物騒なならず者人生ながらも大往生し、日本で安らかに天寿を全うしたヤクザの組長、時守(ときもり)。
けれど三途の川を渡ることもなく引っ張り込まれたのはなんと、『死神』を名乗る者たちが秩序を守る不思議な世界──〝幻創の箱庭〟《ザントシュピール》だった。
身体は若返るし、なにやらかっこいい軍服を着せられるし、周りはやたらと強い美男美女で溢れている。
私たちならハフハフ大興奮間違いなしのこの世界も、元おじいちゃん組長には全然響かず(笑)。ただただ彼は生前と同じくマイペースにドンと構え、彼なりの仁義を通して日々を送っていく。
しかし訳のわからないこの『第二の人生』にもようやく適応できた頃、なぜか時守は悪霊たちの親玉に執着されることに。
秘密満載だけど頼りになる相棒死神・ファルシュと共に、時守はどうやら世界にとってイレギュラーである自分の運命と向き合っていくことになるが──。
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死神見習いが元ヤクザ組長(しかも一回おじいちゃんまでいってる)という斬新な設定のダークファンタジーです。
舞台である〝幻創の箱庭〟《ザントシュピール》はタイトルにもなっている『魂花(コンカ)』という花が咲き誇り、場所によっては退廃的な美しさがあるまさにファンタジックな様相。そこに舞い降りる軍服姿の死神たちもまた、静かな強さや美しさに溢れている……はずなんですが、時守さんはここに日本の漢気ひとつでカチコんでいきます(笑)
売られたケンカは買うし、相手が上位の死神だろうがぺこぺこ頭を下げたりしない。常に胸を張り、正しいと思う道を往く。言葉遣いも態度もオラついてるんですが、子供のために悪霊と戦うなどやはりそのハートの中心にあるのは『仁義』の文字ひとつ。痺れますね。
とはいえ元組長はまだまだ死神見習い、ピカピカの一年生です。そんな彼を守る…いやつきまとっているのが、爽やかな笑顔が逆に怪しい死神のファルシュ。実力はピカイチのはずの彼がなぜ自分のような新米に張り付いてるのか解せない時守さんですが、一緒に過ごすうちに少しずつ印象も変わっていきます。
けれど世界は都合よくレベルアップを待ってくれたりはしません。まだまだデコボコバディの二人に容赦無く襲いかかる強力な悪霊たち。その足元で咲き乱れる、白と赤の『魂花(コンカ)』。このふしぎな『箱庭』というシステム。そして相棒の正体。
何層にも用意された伏線に直面するラストシーンでもはたして、死神見習いは『仁義』を通せるのか……ぜひとも見届けてほしいです。
ああでも、箱庭からの帰り道はないかもしれません。
くれぐれも『第一の人生』を手放さずご見学いただきますよう、ご注意ください──。