第壹章 霞童子悲恋譚⑳狭穂彦王の叛乱の真相〜未来人の助言〜
【大海主之王】は、【大闇見戸売】の【館】で賓客扱いの『おもてなし』を受けていた。海辺の【亀の乗り物】の中にいた一寸法師とウラシマも【大闇見戸売】に招待されて【館】で賓客扱いされている。彼らは【国造り】の【スクナビコナ(一寸法師)】と【天孫族】の始祖の【日向三代・ホオリノミコト(ウラシマ)】なので、【先住王】と同じ格別な『おもてなし』をされている。
真秀が【翼】を切り落として、そこからの流血による血溜まりの上に気絶しているのを見た【大闇見戸売】は半狂乱寸前だったが、一緒にいた【闇嶽之王】が取り押さえて落ち着かせた。【大海主之王】は、【スクナ(一寸法師)】が【薬学】に精通していると言って連れて来た。ウラシマはオマケでついて来た。
大海主之王「我は、非常に長く生きているが、あのプライドの塊のような【
前代未聞の大事件だが、【狭穂姫】の【侍女】役を務める為にやったことだと聞いて豪胆な娘だと【大海主之王】は真秀を賛辞した。
一寸法師「彼女………残ったもう【片翼】も切らなければと言ってましたけど………【幻術】が使えるなら【翼】を見えなくしてしまえばいいのでは?」
一寸法師は【幻術】で視覚を誤魔化せるものを、なぜ痛い思いをして【翼】を切り落とすのか不思議であった。
ウラシマ「もしかして………ドM!」
ウラシマが、【古代人】に通じない【ワード】を口にしたので【闇嶽之王】に「ドMとは何だ?」と質問されている。
ドMを【古代人】にわかるような【ワード】に訳せないウラシマは、返答に困ったが頼りになる兄の一寸法師が答えてくれた。
一寸法師「『加虐嗜好』のことです」
闇嶽之王「んなわけねえだろ!」
思わず声を荒げて反論した【闇嶽之王】は、質問に答えてもらっておいて無礼な態度だったのをスマン、と詫びる。
闇嶽之王「とにかく………真秀は、まだ14才の娘なんだ。そんな変わった嗜好は、まだ覚えるのは早い!」
もう少し大人になったら良いのかとツッコミが入りそうな言い方をする【闇嶽之王】へ【大海主之王】が【花婿】が見つかったなら大人だろう、と言った。
闇嶽之王「………まだ14才の娘なんだよ………」
歯切れの悪い【闇嶽之王】の言い方に【大海主之王】はピンと来た。
大海主之王「おい、【婿殿】とは、まだ契っていないのか!」
一寸法師「【
一寸法師は【古代】に順応しているようだったが、14才で夫婦の契りを交わすことに対しては元いた【現代】の法律や道徳観念から拒否反応を示していた。
闇嶽之王「【高天原】は、文明が進んでいると思ったが………結婚に関しては結構、奥手なんだな」
一寸法師は【現代日本】のことを指していたのだが、【闇嶽之王】は【高天原】のことを言っていると解釈していた。
【大海主之王】は、現在ここにいるのは自身と【闇嶽之王】と一寸法師、ウラシマの4人だけなので一寸法師とウラシマの秘密を暴露することを決めた。
大海主之王「【
いつになく真剣な表情の【大海主之王】に【闇嶽之王】は、面倒事でなければいいのだがと思いながら話を聞く意思を示した。
大海主之王「【スクナ】と【ホオリ】は2XXX年の【日本】から【時間遡行】して来た【未来人】だ」
【闇嶽之王】は、【大海主之王】へいくつか質問していいかと訊いた。【大海主之王】は、質問を許可する。
闇嶽之王「まず、【日本】というのは………【大陸】の国のことか?」
【古代日本】は【ヤマト国】が国名だったので、【闇嶽之王】が外国と思ったのは無理もないことだ。
大海主之王「ああ!スマン。【日本】というのは【ヤマト国】だ。2XXX年の未来では国の名前が【日本】に変わっているそうだ」
闇嶽之王「なるほど………【ヤマト国】の【未来人】ということか」
