転生したら最弱職のテイマー?魔物達を連れて迷宮無双
国米
第1話:テイマー
「ミリアムさん、これでいいですか?」
俺は森で一緒に野草摘みをしている女の子にいっぱいになった籠を見せた。
彼女は中身を一通り確認すると嬉しそうに答えた。
「凄い!ちゃんと薬草になる物だけ摘んでます、覚えがはやいですね!」
「いえいえミリアムさんの教え方が上手いからですよ。」
女の子に手放しで褒められると悪い気はしない。
「そろそろ帰ろう、暗くなると危ない。魔物が出るかもしれないからね。」
「まだまだ明るいですよ。それにアルザスさんは魔物を使役する力を持ってるじゃないですか?」
「俺の力はそんな万能じゃないから・・・。」
すると突然、木陰からなにかが飛び出してきた。
驚いてそちらを見ると、美しい女性が立っていた。
一見、人間に見えるが・・・狼のような耳がついており、ボロボロの服から出た手足は体毛に覆われている。
そして大柄で筋肉質の肉体・・・人にあらざる者、魔物である。
その魔物は腕を大きく広げ、叫んで威嚇してきた。
「ウガー!ウガー!」
俺は叫んでいる生物を冷静に見つめて、ため息をつく。
「・・・そういう驚かせはやめろと言っただろう、チョコ。」
「ウガっ?ウガ・・・。」
「ウガウガも禁止だ。ちゃんと話せ。」
するとチョコと言われた魔物は大柄な体をすぼめて、謝った。
「・・・ごめん、マスター。」
チョコは魔物だが、俺と一緒に行動しているパートナーだ。
そういう人達の事をこの世界ではテイマーと言うらしい。
「チョコちゃんは私達を楽しませようとしてくれたんです、そんなに怒らないであげてください。」
するとチョコはミリアムに抱き着きついて頬ずりする。
「ミリアム優しいから好きー!」
「わっ!」
その突飛な行動に俺もミリアムも驚く。
「まったくこいつは・・・人にいきなり抱き着いたらビックリするだろう。特にお前は大柄なんだから。」
「ふ~ん、さてはマスター・・・嫉妬?嫉妬でしょ?」
駄目だこいつは、言葉が通じない。
「でもチョコちゃんは魔物には見えないわ。容姿も人間に近いし、言葉も話せるし。私を襲った魔物は恐ろしい姿で、もしあの時にアルガスさんに助けられていなければ、どうなっていたのか想像するだけで怖いわ・・・。」
彼女はその時の事を思い出したのだろう、真っ青だ。
「危険な魔物相手ではどうなるかわからない。それに、遅くなるとおじさんもおばさんも心配する。早く帰ろう。」
「そうですね、私あの時の事をすっかり忘れて・・・帰りましょう。」
「そうそう、元気だして!かえろー!かえろー!」
「まったくお前は・・・少しは空気読め。」
「くうき?くうきは読むものじゃなくて吸うものだよ?」
(確かに正論だ・・・ってそういう意味じゃないんだが。それとも空気を読むは日本人特有な言葉なんだろうか?)
俺はどうでもいい事を考えながら帰路についた。
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