第壹章 霞童子悲恋譚①八岐の陰謀と大闇主之王の矜持 ※文中にイラストリンク有り
朔は、【地這いの者(ムカデ)】だけに表現が全く比喩になっていないが、と前置きすると【
朔「【先代】は、俺には厳しくも良き父親だったが………【霞童子】には、いわゆる【毒親】だな」
満「ムカデは【毒】持っとるからな………ウマいこと
なんかちょっと悔しいわ、と満が変な所で対抗意識を抱いていた。
癸が、謎な行動だねえ、と言った。一同が何がと疑問を持ったのに応じるかのように癸は続ける。
癸「母親のほうは【離縁】して、子だけ手元に置いて………なぜ、母親と一緒に手放さなかったのだろうね」
癸は、朔の『毒親発言』から【
洸「親子で『
洸「何だよ………言いたいことがあったら、はっきり言えばいいだろう!」
燎「ヤレヤレ………これだから【童貞】は………」
玲鵺「【海の民の王】よ………【童貞】が皆、
玲鵺の発言に、【太郎坊】が「まさか、お前もチェリーボーイなのか」と呟く。【鞍馬天狗】が呆れた目を【太郎坊】にむけながら、【茨木童子の隠し子】がそこかしこに現れたら厄介だろうが、と言って玲鵺が貞操を守り続けている事情を察しろと呆れていた。
密かに
洸「玲鵺………馬鹿って言う奴が一番馬鹿なんだよ。故に、お前が馬鹿だ!」
この時点で3回、馬鹿と口にしたことを洸は自覚していない。
燎「喧嘩は、後にしろ。義父上の疑問には貴方の娘婿の自分がお答えしましょう!」
燎は先程ヤラカシたので、ここで挽回しておこうと考える。
燎「実は、【
【外界の民】とは、【古族】のことだ。【古族の王】は自身の【民】のことを【外界の民】と呼ぶ。
癸「なるほど………【海の民】に『モフモフ成分』が欲しかった」
そんな所だろう、と癸は【海の民の王】の魂胆を見透かしていた。
【海の民の王】の【転生戦士】燎は、わかりやすく動揺する。
燎「流石は義父上!見事な洞察力です!」
燎の口から癸への褒め言葉を止めて癸は、そろそろ聞かせてもらえないかとおべっかはそこまでと言わんばかりであった。
燎「それは『愛憎相反する想い』から来る行いです」
燎は、あの【ムカデ男】はコンプレックスの塊だったので自身の美しい妻たちに嫉妬していたのだと言った。
燎「【
嫁いだ姉が無惨に殺されたとなれば、【
燎「実は【大闇主之王】は、ガチで【陸】を侵略する気でした」
【鬼神族】は【陸の民】として潜入していた【スパイ】だったのだ、と燎は言った。
燎「【鬼神族】は、元より【山の民】だったのですよ」
【秋津島】という名だった【日本】は【海】と【山】だけの【国】だったのだと燎は【前世】の【大海主之王】の【記憶】からの知識を話す。
朔「そういやそうだった………【
本来なら【古代神】とまで呼ばれた【
朔「唯一の例外が『愛する我が子が自身を超えた時』だ」
実際に【闇嶽之王】は【先代王・大闇主之王】を討ち【二代目山の民の王】となっている。
燎「【
お前の愛情は、妻と娘だけだろうがと燎の息子の洸と
癸「つまり………【外津神】を
癸は燎の戯れ言には興味がないとばかりの『塩対応』でスルーした。
満「祖父ちゃん、クール過ぎるんとちゃうか」
癸「孫は可愛いけどね………婿は憎たらしいんだよ」
君たちも娘が成長して、連れて来た男と結婚すると言えば私の気持ちが理解できるよ、と癸はどこにでもいる娘を持つ父親の心境を代弁した。
それを聞いて一同は、遙に諦観した視線を向けた。
遙「俺は、俺を倒したら優しく受け入れてやるつもりだ」
どうやら遙は、娘のカレシと一戦交える予定らしい。
満「カレシに捨てられるんとちゃうか………流血沙汰に発展しそうな未来しか見えんな」
満の言葉を曲解した遙は、大丈夫だ殺さないように手加減するから、と言った。
癸「流血沙汰と言えば………【陸の民の王】は、嫁いだ姉が帰されたのに【戦】にならなかったのかね?」