【未来人】だという点は、【闇嶽之王】は疑いもせずにすんなりと信じられた。先の【未知の生物】の情報や【神鳴り】を人造したりと、【古代】ではあり得ないことを知りすぎているからだ。
闇嶽之王「ん………?では、【ヤマト国】はこの先2千年は続くということなんだな」
【闇嶽之王】は、正直【イクメ】の御代で【ヤマト国】は【
ウラシマ「あー………確かに、あの【天皇】だと【未来】を知ってても【ヤマト国】ヤバいな、と思ってた」
ウラシマの言う【天皇】とは何かと【闇嶽之王】は訊く。【古代】では【
一寸法師「【
一文字も【伊久米】と被っていない所に【闇嶽之王】は、何を基準に【天皇】とやらの名前を決めているのだろうかと疑問を口にした。
一寸法師「【天皇】の名前は、基本ご逝去なされてからつけられるので生前の業績や【大王】の特徴で名付けされてるかもしれませんね」
【闇嶽之王】は、【イクメ】が鬼籍に入った時に【垂仁】と名付けられるわけだなと言った。そして、割とどうでもいいことなのだが先代の【
一寸法師「【崇神天皇】です。字は『崇める神』となっています」
闇嶽之王「【神】のごとく崇めろってことなのか?………まあ、あいつは結構デキる【人間】だったからその名は相応しいかもな」
『
【闇嶽之王】は、次の質問に移った。
闇嶽之王「お前たちが【未来人】ということは、【スクナ】と【ホオリ】は既に屍人で、お前たちは【転身者】と呼ばれる存在なのか?」
【転身者】とは1つの生涯を終えて次の生涯へ生まれ変わりを果たした者のことで【転生者】と同じようだが、【転生者】は【輪廻転生】と呼ばれる宇宙の真理あるいは摂理で、【転身者】は【輪廻の輪】から外れて生まれ変わっているので過程が違うのだ。
ウラシマ「【山の若様】は、俺と兄者が【転身者】だってわかるのか!」
【闇嶽之王】はカマをかけるような言い方だったが、カマをかける気で訊いたのではなかった。一寸法師とウラシマから【スクナビコナ】と【ホオリノミコト】本人の【
闇嶽之王「お前ら、義兄弟だと言っていたが【転身者】なら【元の世界】では実の兄弟なのか?」
【闇嶽之王】は疑問形だが、実の兄弟確定で質問している。
大海主之王「【
一寸法師とウラシマを【転身者】と結論づけて、そこから【元の世界】での一寸法師とウラシマの関係を言い当てた【闇嶽之王】は、相当に頭脳がキレる。
一寸法師「そうです。僕たちは兄弟が多くて………僕は第一子でウラシマは第五子です。見た目は僕は子どもですが、ウラシマより10才以上上です」
【闇嶽之王】は、【先住者】の感覚なのか特に驚かない。【現代人】なら見た目子どもの一寸法師が大人の姿のウラシマより10才以上年上だと聞けば驚く。兄弟が多いのも、この時代では【
闇嶽之王「他の兄弟は、【元の世界】に残っているのか?」
行動を共にしているのが2人だけなので、ここに来ていないと推測したが、【闇嶽之王】の推測は半分当たりで半分ハズレだった。
ウラシマ「俺は、ここに来る前は姉上と一緒にいた。………だが、ここに来た直後は俺1人で、兄者が俺の気配に気づいて訪ねて来てくれなかったら再会できなかった」
ウラシマは、はぐれた姉に関しては自分を【古代日本】へ連れて来た【亜神】から別の時代に運んだと聞いていると言った。
闇嶽之王「【亜神】?………名前から【神】なのか?」
ウラシマ「【古代】には【亜神】がいなかったかな………」
一寸法師「多分、いるはず。【亜神】という呼び方をしていないだけだと思う」
一寸法師とウラシマの会話を聞いて、【闇嶽之王】は特徴を聞いたらわかりそうだなと考えるが、訊ねる前に【大海主之王】が先に答えを言った。
大海主之王「【管理者】あるいは【監視者】と呼ばれる『神なる存在』のことだ。我の元にウラシマを遣わして、ウラシマの兄弟をあと2人送り込んだと告げ、そして奴らの都合で【未来】から強制連行するように連れて来てしまったので絶対に死なせるなと我に命じた」
【先住王】は【
