第壹章 霞童子悲恋譚㉖狭穂彦王の叛乱の真相〜狭穂彦王の叛乱・2000年後〜(満視点)
【甲賀卍谷】は、【起源の大戦】と呼ばれる【人間】対【人外】の大きな【戦争】の際に【殲滅作戦】に使われ、ここで多くの【甲賀忍】が名誉の戦死を遂げた。戦死した【甲賀忍】は全員【英雄】として【戦地】となった【甲賀卍谷】に【人間】が住むお屋敷並の立派な【墓】と【慰霊碑】が建てられている。
満の曾祖母に当たる
満は墓というより屋敷といったほうが相応しい建物の中へ入る。尊と紫紋も後に続く。
中へ入ってすぐの所が【霊廟】になっていて、ここに【慰霊碑】があった。【慰霊碑】には戦死した【甲賀忍】全員の名が刻まれている。
満、尊、紫紋は、ここで黙祷をした。そして黙祷が終わると、一礼し靴を脱いで靴置き場に乗せると奥へ歩を進めた。
ここは【墓】だが、土足厳禁の規則があり【霊廟】から奥へ行くには必ず靴を脱いで進まなければならない。
満たちが進む間に部屋が幾つもあり、観音開きの扉の上に名前が刻まれている。戦死した【甲賀忍】の名だ。【英雄】1人につき一部屋が墓となっている。
満たちは最奥の部屋にやって来た。外観だけでも部屋の面積が広そうなそこの扉の上に刻まれた名は『篁壬』であった。
他の【忍】たちに比べて面積が広いのは理由がある。壬の配偶者が生死不明で、壬の墓を用意する際に壬の子である
観音開きの扉に手をかけた満が扉を開くと、中から酒精の匂いが鼻についたのと焦げた匂いがした。
満、尊、紫紋は身構えた。
満「気配は3つ………各自1人ずつでええな!」
満は、頭数が同じなので敵の場合は各個撃破の指示を出した。
紫紋「お頭、先行します!不意打ちされても【ヴァンウルフ】の俺は頑丈なので!」
見た目がスレンダーな金髪超絶美形の紫紋が頑丈と言っても説得力に欠けるが、彼は【西洋の古族】の【ヴァンパイア
満「よろしく。まあまだ敵と決まったワケちゃうけど、警戒だけはやっといて損せえへん」
満は、尊を見つけた時のことを思い出して敵とは限らないと言った。
実は尊も紫紋も【未来の時間軸】から来た【漂白の者】なのだ。尊は、満の息子が成人した【未来】から来ているので現在の年齢では兄弟に見える年齢差だが、本当は親子である。その尊を発見した場所が墓だったので、満は可能性として【漂白の者】も考慮している。
紫紋を先頭に満を真ん中に挟んで壁際に寄って進んで行く。
2人分の墓なので旅館の大宴会場並の広さと長さがある。壁際に寄ったのは側面攻撃を受ける際の方向を1方向にする為だ。
3人は、警戒しながら進むが何事もなかった。そして、うつ伏せに倒れている【人間】が見えた。
満が床に膝と両手を付いて耳を床に当てた。
満「心臓の音は3人分………呼吸は一服盛られて寝かされとるんか」
【忍】の聴覚では、倒れた人間が接している部分に耳を当てると心臓の音を聴き取ることができる。満は、とりあえず生きてることが確認できたことと眠りが深い呼吸をしていることがわかった。
満「これは、喉元に刃物を突き付けられてても気ィつかんレベルの爆睡や」
つまり、一定時間は目覚めないということだ。満は【医師免許】を持っているので、彼の診断に間違いはないと確信している尊と紫紋は、ようやく警戒を解いた。
そして、3人は倒れている3人に近づく。
真っ先に見て驚いたのは、髪の短い少女の服装だった。
満「こらヒドイな………衣装を無理矢理破られとるやないか」
パッと見た感じでは、少女は邪な目的で衣装を破られたように見える。
紫紋が、介抱しようとしていた1人を女装男子だと言った。
