第壹章   霞童子悲恋譚⑯狭穂彦王の叛乱の真相〜真の襲撃者〜

 周囲には便宜上、【イザナミ】と呼んでおけと言った【大海主之王おおみのみこと(古竜体・燎の前世)】は目の前の【木の精霊王】のような見た目の者が【イザナミ】に間違いないと判ると、彼女から情報を得られそうだと考える。


 大海主之王「【イザナミ】よ………お前たちは、何から?」


【大海主之王(古竜体)】は、彼らの動きから襲撃というより逃走している気配を感じとったのだ。


 イザナミ「妾は、この者たちを吸収した際に彼らの記憶と情報を得ました。彼らははるか【太古】の数億年前に【外宇宙】と呼ばれる所から【最南端の国】に降り、そこで文明を築いた一族だったそうです」


【イザナミ】の解釈は、【外宇宙】から最南端へ派遣され、そこで国を創造した者と考えている。【イザナミ】は【国生みの神】だ。彼女は自分と【イザナギ】のように、【上位神】にあたる御方から【国生み】をする任務で遣わされた。つまり、同業者と思っているのだ。【外宇宙】は【高天原】のような場所で【最南端の国】が【日本】のように生み出されたと勘違いしている。


 この時代、日本には【陰陽師】はいない────────────【陰陽師】は元は【天文学者】と見られていた────────────【アマテラス】の系譜の【天孫】が国を納める【神国しんこく】日本なのだ。


 そこへ、この話をマイクで拾って【亀の乗り物】の中で聞いていた一寸法師から提案をした。


 一寸法師「【大海主王おおみおう】………僕、その話を詳しく説明できますが」


 どうしますか、と一寸法師は【謎の生命体】について情報提供できることを言ってきた。【未来人】なら知る人ぞ知る【クトゥルフ神話】ネタだ。


 大海主之王「おお!そんなことまで知っているのか!」


 是非頼むと【大海主之王(古竜体)】は、自己判断で言ってから【イザナミ】に構わないよね、と訊いて順序が逆だが【イザナミ】はかつてお世話になったおじさまの判断に反対する意思はない。是非お願いと言った。【イザナミ】は日本が唯一の国と思っているので、【外宇宙】や【最南端の国】などと情報を得ても頭が混乱するだけであった。


 一寸法師は、では失礼してと【亀の乗り物】の甲羅部分の天辺を開いて外へ出て来た。ウラシマも追随している。


 一寸法師「お初にお目にかかります。【カムムスヒ】の子で【スクナビコナ】と申します」


【カムムスヒ】は【造化三神ぞうかのさんしん】と呼ばれる【高天原】のトップ3だ。当然、【イザナミ】は知っている。


 イザナミ「まあ!【カムムスヒ様】の………」


【イザナミ】の脳裏に性別のないオネエ言葉で話す女装好きの【神】が浮かんだ。


 イザナミ「【国生み】の際には、【カムムスヒ様】から色々とアドバイスを受けて………お世話になりました!」


【イザナミ】は一寸法師に深々と頭を下げる。最初が尊大なもの言いをしていたので、プライド高めかと思ったが意外と奥ゆかしい所のある女性のようだ。なぜか【謎の生命体】まで【イザナミ】に右へ倣えで深々と一寸法師に頭を下げるように頭部のユリの花を向けている様子に、ウラシマはププッと小さく吹いてしまった。


 ウラシマは内心、『極妻』みてえと笑いが込み上げたのだった。


 一寸法師は、小さく吹いたウラシマを肘で小突いて【イザナミ】に弟が不調法で申し訳ありませんと詫びる。


【イザナミ】は、ウラシマを見て首を傾げる。


 ウラシマは、ぶっちゃけ【カムムスヒ】のどストライクの容姿だ。かの【神】が手元から離すとは考えられない【イザナミ】だった。


 ウラシマ「自分は、【オオヤマツミ】の孫に当たる【ホオリ】と申します!」


 事前に一寸法師から、【イザナミ】の死後に生まれた【神】については禁句と言われていた。ウラシマは【ホオリノミコト】が未来に【転身(生まれ変わり)】した【漂白の者】なので、【ホオリ】の母の【コノハナサクヤ】の父が【オオヤマツミ】だということは知っていた。【オオヤマツミ】は【イザナミ】が生んでいることは一寸法師から確認済である。