闇嶽之王「【秩序の神】とか【混沌の神】とかの片方が死ねば、相対するもう片方も死ぬ縛りがある連中のことか!」
【闇嶽之王】の言う縛りは【ニ柱一対】のことだろう。【秩序の神】は【光神コスモス】で【混沌の神】は【
大海主之王「【管理者】の特権で【未来人】を【屍人】と入れ替えたそうだ。おそらく【未来の世界】では、一寸、ウラシマ、召喚先不明の兄弟は死亡扱いになっているだろうな」
そして【管理者特権】で死亡したはずの【スクナビコナ】と【ホオリノミコト】は【未来の転身者】が本人と認識されて、生存していることになっていると【大海主之王】は『事象改変』を口にした。
一寸法師とウラシマは自分たちの【時空漂流(時空転移)】が、起きた出来事を改変してまで行われたことまでは考えも及ばなかったので、我が身が心配になってきた。口封じとかで処分されそうな気がする。
闇嶽之王「口封じは無い。そもそも、【別の世界】から【生命体】を連れて来ること事態【管理者】たちの過半数の同意がなければ不可能だ。お前ら兄弟が強制連行されてることから、過半数の同意が認められてるわけだから『命の保証』は間違いない」
【闇嶽之王】は、視線を【大海主之王】へやる。【大海主之王】に預けたというあたりから、『命の保証』は確定している。【海の先住王】は、懐に引き入れた者は【家族】と考える。これが【大闇主之王】なら、【未来人】の知識を危険視して『命の保証』が怪しいが、託す相手をきちんと選んでいる所から【未来人】の兄弟たちを【元の世界】へ帰す気があるとみなすべきだろう。
ウラシマ「ああ………ヨカッタ!俺たちの母上が亡くなって、遺児の俺らまで死亡したことにされたら父上と
ウラシマの言葉から兄弟は母親を亡くしているらしいことが判った。この時にウラシマが口にした父親と甲の子と孫として2千数百年後に【転生】することを【大闇主之王】も【闇嶽之王】も、まだ知らない。
一寸法師「僕たち【
幾久しくよろしくお願いします、と一寸法師が三つ指ついて挨拶するのに倣ってウラシマも頭を下げる。ウラシマのほうは土下座状態だ。
【闇嶽之王】は、質問責めばかりで悪いがと言ってこの時代の【スクナビコナ】と【ホオリノミコト】の死亡理由を訊いた。
大海主之王「【イワレ】が率いていた【人間】共の【軍団】との【戦争】で【ホオリ】は戦死した。【スクナ】は攫われた【乙姫】を救出した際に囮になって殺された」
【大海主之王】は【乙姫】に一目惚れした【イワレノミコト(神武天皇)】は、娶りたいとこの時は礼儀正しく挨拶に来たのだと言った。しかし、既に【乙姫】はウラシマの妻になっていたのでそれは無理だと言うと落ち込んでお付の者たちに抱えられて帰って行ったが、その日の深夜に夜襲をかけてきて【戦争勃発】となったのだと言う。
闇嶽之王「【人間】は『夜行性』の生き物ではないだろ………」
寝ずに【戦】とは血の気の多いことだと【闇嶽之王】は呆れた。
そして応戦したが、【ホオリノミコト】は戦死してしまった。しかし、【ホオリノミコト】は一騎当千で【朝廷軍】の半数以上を殲滅したので【朝廷軍】は撤退した。この時に【乙姫】を拉致され【ホオリノミコト】の遺体を敵軍に持ち去られてしまったが、その後に【大海主之王】の前に【光神コスモス】が現れ
闇嶽之王「【ミササギアラタ】………それが【ホオリ】の【真名】か。なぜ違う名前を名乗った」
名前は親から一番最初にもらう贈り物だ。この考えは【先住者】と【人間】の共通の見識だった。
ウラシマ「【コスモス】様から、これから連れて行く所では派手に暴れていいと言われたが………万が一、本名が【古文書】とかに載ったらヤバいから偽名を使うよう言われていた」