纏めあげられた長い髪はよく手入れされて美しく、髪飾りはかなり高価なものを使っている。衣装はおそらく高貴な身分の者だと考えられる質の良い生地だ。
満と尊は男と叫んでクワッと目を見開いた。全く同じタイミングで同じ表情をする2人はやはり親子だ。息ぴったりである。
満「こんなカイラシイ(カワイイ)顔やのに男!詐欺やな!」
気絶しているから聞かれることはないが、満は結構ヒドイ言い草をしていた。
尊「あ………こっちの女の子と顔が似てますよ。服装から見て身分が高そうだから【影武者】ではありませんか?」
それにしては女の子の短い髪が謎だが、と尊は言う。
紫紋「俺は【日本】の生まれではないから、詳しくわからないけれど………この衣装は【中国】とか【韓国】の衣装ではないのですか?」
紫紋は尊に訊く。【現代】では尊が紫紋より1学年先輩だったので、紫紋は敬語で話している。
尊「うーん【奈良時代】辺りまでは【漢服】っぽい装いだったような………」
尊は紫紋の質問に答えながら、もう1人の若い男を見て髪の短い女の子を見比べる。
尊「男のロン毛に………ショートヘアの少女………この3人は同じ時代なんでしょうか」
尊はもしも【奈良時代】以前の者と仮定した場合、男のロン毛は髷を結う為に伸ばすので違和感がないがそうなると少女のショートヘアが近代的すぎるのだ。
満「元から短いんやのうて、切られたんやったら尊の違和感もなくなるやろ」
満は、少女の服装が破られた衣装なので最悪の可能性の想定が拭いきれなかった。
満は祭壇の壬の写真に視線をやる。
満「曾祖母ちゃん、堪忍な………緊急事態や。また近い内に来るさかい、今日は何にもナシで許してや」
満はお供え物をする時間も惜しいとばかりに、持参したお供え物を備えずに拾った【漂白の者】3人を連れて帰った。
◆ ◆ ◆
そして、満、尊、紫紋の手で満の祖父・
狭穂彦「【狭穂】………お前、男になっているんじゃないか?」
真秀「【狭穂】もだけど、【狭穂彦】だって若返ってる!」
見た目変わってないのは私だけだよ、と真秀は【狭穂彦】と【狭穂姫】に変化があることを指摘した。
そこへ障子をコツコツとノックして満が声をかけた。
満「話が盛り上がっとる所、邪魔するで」
真秀、【狭穂彦】、【狭穂姫】は反射的に居住まいを正した。
満「そう緊張せんでええ。まあ、楽にしてや」
満の関西弁を聞いて【狭穂彦】と【狭穂姫】は、【未来の世界】へ逃げるのに失敗したのではないかと不安になった。彼らの出身の【古代の佐保】は現代の奈良県なので関西弁は耳慣れた言葉遣いだった。【宮仕え】の者や【豪族】は、あまり使わない言語だったが市井では標準的に関西弁が使われていたのだ。
満は、3人の会話をほとんど聞いていて【狭穂彦】と【狭穂】の名前から彼らの素性は判っていた。唯一ショートヘアの少女(真秀)だけが素性不明だが、3人の会話から親しい間柄であることは判ったので【古代人】だということは間違いないだろう。
満「混乱するやろうけど、今は2XXX年の【日本】や。君らがおった時代の約2000年後の【ヤマト国】や。国の名前は【日本】に変わってる」
満の口から2000年後と聞いて、【狭穂彦】と【狭穂姫】はわかりやすく安堵する。真秀はキョロキョロして部屋を眺めていた。純和風家屋なので【ヤマト国】の【豪族】の屋敷とほぼ似通った造りだ。
狭穂彦「よかった………恩人に対して失礼を言いますが、あなたの話し方が【佐保】の市井の者と同じだったので失敗したと勘違いしてしまいました」