娘の結婚ネタで話が逸れたが、癸の自身の婿憎し発言のせいだったので自ら話題を元に戻した。
朔「【
だからこそ、【人間】に足元を掬われ裏切られたのだと吐き捨てるような朔の口調には、どこか【人間】への軽蔑が感じられる。
【
癸「【陸】で【人間】と関わらなければ、今でも【陸の民の王】だったかもしれない人柄だったようだねえ」
癸は【現代人】なので、【超越の者】となり【長命】と【老いない肉体】を持つから【古代人】の若さへの渇望が、イマイチ理解できないが【人間】の【欲】が1柱の心優しい【古代神】を【妖主】という【邪悪】に変えた事実に身震いがする。
癸「私も【古代人】だったら………陥れた【人間】側だったのかな………」
満「祖父ちゃんが陥れる側やったら、全滅して祖父ちゃんひとりだけしか残らんわ!」
満は、祖父ちゃん【現代人】でヨカッタな【日本人】が【古代】で全滅せずに済んだ、とオチをつける。
満のオチでは【山の民の王】も【海の民の王】も全滅に含まれているようだが、それを言ったら話が進まないので誰もツッコミをしない。
癸「燎の話と朔の話を合わせて、【
癸は【大闇主之王】は幼くして母と生き別れることになった【霞童子】に、父と母のふたり分の愛情を注いでいたのではないか、と朔に訊く。
朔「ああ………ドン引きするぐらいに【溺愛】していた」
しかし、朔は最初に『毒親』と論じた。矛盾している。
朔「【先代】は、ある時期を境に【霞童子】に対して『加虐的行為』が苛烈化していった」
朔は、そのある時期というのが末っ子の【
【古族】も【知能ある生物】なので【人間】と同じく【自我】や【アイデンティティ】といったものが備わっている。【アイデンティティ】においては【人間】以上に強調的である。
朔「俺が【先代】と【霞童子】との爛れた関係に気づいた時は、手遅れだった」
【霞童子】がすっかり【
癸「【霞童子】は【鬼神】だよねえ………他者に依存するような弱い者ではないはずだけれど」
【古族】の子は母方の【遺伝子】が優勢になるので、母が【鬼神族】の【霞童子】は【鬼神】だった。
朔「それも、まんまと【八岐】にハメられたようだ」
燎「お前らは………兄弟喧嘩というには度が過ぎていないか?父親と息子が『近親相姦』なんて………【山の民】の【王】への忠誠が揺らぎ兼ねないぞ」
【古族】は【王】への忠誠が
燎「【山の民】は【獣族】が多い。本来の気性は我が強く、縄張り意識も高い。それが抑えられているのは、ひとえに【王】の存在があるからだ」
むしろ、それが狙いだろうねえ、と癸は言った。
癸「【山の民】は【王】への忠義を失い解散した後、【
満「【独裁者】か【暴君】の思考やな」
洸「災いばっかり振りまいて………【八岐大蛇】こそが【邪神】じゃねえか」
遙「だが、結果は【八岐大蛇】が描いた未来予想とは違うな。【先代山の民の王】は長男に跡目を継がせて『近親相姦』にとち狂った【愚王】と貶されることなく『古族伝統の跡目儀式』で名誉ある最期だったのだからな」
燎「【霞童子】に骨抜きにされていたように見えたが、【王】としてのケジメをつけた辺り【
燎は旧友を懐かしむような目をした。
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前話で未完作品のオマージュと書きましたが、父親が【ムカデ】という設定でもう別物になってきていますので、作品名は控えますが著作権問題の為に一応オマージュと記述します。
https://kakuyomu.jp/users/mashiro-shizuki/news/16818622171145576976
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