 イザナミ「えっ!【オオヤマツミ】の!あの子、おじいちゃんになったんだ」


【イザナミ】はホロリと感動しているが、彼女は曾おばあちゃんという現実を忘れている。


 一寸法師「僕と【ホオリ】は、『義兄弟の契』を交わした仲なんです」


 一寸法師は、本当は【元の世界】ではリアル兄弟だけどね、と心の中で呟いた。


【イザナミ】は一寸法師がウラシマを弟と呼んだ理由に納得した。そして、ウラシマを【カムムスヒ】には紹介しないで、と念を押す。曾孫を【カムムスヒ】のから守りたい一心だ。


 一寸法師は、【カムムスヒあの方】は何をやらかしたのだろう、と考えながら自分たちは今は【海の先住王】の配下なので大丈夫です、と答えた。


 自己紹介も終わったのでお話ししますね、と一寸法師は、ユリ頭の彼らは【古のもの】と呼ばれる【旧支配者】という存在だ、と言った。

  

 闇嶽之王「【旧支配者】………ということは、今は支配者ではないのか?」


 旧と頭に付いているので、そういうことなのだろうがでは今の支配者は誰だという意味をこめて【闇嶽之王くらみたけのみこと(朔の前世)】は訊いた。


 一寸法師「彼らが支配者だった頃は、この地上に何もなかった頃だそうですよ。この国は【イザナギ様】【イザナミ様】が生み出して、【高天原】から派遣された者が国を造り【天孫降臨】を経て、今は【天孫族】が治めています」


 一寸法師の言葉を解釈すれば、現在の支配者は【天孫族】つまり【人間】ということだ。


 一寸法師「【古のもの】は、今はすっかり退化してますけど………彼らには【翼】があって飛行できたのですよ」


 一同は【古のもの】を見る。【翼】らしいものは見当たらないので、一寸法師の言うように退化したということになるのだろう。


 一寸法師「彼らに【翼】があって飛行できた頃に、【宇宙】という【空】の上に存在する【世界】から地上に降下して来たのです」


 大海主之王「【空】の上………というと【高天原】とは別の【宇宙】というのがあるわけか?」


【大海主之王(古竜体)】は【外津神トツガミ】なので【空】の上に【天上界】という【異世界】があることは知っている。【高天原】は、この【天上界】の国の1つだ。彼は【宇宙】もそこの国の1つと考えた。


 一寸法師は、【宇宙】というキャンバスに【世界】が構築されているという説明はやめておいた。【古代日本】には、まだ【天動説】や【地動説】がないのでこの事実を話すと説明することが増えるので【大海主之王(古竜体)】の勘違いを訂正しなかった。


 一寸法師「そうです。彼らはその【宇宙】から地上の最南端にある【南極】という雪と氷の【島】に降下したのです」


 一寸法師の雪と氷の【島】発言に、一同は「生き物の住む所ではないだろう」と、【四季】のある日本に住む者からすればあり得ない環境だ。一寸法師が【南極大陸】を【島】と言ったのは、【古代】では【大陸】と言えば【中国】や【韓国】のことになるので、【島】ということにした。