申し訳ありません、と謝罪する【狭穂彦】を見て満は【歴史書】から想像した【狭穂彦王】像とは違うなと思った。妹の【狭穂姫】に兄と夫どちらを取ると選択させたり有無を言わせず暗殺に加担させたりと利己的な俺様イメージだったが、目の前にいるのは礼儀正しい少年だ。
満「ああ………【佐保】は奈良やったな。確かに関西弁話す地域や」
奈良と関西弁が【古代人】に通じないが、満はそんなことより失敗言うたのはどういうことや、と質問する。
満「もしかしたら、話したらアカンいう【制約】かかっとるかもしれんから、俺がこれから質問することに『はい』か『いいえ』で答えてや。あ………答えるんがマズい質問やったら嘘ついてええで。あと、3人で相談して答えるのも有り」
結構な好条件を付けて満は3人が頷いたのを確認してから質問をした。
満「ほな、最初は自己紹介から俺は
この質問に【狭穂彦】は、『はい』と答えた。
満「歴史書、デタラメやな!ほんなら、そっちの髪の短い女の子が【狭穂姫】?」
満は歴史書の【狭穂彦】が実物と乖離していることをディスってから真秀に質問を振った。
真秀は、『いいえ』と答えた。
満「ちゃうんか!………ほな、そっちの女装少年が【狭穂姫】?」
満はノリで訊いてみただけだったが、まさかのビンゴだった。
【狭穂姫】は『はい』と答えた。
満は、真秀も【狭穂姫】もガチで答えていたのがわかったので、『実は【狭穂姫】は男の子だった説』を興味本位で訊いてみると【狭穂姫】から発言してもいいかと訊かれた。
満「ええよ。けど喋ってイケるん?喋ったら舌溶けるとか変な呪いかけられてへん?」
満の言葉に3人は、【サクヤ】と【チルヤ】を思い出して彼女たちは、結構あけすけな感じでそういう陰湿な性格には思えなかったので、【狭穂姫】は、自分は元々女の子でこの【世界】で目覚めたら男の子に性別が変わっていたことを話し、それに関係あるのかどうかと【伊久米大王】の求婚から【真若王】にされた最低の行為、そして真秀の親兄弟との別れ、【大王】の私情から【狭穂彦】が謀反の冤罪をかけられたことまで話した。
満「めっちゃヘビィな話やんけ………」
満は、正直こんな犯罪被害者の身の上話──────────時代が変われば犯罪行為だ──────────を聞くことになるとは思っていなかった。
そして、閉めた障子の向こうから嗚咽が聞こえたので満は勢いよく障子を開いた。
すると、そこには真秀の母と兄の最期と【佐保一族】に母親が殺されかけたにも関わらず一族を守ろうとした真秀の覚悟に感動した尊が涙を流していた。
尊「お頭、俺は今モーレツに感動しています!」
満「せやな。見たらわかるわ」
満は、尊にモーレツのスイッチが入ったことに暑苦しいなと思った。
紫紋「お頭、これから【真若王】なる【鬼畜外道】を引き裂いて来ていいでしょうか?」
満「2000年以上、昔の話やぞ。とっくにこの世におらんやろ」
紫紋のほうは【ヴァンウルフ】という【長命種】のありがちな時間間隔から、現在進行形の話になってしまっていた。
満「【ホムチワケ】の父親が【垂仁天皇】でも【狭穂彦王】でもなかったんやな………」
満は、真秀、【狭穂彦】、【狭穂姫】に産まれた子は【ホムチワケノミコト】と名付けられ【丹波四姉妹】の長女【
満「名前のほうは【制約】なかったんやな………何も起こらん。ほな質問の続き、誰に【未来の世界】へ送られたかや。これから【亜神】の名前言うから『はい』か『いいえ』で。ただし、【神】の名前出すから嘘は無しや。嘘言うたら何されるかわからん。代わりに答えられへんゆう拒否権は有りや」
満が【亜神】の名前と言ったことに真秀が【亜神】とはと質問をした。
満「ああ………【古代】は呼び方ちゃうかったな………何やっけ………」