ウラシマは、連れて行かれた場所が【海】の中だったことと【乙姫】がいる──────────ウラシマが来た時は拉致られて不在だった──────────ようなので【御伽噺】の『浦島太郎』と名乗ることに決めたと、単純なのか意外と鋭いのかわからない。実は本物の【ホオリノミコト】は【人間】の前では『浦島太郎』と名乗っていたのだ。
闇嶽之王「ん?じゃあ、
【闇嶽之王】は、【乙姫】からすれば【ホオリノミコト】の【転身者】は本人と同様なのだろうが、【未来人】からすれば押しかけ女房みたいなウザい存在になっていないか、と考えていた。
大海主之王「ウラシマは、一寸と兄弟再会を果たした時に【ホオリ】の記憶が蘇ったそうだ」
確かに最初は【乙姫】に距離を詰められてウラシマは、困惑していた。【未来人】のウラシマは独身の若者で、【乙姫】は夫を亡くした【未亡人】だったので『ウブな若者に迫る未亡人』の構図に思えたそうだ。
ウラシマは、幼くして母親を亡くしたがそれが病気ではなく殺害されたので仇を見つけ出して、親兄弟の元へ引き連れて懺悔させ遺族たちの制裁の後、然るべき処置をすることだけを考えてきたので見た目に反して女慣れしていなかった。【イザナミ】がイケメン大好き【カムムスヒ】が絶対に見逃さない容姿と絶賛したウラシマの容姿は異性から魅力的な男性と見られるような秀逸さで、【未来世界】でも女性たちから秋波を送られていたが、本人が母親の仇にしか興味のない朴念仁という残念イケメンだった。
大海主之王「一寸が現れた時、泣いて飛びついていたから【
【大海主之王】は、【乙姫】は複雑な心境だっただろうと振り返る。夫の【転身者】は女に興味がなく少年の一寸法師を兄と呼んで慕い、その一寸法師が【乙姫】を救出するために死亡した【スクナビコナ】の【転身者】なので、泣きたい気持ちと嫉妬と申し訳無さが入り混じって【乙姫】の精神状態がかなり不安定だった。
同じことを【闇嶽之王】も考えていたようで、何とも複雑なことだと思ったが、結果を見ればウラシマは【乙姫】を娶っているので万事解決したのだろう。
闇嶽之王「やはり、【狭穂】は【イクメ】に輿入れさせる他なさそうだな」
【闇嶽之王】は【イワレノミコト】と【先住者】の【抗争】は、結果報告で聞いただけで実際は【イワレノミコト】にとって始祖に当たる【ホオリノミコト】を殺害している事実には戦慄を覚える。断れば、今度は【山の先住者】と【ヤマト朝廷】とが【戦争】になる未来が頭をよぎった。
一寸法師「あのー………【山の先住者】が【伴侶】を得たと慶事に水を差すような情報なのですが………【狭穂姫】が輿入れした後に『狭穂彦王の叛乱』が起こりますよ」
「何だそれは!」
【闇嶽之王】と【大海主之王】が異口同音で聞き返した。
ウラシマ「あーそれ知ってる。【古事記】で人気がある『恋バナ』だ。俺は、その次の【天皇】の子の『ヤマトタケル英雄譚』のほうが好きだけど………」
ウラシマは、男性に人気の『英雄譚』推しのようだ。
闇嶽之王「次の【天皇】の子………やはり【未来人】なんだな。【ヤマトタケル】なんて【人間】は、この世にいない。………まだ生まれていない人物だな」
【闇嶽之王】は【狭穂姫】の腹の子が即位したのだろうか、と訊く。その腹の子の父親は【真若王】だ。その子が即位した場合、『嫡子が【
一寸法師「違いますよ。次代の【景行天皇】は【伊久米大王】の御嫡子様ですよ。ええっと………【オオタラシノミコト】という名前です」
一寸法師が【景行天皇】の名前を告げると、ウラシマが子供に『タラシ』なんて名付けたんだな、とちょっと引いた表情をしている。ウラシマは誑し込むの『タラシ』を連想したが【古代人】に『タラシ』の意味が通じるわけもなく、ウラシマの引いた表情が【闇嶽之王】と【大海主之王】には不思議でならなかった。
一寸法師「因みに、御母堂様は【狭穂姫】ではありません。【
てっきり【狭穂姫】が第ニ子を産んで、その子が継いだと思っていた【闇嶽之王】は、一寸法師の口から出た【日葉酢媛】の名前に口を開いた状態で驚いて固まる。人智を超えた美形と言われる【闇嶽之王】の口ポカン状態は、見目麗しいだけに結構間抜けな感じになっていた。
