第壹章 霞童子悲恋譚⑲狭穂彦王の叛乱の真相〜狭穂姫の輿入れ〜
【狭穂姫】が不運に見舞われ、【
【狭穂姫】は、食事中に急な嘔吐感に襲われた。その後、食事を続ける気にもなれず床に就いたがその後も嘔吐感は食事中に限らず度々起こり、充分な睡眠をとっているのに眠気や倦怠感で昼夜を問わず眠ることが増えた。
【大闇見戸売】は、娘のその様子に自身も経験があることから【狭穂姫】の体の状態を父【
【闇嶽之王】は1人ではなく連れがいた。真秀と【狭穂彦】だ。【狭穂彦】は【先住者】たちにとっては【幻想的】な存在とされる【花婿】なので【山の先住者】たちに真秀共々、保護されていたが【狭穂姫】の異変は【佐保一族】全員で話し合う必要があると考えた【大闇主之王】は【山の先住王】に次ぐ最大戦力の第一子【闇嶽之王】に護衛役を兼ねて【佐保】へ送り出したのだ。
【佐保】に着いた真秀と【狭穂彦】は久方ぶりの【狭穂姫】との再会を喜んでいた。
再会を喜ぶ子たちをその場に置いて、【大闇見戸売】は【闇嶽之王】に【狭穂姫】が身籠っていると告げた。
闇嶽之王「………!あの時に孕んでいたか………!」
【闇嶽之王】はあの忌まわしい出来事で【狭穂姫】に手をかけたのは、【真若王】ひとりだけだと【大闇見戸売】から確認をとると忌々しげに悪態の限りをつく。
闇嶽之王「あの役立たずが!肝心な所で役に立たない無能のくせに、子宝のほうは【日子坐】の【能力】を継いでいたようだな」
要は、そっち方面しか有能ではないと結構ひどい言われようだ。
大闇見戸売「【狭穂】は、まだ【やや(赤ちゃん)】を孕んだとは思っていません。今ならまだ気づかれずに始末できます」
【大闇見戸売】は【狭穂姫】が例え一生、子が産めなくなっても、【真若王】の子を娘に産ませたくないと主張する。
闇嶽之王「そうは言ってもな………母親は胎内で育てている間に子がかわいくなるものなんだろう?」
かつて【大闇見戸売】も、無理矢理の懐妊を2度経験した。それで生まれたのが【狭穂彦】と【狭穂姫】だ。【闇嶽之王】の言っていることは、その経験談を示している。
大闇見戸売「兄上、私は亡き母の最後の【預言】でわが身の不運は決まっていた事柄と思っています」
【人間】に尊厳を踏みにじられたことは屈辱だったが、母【
闇嶽之王「【加津戸売】の【預言」………最大の謎だった『滅びの導き手』、【佐保】の者どもは思い込みと偏見から童女の精神状態だった【
【狭穂姫】の懐妊とは関係のない【佐保一族】の歴代の長で随一の高い【霊力】宿していると言われた【加津戸売】が、生前に【預言】した『佐保一族の終焉』を【闇嶽之王】がなぜここで口にしたのか【大闇見戸売】にはわからなかった。
闇嶽之王「【イザナミ】が蘇るきっかけになった【古のもの】とかいう【旧支配者】とやらと戦った時にいた【スクナ】と【ホオリ】の過去を知っているか?」
【天孫族】の【初代】である【イワレノミコト(神武天皇)】が【ヤマトの国(日本)】を統一するにあたって、【先住者】たちと激しい【戦】となったことは語り継がれた有名な話なので知らない者はいない。【スクナビコナ(一寸法師)】と【ホオリノミコト(ウラシマ)】は、【先住者】陣営の最大功労者だったらしい。
【大闇見戸売】は、ますます話の関連性がわからない。
闇嶽之王「【イクメ(垂仁天皇)】が【狭穂】に求婚しているだろう。ちょうどいい。【狭穂】を【イクメ】の元へ輿入れさせろ」
【闇嶽之王】は【大闇見戸売】の困惑を無視して話を進める。
闇嶽之王「【狭穂】は
【闇嶽之王】はこのことは【