満は【前世】の【
満「思い出した!【管理者】や!せやったな」
満は誰ともなく真秀、【狭穂彦】、【狭穂姫】に同意を求めた。3人は、コクコクと頷いた。
満「ほな聞くで。【サクヤヒメ】と【チルヤヒメ】?」
満は【時間干渉】の【権能】を持つ【亜神】の名前を言った。
真秀、【狭穂彦】、【狭穂姫】は頷いた。
尊「お頭、一発正解!流石です!」
尊は手放しでほめるが、満は【亜神】の個々の【概念能力】を知っていれば絞り込みで正解がわかるのだと言った。
満「君らのように【時空間転移】ゆうて【過去の世界】とかから来た者のことをこの【現代の世界】では【漂白の者】て呼んどる【漂白の者】は第一発見者が面倒見る権利があるから君らが嫌ちゃうかったら好きなだけ
かくいうこの2人も【漂白の者】や、と満は尊と紫紋を紹介した。
尊は【未来】から来た満の実子で、紫紋は現代に比較的近い【未来】から来た【英国】と呼ばれる瞳の色が蒼く【肌色】が白いのと髪の色素が薄い色合いが特徴の外国人だと言った。
紫紋の深海のような蒼い瞳に色の無い白色肌と明るい場所で透けてキラキラ光る髪は、【古代人】には初めて見る色彩だった。
満「【漂白の者】が現れたら報告義務があるから、【
【影武者】役の真秀がいるので嘘がバレる可能性は低いと満は言った。
満「【漂白の者】は【時空間】を超える時に、年齢が若返ったり年食ったりはようあることなんやけど、性別が変わったゆうのは初めてや。せやから、これバレたらヤバい研究者とかに狙われて誘拐とか物騒なことになる」
まあ誘拐なんかした日には、誘拐犯は生まれて来てごめんなさいとあやまりたくなるような恐怖体験を味わうことになるが、と満は紫紋に視線を向けてそう言ってから、誘拐とか過剰防衛とかを避ける為の方便で嘘の報告をするつもりだと、満は【狭穂姫】の性転換を隠し通す方向性を示した。
満「【狭穂姫】は実は男の子で、性別がバレそうな場面は【影武者】を使っとったゆうことで話合わせよか」
至れり尽くせりの待遇に、自分たちより前にいる【漂白の者】を保護しているだけあって慣れている人に見つけられてよかった、と真秀、【狭穂彦】、【狭穂姫】は安心した。
満「あとは、名前やな。【狭穂彦】と【狭穂姫】は先人が記した文献で【日本人】は知ってる
真秀は、自分が【先住者】という【長命種】で自分を知る【先住者】がまだ存命なら判るように名前は変えないと意思表示した。
尊と紫紋は【先住者】という単語に、首を傾げる。【長命種】の種族名だと思っているのでそんな名前の種族はあっただろうかと考えていた。
満「【古族】のことや。【奈良時代】あたりまで【先住者】言われてたはずや。【平安時代】には【古族】に変わったて聞いとるわ」
満の口ぶりから【古族】を知ってそうなので、真秀は【山】へ行けば会えるのかと訊いてみた。
満「知り合いは【天狗】なんか?【山】に引き篭もっとる【種族】は今は【天狗族】ぐらいとちゃうか」
満は、現代の【古族】について詳しく話した。
満「めっちゃ省略して簡単に言うたら、現代では【古族】は普通に【人間社会】で生活しとる」
何がきっかけで【古族】が【表舞台】に経済進出したかはわからないが、現代では【長命種】というアドバンテージのある【古族】のほうが頭1つ分優位と言えるのが満から見た【古族】の姿だと言った。
紫紋「【古族】ならば、【種族】がわかれば尋ね人は比較的見つかりやすい」
紫紋は、自分は【西洋の古族】で【ヴァンウルフ】という【
真秀「種族は、【
満は【鳥人族】と聞いて真秀の将来は確実に美女間違いなしの美貌に納得したが、後に続いた自分で【翼】を切り落とした発言に目を剥いた。