 一寸法師「その環境に適した海洋生物がいますよ」


 海洋生物と聞いた【大海主之王(古竜体)】は、【海】の者なら住めるのかとちょっと得意げになっている。


【山】の話が出なさそうなので、【闇嶽之王】は退屈そうにしている。しかし一寸法師は、それを覆すことを話した。


 一寸法師「そして【古のもの】が降下して、【国造り】をしたのは【狂気山脈】という名の【山】です」


【大海主之王(古竜体)】は、【山】かよとツッコミをした。


 闇嶽之王「ほお………確かに、樹木みたいな見た目は【山】の生物だよな」


【山】に国を造ったと聞いて【闇嶽之王】は興味をそそられたようだ。


 一寸法師「【古のもの】は、その【国造り】に【ショゴス】という【奴婢ぬひ】を作って、国と文明を築いたのですよ」


 一寸法師は、【古代】に合わせて下僕を【奴婢】と言い換えた。


 日子坐「生物を自作した………ということですか………」


日子坐ひこいます】は、生き物は女が出産するものという概念が覆る技術に驚く。


 一寸法師「あ………一応話しておきますが、【古のもの】は性別がありません。【繁殖】は【胞子】という繁殖用の砂より細かい粉を大量にばら撒いて増えます」


 闇嶽之王「大量にだと!」


【闇嶽之王】は大量の粉が次々と【古のもの】に変わるのを想像して、【人間】の数を上回るだろうと考えている。


 それを見透かして一寸法師は、説明を補足する。


 一寸法師「発芽が難しいのですよ。【魚】だってたくさん卵産みますよね。でも、全部無事に孵化しないでしょう」


 大量に必要なのは、その中の一握りしか無事に育たないからだと一寸法師は言った。


【闇嶽之王(古竜体)】は、【絡新婦じょろうぐもの一族】が大量に産卵するが、それが理由かと納得しているので、今まで産んだ卵すべて孵化していると思っていたようだ。因みに、【絡新婦の一族】は卵からかえった後は栄養補給に共食いをする仁義なき生態だ。


【大海主之王】は【海の先住者】には大量に産卵する者が多いので、孵化するまでの困難は知っている様子だ。


 一寸法師「【古のもの】については、このぐらいですね。それで、【古のもの】は彼らが作った【ショゴス】から逃げているんですよ」


 一寸法師は本題の何から逃げて来たのかを話した。


 イザナミ「えっ………!【創造主】に逆らったってこと?」


【イザナミ】が見た【古のもの】の記憶でそれを見ているが、【ショゴス】の特性を知らないので同じ敵とは知らないのだ。


 一寸法師「言い忘れていましたが、【ショゴス】は『変幻自在』の【粘液状】の生き物です」


 一寸法師の言葉に【イザナミ】は、自分が見たのはそれだと言った。


 イザナミ「目玉がたくさん付いていて、不気味過ぎる【モノノケ】だった!」


 見た目を変えられるなら、もっと気を遣ってほしい、と【イザナミ】は言う。


 ウラシマ「【古のもの】は、【ショゴス】を酷使し過ぎたのさ。休むいとまも与えず、ひたすら働かせ続けた。いわば【ブラック企業】だな!」


 ウラシマが、うっかり【未来人】にしか理解できない言葉を口にしたので、一寸法師はウラシマの足を強めに踏みつけた。


 兄者痛い、とウラシマが言っているそばで【闇嶽之王】が不信感も露わに訊く。


 闇嶽之王「『ブラックキギョウ』とは何だ?」


 ウラシマのしまった、と目を泳がせる中、一寸法師は冷静に対処する。


 一寸法師「寝ることも許さずにずっと働かせることを、そう言うのですよ」


 美知能宇斯「バカな!睡眠も取らずに働かせるなど………愚かとしか言いようがありません」


【美知能宇斯】は【人間】を基準の考え方なので、睡眠をせずに働き続ければ何処かで失態を犯すと言った。


 一寸法師「うん………【人間】はそうだね。でも【ショゴス】は【造化生命体】だから、理論上は不眠不休で無制限に働けるんだよ」


 でもだからって、休息させないのは良くないよね、と一寸法師は自分は【ショゴス】の反乱は働かせ過ぎが原因だと思う、と意見を述べた。


 一寸法師「ご主人様が、休ませてくれない、眠らせてくれない、よくやったねって褒めてくれない………そういったことが溜まりに溜まって、凶暴化したのだと思うんだよ」


 あくまで、僕ならキレるからそう思っただけだけどね、と一寸法師は言うが一同は納得する。そんなことをされたら、仕事放棄をして休息をもぎ取ろうとする。反抗が血なまぐさいことになったのは、身体能力が高い同士ではこうなるのだろう。