自分の知らない所で男連中だけで勝手に話を推し進めていた事実に【大闇見戸売】は、信じていた異母兄の【闇嶽之王】に裏切られた気分である。
大闇見戸売「兄上!私は反対です!」
闇嶽之王「そうか………俺は、逃げ道の1つとして挙げただけだ。【イクメ】の求婚を断りたければそうすればいい。ただし、その時は【狭穂】が【預言】の『滅びの導き手』ということになる」
【大闇見戸売】の意見をあっさり聞き入れたかに見えた【闇嶽之王】だったが、最後に脅しのようなことを告げた。
それに対して【大闇見戸売】は【闇嶽之王】が関連性のなさそうな亡き母【加津戸売】の【預言】や【イワレノミコト】の【ヤマト国】統一の話を思い出し、そして気づいた。
大闇見戸売「【
【大闇見戸売】は断る口実を思案して引き延ばし行為をしていたことが無駄なことであると思い知る。【大闇見戸売】側は迷惑だったので【
闇嶽之王「【イクメ】の父【ミマキ(崇神天皇)】は【日子坐】の年の離れた兄だ。【イクメ】と【真若王】は従兄弟同士………赤の他人の子を孕んだわけではない。『血の繋がった親戚の子』を我が子として育てるのだから、そう悪いことではない」
【闇嶽之王】がさせようとしていることは、【現代】の言葉で言えば『托卵』である。【闇嶽之王】は自分の言葉のように言ったが、それを言ったのは【日子坐】だ。【伊久米大王】は【狭穂姫】だけを娶ると宣言しているので、【次代】の【大王】は必然的に【狭穂姫】の産んだ子が即位することになる。ならば、父親が【真若王】なら異母兄妹の間の子で【日子坐】の血を色濃く継いでいることになるので好都合だと、【日子坐】は言っていた。あいつは骨の髄まで『野心家』だ、と【闇嶽之王】は同じ『野心家』でも【
◆ ◆ ◆
満「洸、ネタ売ったら承知せんからな!」
遙「俺には、なぜ【
遙の発言に
言っていることは間違っていないが、言葉の使い方で堂々巡りをするのは時間の無駄遣いなので、燎が【イワレノミコト(神武天皇)】の【ヤマト国】統一の裏話を披露した。
燎「【イワレ】と【先住者】の抗争は知っているだろ。あれは………実は【乙姫】を巡った争奪戦だ」
歴史上は領地開拓のはずだが、まさかの女性を取り合いしての【戦争】だった事実に十人十色の反応だ。
洸と満はあからさまに馬鹿にするような表情をしている。癸と桂は少女マンガのネタに良さそうと言っているので、事実を公表するのはやめておいたほうがいいことを遠回しに告げている。だが意外なことに遙からは肯定的な意見が出た。
遙「【戦】の原因に女が絡むのは、そう珍しいことではないな。【乙姫】ということは、ウラ伯父さんの奥さん?」
この【戦争】のせいで
燎「そうだ。【乙姫】は【亜神・女神】と【海の先住者・
燎は【天仁】は男版【天女】だと説明する。【現代】では男女関係なく【天女】で一括りに呼んでいるが、【海の民】の間ではきちんと呼び方を区別しているらしい。
将成「【天女族】は【海の民】では随一の美形………でしたね」
言ってから将成は、この言い方では【山の民】を蔑ろにしている気がしてきた。朔と目が合うと、朔は【山の民】は【神獣】や【霊獣】が大半を占めているので、容姿の美醜より毛並や尻尾の本数にこだわりを持っていると言った。
朔「【乙姫】というと、
【陵一族】は、陵
燎「あの面食い厄病神め………俺が不在の間に、【天仁】の大半を【洗脳】して自分の配下にしやがった」
【前世】の【
癸「もしかして………御影の生まれ変わりの洸が【女神】の毒牙にかけられていない理由は、燎に対する後ろめたさがあるから?」