闇嶽之王「【日葉酢】………【美知能宇斯】の娘の?」
【闇嶽之王】は、【先住者の花婿】に選ばれていなければ【狭穂彦】が娶るはずだった
一寸法師「そうですね。【
おそらく【
そこへウラシマが、【景行天皇】即位にまつわる話をぶっ込んで来た。
ウラシマ「【景行天皇】は【垂仁天皇】に欲しいものをおねだりしろと言われて、【天皇】の座が欲しいと言ったから即位したんだ。上に兄ちゃんがいるのにそれを差し置いて次男が即位するってことは、【垂仁天皇】は約束は守る人なんだな」
ウラシマは、因みに長男は【弓矢】が欲しいっておねだりしたらしいぞ、と言った。【古代人】におねだりの意味は何のことかわからないが、話の流れから欲しいものをお願いすることなのだろうと解釈する。
大海主之王「いや待て………子供が【大王】の座をくれって………何か間違ってるだろ」
闇嶽之王「くれと言うガキもだが、それをやる【イクメ】もアホだろ!国が割れるわ!」
それに比べて第一子のお願いは子供らしくてカワイイ、と【闇嶽之王】と【大海主之王】は子供は普通は【弓矢】とか【刀剣】とか欲しがるものだと主張する。
一寸法師「割れた………と言うより各国が反発しましたよ。理由は【伊久米大王】が何もしていなかったせいです」
一寸法師は先代の【御真木大王】が、使者を派遣して平定した努力を一代で全て台無しにしたと言った。
闇嶽之王「【イクメ】はやはりアホだ。【狭穂】を輿入れさせるのが不安になってきた」
いや待て次に即位するのは【日葉酢媛】の子なら、【狭穂姫】の輿入れは必要なくないかと【闇嶽之王】は一瞬考えたが、懐妊している【狭穂姫】には腹の子の父親が必要なのでそんな都合のいい相手は【狭穂姫】にベタ惚れしている【伊久米大王】しかいない現実に頭を抱えた。
大海主之王「親の功績を一代で台無しに………だが、これに関しては【イマス】の計画通りとも言える」
【大海主之王】は、10才で【大王】に即位した【イクメノミコト】の後見者をしていた【
大海主之王「【イマス】には独立して国を興せるほどの子や孫がいる。【イクメ】の代で平定が崩れても、やり直しが利くのだ。【イマス】が重視しているのは、自分の血統から次代の【大王】を出すことだ。そうなれば裏から【イマス】が【ヤマト朝廷】を掌握できる」
いわゆる【摂政政治】だ。この時代は、まだ【摂政政治】の概念がないが【日子坐】のような野心を持つ者はいたかもしれない。
一寸法師「【摂政政治】って後世では呼ばれてます。実際には約500年後になりますか………女性が【大王】に即位して、【大王】の甥に当たる【皇子】が【摂政】を務めます」
【推古天皇】と【聖徳太子】のことだ。
闇嶽之王「マジか………女が【大王】なんて頭の固い【朝廷】が認めるのが信じられん話だが、【摂政】という【官職】の者が実権を握って動かすなら有りなんだろうな」
【闇嶽之王】は【皇子】の【摂政】という【ワード】で【摂政政治】の仕組みを理解したようだ。
大海主之王「500年………【イマス】の野望は叶わなかったか………」
【大海主之王】は、【日子坐】には【海の先住者】を手籠めにされているが、優れた手腕の【野心家】は嫌いではない。
ウラシマ「そうとは限らないぜ。【摂政政治】が認められたのが、その時期ってだけで『隠れ摂政政治』はあった可能性はある!」
一寸法師「因みに、その摂政の名前は【
闇嶽之王「『日出処之国』………なかなかいい響きだ。500年後の楽しみに【厩戸】の名、覚えておこう」
【闇嶽之王】は、【ヤマト国】に美しい響きの名付けをした【皇子】に興味を持った。
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