく静かになった。母親の春子は夫の死を悲しむ間もなく仕事に打ち込んだ。
幼い妹の妹子は父親の死を理解ができないようであった。
翌年、湊は受験生になった。
湊の通っている二牢高等学校は、いわゆる自称進学校であった。「周りの生徒が進学するから自分もとりあえず進学しよう」「やりたい事は大学生になって決めたらいいわ」周りの生徒はこのように考えていた。
しかし、湊はYoupoopで見ていた、なんちゃってTVの影響で高学歴への憧れを抱いていた。
湊は隙間時間を有効活用しようと思い、小便の最中でさえ英単語を覚えていた。
周りから白い目で見られていても志望校合格しか見ていなかった湊には何も問題がなかった。
季節は巡り、受験の季節がやってきた。
毎日塾通いをし、週平均で12時間ほど勉強してきた湊は自信に満ち溢れていたが同時に不安も抱いていた。無常にも大学受験の一次試験が始まる。
「受験票持った?カイロ持っていきな?」
母親である春子は笑顔で湊を送り出した。
初めての受験会場なので湊はとても動揺していた。朝食べたものが口から出そうなほどだった。
「開始!」
一斉にペンを走らせる受験生の姿は鬼気迫るものを感じさせた。一呼吸おいて湊もペンを走らせた。
「やめ!」
1教科目が終わった。
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