癸は【女神】が御影の生まれ変わりである洸にちょっかいをかけて来ないことを疑問に思っていたが、その理由が娘婿の燎に恐れをなしてのことならば案外役に立っていると、娘婿の評価を爪の先ほどは上げた。
将成「毒牙………なのですか。【日本】は【仏教徒】が多いので【女神狂信者】はいませんが………この会話、【狂信者】が聞いたらブチ切れられますよ」
遙「ブチ切れ上等だ。向こうから【戦】の種を持ち込んで来てくれるわけだな」
将成の注告は、『
桂「『鬼のいぬ間に………』というやつか。あのヤラカシ常習犯は引き抜きなんて大胆なことをする割に、後のことを考えていないアホだな」
桂は、アレは引き抜きというより【洗脳】や【
満「【厄災神】のことはどうでもエエわ!【乙姫】の取り合いが【ヤマト朝廷】と【先住者】の【抗争】の真相っちゅうことなんやな」
呼ばれ方がコロコロ変わっているが、全て【女神エレオノーラ】を指している。満は、何千年か前に【古代中国】の【天界】でも【西王母】の長女【
棗「アレは【
棗は【前世】の【竜王・
遙「そうなんだ………【白竜王】と【黒竜王】が【
洸「俺、遙と女の取り合いは絶対にやりたくない。【前世】でも【
【前世】でも【今世】でもビジュアルが完敗だと洸は言った。
朔「【古代中国】でも起こったまんまのことが、【古代日本】でも起こったんだよ」
朔は、遙が女の取り合いで戦争をしたことに理解を示したワケが納得できた。【前世】で戦争の原因になった女性を娶っていたから他人事ではなかったのだ。
遙「【イワレノミコト(神武天皇)】が【乙姫】に目を付けて、【人間】に【乙姫】を渡すまいとした【先住者】たちが抵抗した………というのが【九州侵略戦】の真相か」
遙の『目を付けた』発言を再び朔が『見初めたな』と訂正するが、女1人の為に【九州侵略戦】と言われるほどの規模の【戦争】に発展させてしまっているので、これはもう『色狂いした』と言うのが正しいのではないかと朔は考え直す。
燎「確かに、【
【兵】を溶かすというのは、おそらく多数の戦死者を出したという意味なのだろうが、それをやった側が批判するというのを何とコメントすればいいのか一同は言葉に詰まる。
癸「『英雄色を好む』というのだろうけど、私の甥2人が【時空漂流(時空転移)】させられで巻き込まれたからねえ………何かモヤモヤするよ」
癸は、その原因になった【乙姫】が甥(ウラシマ)の嫁になっているので批判も毒舌も言えない。
遙「なるほど………【
遙は、【伊久米大王】の【佐保通い】は、付き人たちには迷惑だっただろうが、毎日通うことで【地形】や【邸内】の構造など【戦】に発展した場合の情報収集に抜かりがないので、目を付けられた時点で詰んでることを理解した。
洸「嫁になることを承諾しなければ【戦争】って………【蛮族】じゃねえか」
洸は【古代日本】は、【垂仁天皇】の御代で【ヤマト平定】を中断したせいで次代の【景行天皇】が息子の【ヤマトタケル】に【ヤマト平定】のやり直しをさせて、【景行天皇】の次代以後には【
◆ ◆ ◆
【狭穂姫】は、【
狭穂姫「【やや】がいると食欲がなくなるのですか?」
食べないと腹の【やや】は育たないのではないか、と【狭穂姫】は訊く。初めての懐妊なので初々しい反応だが、【狭穂姫】は酷い目に合わされた末の懐妊なのに【やや】ができたことを驚いたものの、嫌悪を示す態度を取っていなかった。
狭穂彦「【狭穂】、随分と落ち着いているようだが腹の【やや】は………あの【ケダモノ】が父親なんだぞ」