 イザナミ「妾は、この者たちを喰ろうたが、そんな冷酷な者ではないと思う………」


【イザナミ】は、【古のもの】は【戦争】をしていたっぽいので、適材適所の対応だったように見えたと言う。


 一寸法師「そうですね………たちと抗争をしていたはずですよ」


 別のと聞いて、こんなのが他にもいるのか、と【闇嶽之王】は言う。


 イザナミ「彼らの記憶に、頭がツルッとして足がたくさんある【モノノケ】とか長細くて足がたくさんある【モノノケ】とかと激しい戦争をしていた」


【イザナミ】の言う【モノノケ】が、どちらも足がたくさんなので、違いがわからない【大海主之王(古竜体)】は同じではないのか、と訊いた。


 大海主之王「足がたくさんあると2回言ったが、我には同じ生き物のように聞こえたぞ」


 口には出さないが、【未来人】の一寸法師とウラシマ以外は、区別できないでいた。


 一寸法師「前者が【クトゥルフ】で後者は多分………【大いなる種族】です」


【クトゥルフ】は【水の先住者】の【海坊主の一族】に似た外見で、【大いなる種族】は【異能の術】を使うと一寸法師は説明した。


【海の先住者】に似ている外見と聞いて【大海主之王(古竜体)】は、あのクネクネした足は厄介だと【クトゥルフ】の外見は理解できたようだ。


 一寸法師「手強い敵を倒して、息つく間もなく【ショゴス】の反乱で逃走したのでしょうね」


 一寸法師は【ショゴス】は【模倣】【擬態】の能力で、【古のもの】や交戦相手の能力を学習した故に、【創造主】より強くなったと言った。


 大海主之王「なるほど………敵は【古のもの】が創造した【ショゴス】なる者か」


【大海主之王(古竜体)】は『真の敵』の名を口にした所で、咄嗟に【真若王】の舎弟の1人を口に咥えて突き出した。


 次の瞬間、なぜ【大海主之王(古竜体)】がそんな行動をしたのか判る。突き出された【舎弟その1】は5体をバラバラにされて絶命した。


 盾にした【人間】が一瞬で解体されたことに、【大海主之王(古竜体)】は動きが素早い奴だと呟いた。


 仲間を一瞬で解体された残りの舎弟たちは、「助けてくれ」「あんな死に方は嫌だ」など阿鼻叫喚の恐慌状態だ。


 大海主之王「ウヌらは【極刑】が確定している。大人しく、敵の行動観察の役割を果たせ」


【大海主之王(古竜体)】は、『未知の敵』の観察の実験体に【真若王】の舎弟たちを使うことにした。彼らは【水の先住王】の支配圏の地域の【人間】なので、使い途は【海の先住王】の自由だ。


 もう1度、【大海主之王(古竜体)】が次は【舎弟その2】を咥えて突き出した所、【舎弟その2】は、全身を穴だらけにされて絶命した。


 2回の観察で気づいたことを【大海主之王(古竜体)】は言う。


 大海主之王「あの【ショゴス】とやら、相手を見て攻撃しているようだ」


【大海主之王(古竜体)】は、【人間】を盾に構えるかのように突き出したが、攻撃されたのは【人間】だけだった。それは【人間】は弱い淘汰できる生き物で【大海主之王(古竜体)】は強き者で自分たちが蹂躙されると【ショゴス】が悟ったということだ。


