家族
辛い体験は幾度もしてきた。学校はなぜ連帯で責任を負わせるのだろう。団結がそんなに大切だろうか。人と同じようにできなくてはいけないのか。今頑張らないと将来に繋がらないなんて、今すぐにわかることでも無いだろうに。幼稚な頭の中はいつも『学校に行きたくない』だの『休みたい』だのそんなことでいっぱいだった。
家族はそんな私の手を引いてくれた。今より不登校について理解が深まっていない時代だった。両親は私が学校に行けなくなることを危惧していたのだろう。何度も学校に通い、先生に相談を持ちかけ、長年にわたって学校に行くことの抵抗感を無くすようにしてくれた。結局私は最後まで学校に行きたくないという気持ちが無くならなかった。それでも高校卒業まで見守ってくれた家族には頭が上がらない。
来週には就職だ。約二年間、家でゆったりと過ごしてきた私にとって荒波の航海に出るような気持ちだ。研修や面談を重ねているが、不安な気持ちは強い。それでも両親は優しい眼差しと強い激励で鼓舞してくれる。期待に応えられるかわからないけれど、自分のやるべきことをやるしかない。そして夢ができた。働いて稼いだお金を貯めて、いつか家族皆を温泉旅行に連れていく。それまで少しだけ待っていてくれないかな。
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