【狭穂彦】が【真若王】を【ケダモノ】呼ばわりするのは、【狭穂姫】への所業だけではない。【狭穂姫】や叔母の【
狭穂姫「お兄さま、確かに父親は【ケダモノ】よ。でも、生まれてくる子は事情を知らないの」
【佐保】にいれば、父親のいない子でも問題ないと【狭穂姫】は孕んだ以上は産むという姿勢だった。
しかし、【大闇見戸売】から【
狭穂姫「輿入れから懐妊までの日が合わないわ!」
それだけではない。初夜の床入りでバレる可能性もある。
真秀「【狭穂姫】ちょっと待って!あなたの反応では孕んだことを隠して輿入れしようと考えてるみたいよ!」
そんな大それたことを考えているとは思いたくないが、【狭穂姫】は輿入れに乗り気というより腹の【やや】を【伊久米大王】の子として生もうとしているようなフシがあると真秀は感じた。
狭穂姫「あわよくば、【イクメ様】の子にするつもりだったわ………でも、輿入れと臨月の日が合わないから無理そうね」
【狭穂姫】は正直に自分の考えを白状しただけだったが、真秀、【狭穂彦】、【大闇見戸売】は【狭穂姫】の目論見を知って唖然とした。
【闇嶽之王】が、腹を抱えんばかりに爆笑した。
闇嶽之王「ははは………【
【闇嶽之王】は、【狭穂姫】に【早産】という予定より早くに【やや】が生まれることが稀にあるので誤魔化せと、悪知恵を吹き込む。
狭穂姫「そうなのですね!いい案だと思います!【早産】の場合、産後は必要以上に苦しそうにすればいいのでしょうか?」
かなりノリノリの【狭穂姫】に、真秀と【狭穂彦】はちょっと引いてしまった。
大闇見戸売「【狭穂】、あなた事の重大さを解っているの?騙していることがバレたら重い罪に問われるのよ」
【
狭穂姫「【イクメ様】は、周囲の迷惑を考えずに毎日毎日、通って来られたわ。何が何でも私を娶るつもりなのよ」
この時代は【通い婚】なので、男性が女性の館へ《
狭穂姫「それに、【佐保】の【先住者】たちは他人を騙す【術】が使えるのでしょう?」
【狭穂姫】が言っているのは【幻術】のことなのだろうが、【人間】から見たら『他人を騙す術』になるようだ。
【狭穂姫】の提案は、【幻術】が使える【まほろば鳥の一族】の女性を【侍女】として同行させバレそうになったら【幻術】で乗り切るという作戦だ。
真秀は、開いた口が塞がらないほど驚いた。【狭穂姫】は【佐保】のお姫様で、この時代のお姫様は世間知らずの『箱入り娘』だが【狭穂姫】は【蛮族】の娘のような行動力があり、大胆で機転が利く。
狭穂彦「【狭穂】………お前という奴は、年頃の娘になっても『お転婆姫』のまま成長しないな」
【狭穂彦】は、『お転婆姫』と呼ばれていた頃の【狭穂姫】を知らない真秀へ幼い頃の【狭穂姫】の話を聞かせる。
【狭穂姫】は、幼い頃は【狭穂彦】と一緒に男衆に混じって乗馬や狩りに出るほど活発で男勝りな姫だった。【狭穂彦】曰く、父【
闇嶽之王「【侍女】にする女には、俺のほうから直接命令する」
【山の先住王】の後継者とほぼ確定されている【闇嶽之王】の命令は【先住王】の言葉なので、拒否権はない。
真秀は、そのことに疑問を感じて訊いた。
真秀「【上様】がわざわざ命令する必要がある何か事情があるのですか?」
【闇嶽之王】は、隠していても視覚的にはっきりと異変がわかることなので正直に話す。
闇嶽之王「【侍女】役の者には【翼】を切り落としてもらうことになる」
真秀と【大闇見戸売】の顔色が真っ青になった。【
【鳥人族】の母を持つが、【人間】の【狭穂彦】と【狭穂姫】にはその辺りの事情がよくわかっていない。しかし、真秀と母【大闇見戸売】の蒼白になった顔色からただ事ではないことの察しはついた。