満「エライ気合いの入ったお嬢さんやな!」
満は、真秀を着替えさせた妻から背中に2箇所アザがあると聞いていたので、アザと【翼】があった箇所を結びつけた。満の妻は、あんな大きなアザが2箇所も残るほど痛めつけるなんて許せんと激オコだったが勘違いのようなので、後で正しておく必要があると考える。もっとも真秀は【
満「それやったら逆に、【翼】を切り落とした【鳥人族】として【伝説】になっとるかもしれへん。まあ【鳥人族】やったら比較的、同族に会える可能性が高いわ。あの種族は綺麗所が揃っとるさかい、女優とかモデルとかやって【芸能界】で活躍しとる」
満は、いざとなったら紫紋を【芸能界】へ入れてコネ作っちゃると言った。この発言が現実のことになるのはまだ少し先だが、満は有言実行する人である。
紫紋は、「枕営業をやらなくていいなら」と言っているので彼も【芸能界】入りは満更でもなさそうだった。
満は真秀のほうは、裏工作すれば【古族】と引き合わせることができそうなのでひとまず完了したことにした。そして【狭穂彦】と【狭穂姫】に、現在の【皇族】について話した。
満「【古代】では【天孫族】言われてた一族は現代では【皇族】に変わっとる。【大王】は【天皇】言われてる。そんでもって、俺の祖父ちゃんが10代の頃に【起源の大戦】ゆうて大きな【戦】があった。その時に【革命】があって【日本】は【国王制】に変わった。今は、【皇族】は【血統稀少種】ゆう『稀少種保護対象』になっとる」
【血統稀少種】とは【血統】そのものが【稀少】という意味で【日本】では【皇族】が唯一の【血統稀少種】である。現代でも【アマテラスオオミカミ】の直系血族の【皇族】を【日本】の象徴と考える思想は根強く残っている。
満「【狭穂彦】と【狭穂姫】の親戚言える【皇族】はおるけど、簡単に会える存在ちゃうゆうことやな。【皇族】には公務の義務もなくなったし、それぞれ自由気ままに外交やっとることになってるわ」
まあ、周りボディガードに固められてるからホンマに自由かどうかはわからんけどな、と満から見れば窮屈そうなので曖昧な言い方をした。
狭穂彦「【皇族】………と呼ばれる方々には正直、会いたくありません。俺は謀反人になっているので禁錮される可能性が………」
【狭穂彦】は冤罪で謀反人にされたことがトラウマになっているようだ。
狭穂姫「私も………自分の【お胤】ではない子を押し付けて逃げて来たので………」
【狭穂姫】の身の上話から【ホムチワケノミコト】が托卵された子だとは判っていたが、それを肯定する言質を取った結果になり満は微妙な気分だ。
満「俺もびっくりや。まさか【垂仁天皇】が色狂いして謀反デッチ上げしてたなんて、【戦争】のなかった【平和】な御世やったんやなて感心しとったのに、ド腐れ底辺クズ野郎に格下げや」
満の【
そして真秀と【狭穂彦】と【狭穂姫】の3人は視線を合わせて頷き合うと【狭穂彦】が代表で言葉を告げた。
狭穂彦「あの………かなり難しいかもしれないのですが、【先住王】に会うことはできますか?」
満の背後で尊と紫紋が「大物キタコレ」と言っているが【古代人】にキタコレのノリは通じない。
満「現代には【海】と【山】の【王】がおるけど、【山】のほうでええんかな?」
【鳥人族】が【山の民】なので満は【山】と言った。
真秀「できればお二方と言いたいのですが………無理難題はわかってますので………」
満「2人ともイケるで!」
真秀「せめて【山の先住王】の………ええっ!お二方と会えるのですか!」