 闇嶽之王「だったら、餌を与えたら去って行くか?」


 まだ6人残っていると言って【闇嶽之王】は戦々恐々としている【真若王】の舎弟たちを見る。


 一寸法師は、【人間】で【ショゴス】の気を引いている間にアレに対応した武器を用意すると言って、ウラシマと【亀の乗り物】の中へ戻った。


【ショゴス】は【古のもの】を追って来たので、別の【獲物】を与えたからと引き返してはくれないと、一寸法師は予測していた。


 一寸法師は、【乗り物】の中に入るとウラシマに【ショゴス】は【電気攻撃】をすると言った。


 ウラシマ「兄者、【古代】に電気はねえよ。どうするんだ?」


 ウラシマは、一寸法師が【未来世界】の知識で何かしようとしていることに気づいていたが、【古代】では無理だろうと言う。


 一寸法師「【江戸時代】に発明された【エレキテル】………アレが、【日本】で【電気】が使われた最初の例だ」


 一寸法師は、この【亀の乗り物】があれば電気はどうとでもなるが、オーバーテクノロジーなのでそれらしい演出が必要だと言った。


 一寸法師「【水力発電】をしたと方便を使って誤魔化す」


 一寸法師は【水力発電】をざっくりと説明する。本来はダムなどの貯水や川の水流などを使うが、今回はを使うと言った。


 一寸法師「【水車】を回し鉄屑の摩擦で静電気を起こした。そういうことにする」


 本来は、こんな単純なものではない。水は高い位置に貯めなければならないし、発電器も必要だが【古代】で発電器を披露するわけにはいかない。【エレキテル】と【水車】で電気を起こしたことにしようとしているのだ。


 一寸法師は、大きな【水車】を2つ用意してこの【水車】を人力で動かして【水車】に視線を集める作戦だった。本来は、水を上から下へ落とすチカラで【水車】を回すのだが、『人力で回すもの』と刷り込みをする為にすぐ側に【海】があるが、それは利用しない。【水車】を目立たせて【古代】では未知の【エレキテル】についての詳細を隠すのが一寸法師の作戦だ。人は、目を引くほうに気を取られるものだ。


 一寸法師「2つの水車の動力は【獅子狗神シーサー族】の父子になって貰おう」


 一寸法師は【獅子狗神族】の父子を水車の大車輪の中で走らせると言った。


 ウラシマ「これ………嘘がバレたら激オコだな」


 水車を動かすのは人力で、その為に2人の戦力を戦線から離脱させる必要があると思い込ませる為の演出だ。非常に体力が必要なので【山の先住者】の【神獣属性】が適任だ。


 一寸法師「一部は事実だよ。【古代ここ】で電気を使えるようにするのに【水力発電】を利用しているし、【水車】は本当に動力源だからね」


 実際に嘘をついている部分は【発電器】だけで、他は事実なのだ。


 一寸法師「【エレキテル】に【スタンソード】を太めのワイヤーで繋いで、これを【日子坐ひこいます】と【美知能宇斯みちのうし】に持たせる。ワイヤー部分には本当に電流を流して、【スタンソード】の【柄】の部分しか手で触れることはできないようにしておこう」


 ワイヤーを伝って【刀身】に電気が通っている仕組みに偽装すると一寸法師は言った。実際は【スタンソード】は充電式でワイヤレス使用が可能だが、今後の【戦】で使用されないように感電して自滅と紙一重の危険武器と認識させるのだ。


 一寸法師「こんな所かな」


 ウラシマ「兄者………俺ら、【未来人】だってバレないように偽装のほうに手間かけてねえか?」


 ウラシマの言う通りだが、一寸法師はソレは言っちゃダメと1つの秘密を隠す為に面倒な細工をしている事実にため息をついた。




   ◆   ◆   ◆




 はじめと燎は、【前世】を思い出して、あれは完全に騙されたと言った。


 朔「【前世】の俺と燎は、完全に『現地人』なんだぞ。【水車】回して発電してる………なんて言われたら信用しちまうだろ」


 燎「今振り返れば………兄上たち、偽装に能力全振りしていたみたいな状態だったんだな」


 燎は、拒否権無しで強制連行されて縛りプレーとか自分には絶対に無理だと言い、これをやり遂げた兄たちには尊敬の気持ちしかない。


 遙「一寸伯父さんのことだから、キングシーサーたちは無駄に走らされたわけではないだろう?」


 遙は、一寸法師が【発電器】を所有していたなら【蓄電器】も用意していたはずではないかと言った。


 朔は、一寸法師は【蓄電器】も所有していたと言った。


 朔「あの【スタンソード】も満タンまで充電された状態だった」


 誤魔化す為に必要のない発電をさせたが、一寸法師はちゃっかり【蓄電】して無駄にはしていない。


 癸「まあ………【古代】でも【雷】を【避雷針】に集めて、という方法があるけど………」


 その知識が【古代人】にはないからねえ、と癸は【江戸時代】まで【雷】と【電気】を結びつける者がいなかったことを指摘した。




https://kakuyomu.jp/users/mashiro-shizuki/news/16818622174186346464

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