大闇見戸売「【翼】は【霊力】で納めておくことが可能です!切り落とすなど………残酷すぎます!」
【大闇見戸売】は、プライドの高い【鳥人族】が絶対に納得するはずがないことを知っている。だからこそ【闇嶽之王】が【先住王】の命令とするつもりなのだろうが、強要されてしたならばいずれどこかで怒りや恨みが発散されることになるだろう。娘を【朝廷】へ嫁に出す以上、最も近しい【侍女】が信頼できない者では不安しかない。
【闇嶽之王】は【先住者】とバレた時の【侍女】の扱いを考えたら、【まほろば鳥】の【矜持】を捨ててもらうと譲らないし【大闇見戸売】はいつ【狭穂姫】の首元に【刃】を突き付けるか知れない者を側で仕えさせたくないと口論になった。
終わりの見えない口論を【狭穂彦】と【狭穂姫】は引き気味になって表情を強張らせている。【先住王代理】と【先住者】の喧嘩に割って入るチャレンジャー精神はなかった。
真秀は、何か思案して覚悟を決めた表情になって口を開いた。
真秀「【上様】、伯母上様、その【侍女】役………私が引き受けます!」
真秀の進言に、【闇嶽之王】と【大闇見戸売】は口論をピッタリとやめて真秀を見た。
闇嶽之王「ダメに決まってるだろ。お前は【花婿】が見つかった。【まほろば鳥の一族】を繁栄させる希望のお前が【翼】を切り落として【欲望】まみれの【朝廷】へ入れるなど、以ての外だ!」
大闇見戸売「真秀………やめてちょうだい!【侍女】の役目は、ただ付き添うだけではないの!【狭穂】の代わりに、【
【初夜】からその後の【
それを聞いた【狭穂姫】は【狭穂彦】に確認する。
狭穂姫「お兄さま、真秀さんとは契りましたよね!」
あまりにもストレート過ぎるので、聞かれた【狭穂彦】のほうが恥ずかしくて思わず赤面していた。
狭穂彦「………………ない」
羞恥から小声でボソッと呟いた程度の【狭穂彦】の声は、【闇嶽之王】にはしっかりと聞こえていた。
闇嶽之王「まあ………あの状況では………そんな気にならないよな」
【
【狭穂彦】と真秀は、とりあえず絶対に外へ出るなと言われた指示を遵守するしかできなかった。
狭穂姫「お兄さまの意気地無し!」
【狭穂姫】は、口先だけで【狭穂彦】を叱咤する。【狭穂彦】のほうも奥手な姿勢だったことは否定できないので言い返す言葉がない。
真秀「【
真秀は、【狭穂姫】の【侍女】役をやる気になっている。
狭穂姫「【夢】でイチャイチャ………ううー気持ち悪いけど、そういうことがあったって思い込ませたほうがバレないよね」
【夢】ならいいか、と言いながらも【狭穂姫】は何気に本音をポロリしていた。
【狭穂彦】は【大王】に対して遠慮のなくなっている妹が、本人を前にして本音を口にしてしまわないかと心配になる。
【闇嶽之王】は【未知の生物】の襲撃があったのを理由に、しばらくの間は外部から【佐保】へ入るのを禁止している。それは【
【大王】が次に【佐保】に来た時が【狭穂姫】の輿入れの日だ。【狭穂姫】の護衛と身代わりを兼ねる【侍女】は、しっかりと信頼関係が出来上がっている者を付けたいが厳選する時間がない。【闇嶽之王】はあの『アホ大王』が、と苛立っていた。
そして、その日の夜────────────真秀は自ら【片翼】を切り落とした。【
https://kakuyomu.jp/users/mashiro-shizuki/news/16818622175170700157
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