真秀は【古代】でお世話になった2人に会いたかったが、両方無理なら縁の深い【山】の方だけでもと思っていたのだが満は両方にコネがあるようだ。
真秀、【狭穂彦】、【狭穂姫】は満が只者ではないと思い始めた。【先住者】の真秀には【人間】と【先住者】の違いが判るが、満は【人間】には違いないのだが言葉で表すなら、かなりランクの高い【人間】──────────満は美男子だが容姿が整っているとかではなくスピリット的な意味だ──────────だと感じた。
満「【古族の王】について言うとかなアカンことがあったわ。会わせることはできるけど、2人とも真秀嬢の知ってる【王】とちゃうねん」
満は、【陸の王】の【
真秀は永遠の存在とされていた【先住王】が天寿を迎えたことに驚いた。
真秀「【闇嶽之王】って………【上様】が【山の先住王】に代替わりしたんだ………それじゃあ【
真秀は【先住者】なので、【先住王】の代替わりがどのようにして成されるか知っている。沈んだ表情の真秀を見て満は、【山の先代王】を知っていたのかとバツが悪そうになる。
真秀「私たち、【
【先代・大闇主之王】の立場がない言われようだが、いない人に会いたいと言われても会わせるのは無理なので、ひとまず深く考えるのを満はやめた。
満「生まれ変わりの2人とも俺の親戚なんや。【大海主之王】は、俺の叔父さんで【闇嶽之王】は従兄や。せやからアポ無しで、いきなり呼び出しもできるで」
満は、脳裏に祖父・
真秀、【狭穂彦】、【狭穂姫】は、生まれ変わった別人と聞いて心の整理をする時間が欲しいと言って顔合わせは保留案件になった。
また【狭穂彦】と【狭穂姫】は改名する意思表示をして、名前は満に委任した。【狭穂彦】は最も尊敬する【闇嶽之王】から1字頂きたいと希望があったので【
そして、4年後の【柳生一門】の【柳生武藝帖】を巡る混乱の際の合同演習の【ブートキャンプ】で嶽斗と那岐は、【闇嶽之王】の生まれ変わりの朔を見かけるが以前とは別人になっていたことと、朔が【風魔忍】の【先代頭領】という簡単に声をかけられる立場の人物ではなかったことから遠目から眺めるだけだった。
一方、朔のほうは嶽斗と那岐が【狭穂彦】と【狭穂姫】だったことに気づくが、真秀が一緒にいなかったことから満から真秀の無事を聞くまで内心気が気でなかったのは言うまでもない。
◆+。・゚*:。+◆+。・゚*:。+◆+。・゚*:。+◆+。・゚*:。+◆+。・゚*:。+◆+。・゚*:。+◆+。・゚*:。+◆+。・゚*:。+◆+。・゚*:。+◆
『霞童子悲恋譚』はこれで完結です。
タイトル回収してませんが、【霞童子】と【真若王】が生まれ変わって再会して一応は恋仲になるけれど最終的には何らかの理由で別れることになる原因は書いているので、ご了承ください。
【狭穂姫】が男の子になってしまった経緯は、【秩序の神コスモス】が「托卵許すまじ」でキレたのを【混沌の神カオス】が「それなら出産の権利を無くして男にしてしまえ」の結果と私の脳内ではそうなっています。この経緯を書くと【亜神会議】とかに発展して完結が遠のいて行くので割愛しました。
次の時系列は『柳生武藝帖篇』です。幕間の話になります。【柳生の庄】のグループが別動している人物を拾って【ニライカナイ】に向かう間のお話です。
https://kakuyomu.jp/users/mashiro-shizuki/news/16818622175941818949
忍ーSHINOBI【祭典】ー真田十勇士篇 紫月 白 @mashiro-shizuki
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