第壹章 夜狩省のルーツ③〜夜狩衆から夜狩省へ(前編)〜
【九州】の【暴徒騒乱事件】は、実際に制圧した一寸法師が話すことになった。
一寸法師は、最初に刺激の強い話だと断ってから始めた。
一寸法師「まずはじめに、【箱根】の【風魔】と【河内】の【
【風魔】は全国に【忍】を分散させている。【九州地方】は【沖縄】の【古族・
一寸法師「当時の【風魔七番隊・隊長】の【キングシーサー】から【風魔】と【夜狩衆】に報告があった」
一寸法師は、今更ながら【夜狩衆】は【楠木一族】の【草の者】のことだと言う。
満「【南北朝時代】に【
将成「自分も………【楠木家】の【草の者】が【夜狩衆】を名乗っていることは知っています」
それは、現在進行形で名乗られている。【夜狩省】の【影のエージェント】が【夜狩衆】で構成されていると将成は話した。もっとも誰も正式名を言ってくれないがとも嘆いた。
一寸法師「【夜狩省】と名前が紛らわしいからね」
ウラシマ「【影の軍団】って名前のほうがカッコいいじゃねえか!」
ウラシマの中では名前が【影の軍団】になっている。
癸「私の好きな【時代劇】に『影の軍団』というのがあったよ。【伊賀組】が主役で【甲賀組】が絶対悪!って感じにされてたのが気に入らなかったけど、見応えある【シリーズ】だった」
【甲賀総帥】としては、【甲賀】を悪人描写されているのは腹が立ったが、内容は素晴らしい名作だと褒めているので癸は、相当お気に入りのようだ。
一寸法師「【伊賀組】を主役にすると、そうなるのでしょうかね………現実は【伊賀組】のほうが悪人なのに………」
一寸法師は【元風魔】だが母親が【甲賀組】出身なので【甲賀】贔屓だ。
ウラシマ「兄者………ドラマを盛り上げる演出だろ。元を正せば全員、【夜狩衆】だぜ」
ウラシマがウマくオチをつけたので、一寸法師は【キングシーサー】の報告に話を戻した。
一寸法師「最初の報告では、【防衛大臣】の【九州】の実家へ【押し込み強盗】が入ったというものでした」
そこへ、満がちょっと待ったをかけた。
満「【防衛大臣】が【地球外】逃亡しとるんかい!」
一番逃げたらアカン人やないか、と満が言うのを癸が、【防衛】の要がいなければ【新天地】の開拓は困難だと言い訳していたと言った。
癸「もっともらしいこと言ってたけど………全滅したからねえ。とんだ赤っ恥だねえ」
【大臣】の末路は笑い話のネタにされそうなもので終わったが、【大臣】の実家の者たちは、笑い事で済まない状態になった。
将成「【防衛大臣】の【官邸】に住んでいなかったのですか?」
そう言いながら将成は、それならそれで首都の都心部が暴動で混乱していたか、とも考えた。
一寸法師「当時の【防衛大臣】には、娘さんが3人いてね………3人とも、学生で『転校したくない』とか『友達と離れたくない』とかで【東京】には一緒に住んでなかったみたいだよ。奥様は、当時は実家に帰されていたようだから」
つまり、当時は【防衛大臣】の両親と妻子は全員、実家にいたことになると、一寸法師は言った。
将成「奥方まで………って!本当に自分だけ逃げたのですね」
将成は、一寸法師が奥様は帰されていたと言っていたので、【官邸】で暮らしていただろうが『逃亡計画遂行』の為に、【九州】へ帰されたということを知って呆れる所を通り過ぎて『クズ野郎』だと、つい口をついて出てしまった。
満「ホンマ、クズやで!けったくそ悪いダンナや!」
満は、【ヘッド】菓子食って落ち着け、と『あんこロール』を将成へ差し出す。
癸、一寸法師、ウラシマは、これは『アメちゃん食べる?』だなと脳内であんこロールを飴玉に変換していた。
将成が満に渡されたあんこロールを律儀に食し終えるのを待ってから一寸法師は、話を再開した。
一寸法師「【防衛大臣】の実家は【資産家】なので、【執事】や【メイド】が複数名いたわけですが………彼らも含めて3人のお嬢様を残して【一家惨殺】されました」
一寸法師は、男衆は【拷問】【リンチ】の類の暴力行為を受けて、死なない程度に何箇所も刺されてジワジワと陰湿な殺害方法だったと言う。そして、女衆はという所で言葉を切った。そして、癸にこれも話さないとダメですか、と聞く。
癸「気分の悪い話だからねえ………将成も満も、この状況で女性がどんな目に合わされるかは解っているだろうから、過程を省いて結果だけでいいんじゃないかな」
そうですよね、と答えた一寸法師は当時はリアル12才で惨劇を目の当たりにしたのだが、そこは触れないでおいた。
一寸法師「年若い【メイド】たちは、散々なことをされた最中で事切れたと推測される亡くなり方でした。3人のお嬢様たちは………かろうじて【生命】が助かった………とでも言うべきでしょうかね。駆けつけた時には、長女さんは片脚を切断されてましたし………次女さん三女さんは………真っ最中でした」
一寸法師は、なるべくぼかして話すが無理な部分もあった。当時リアル12才だった一寸法師にはトラウマになりそうな光景だった。
癸「因みに【防衛大臣】の三女は当時の
満「ロリコン変質者や!」
癸の言葉に満は即反応したが、当時の暴徒たちには年齢以前にいい加減な【防衛大臣】の家族への制裁しか頭になかったのだろう。
一寸法師「でもね………ここでやめておけば、【復讐】で済んだんだよ」
一寸法師は、かなり行き過ぎてることは否めないが怒りの矛先を向けるべき人物が手の届かない【宇宙】へ逃げたので、家族に詰め寄るというのは【人間】の心理としては致し方ないことだと言った。
将成「家族を糾弾する………というのは仕方がないでしょうね。彼らも【大臣】の恩恵で色々と融通してもらったり、贅沢もしてきたでしょうから………」
将成の意見を聞いて、一寸法師は将繁も同じことを言っていた親子だね、と言って懐かしむ表情をする。
将成の意見は冷たいかもしれないが【閣僚】の家族は、贅沢や裕福を享受しているので緊急事態には【国民】の為に動かなければならない。もっとも、それを理解できている者は残念ながら少ない。
一寸法師「【暴徒】と言われるにはそれだけの悪行をしたわけだよ。【大臣】の実家の男衆は、息絶えた後に口の中に汚物を詰め込まれて女衆は、酷い目に合わされただけでなく死体を五体バラバラにされて串刺しにされていたよ」
満「まるでサイコキラーや」
制裁目的にしては、やり口がサイコパス過ぎると満は言った。
一寸法師「でも事態は、【大臣】の実家に押し入った【暴徒】たちを殲滅しただけでは終わらなかった」
そこで将成は制圧ではなく殲滅なのか、と訊いた。
一寸法師「頭のイカレた連中は、息の根を止めないとね。何するかわからないから」
無垢な美少年の顔で無邪気な笑みを浮かべる一寸法師が怖すぎる。
ウラシマ「兄者………顔と言葉のギャップが怖えよ」
癸「
息の根を止める行為はヤンチャやあらへん、と満が癸にツッコむ。
一寸法師「今の話では、殲滅はやり過ぎと思うかもしれないけど、この後の他の【暴徒】たちの暴虐を知れば『妥当な処分』だと納得できるはずだよ」
満「これでオシマイちゃうんか!」
癸「まだまだ続くよ」
テレビ番組でチャンネルを変えないでと言うようなノリで言う癸へ満は、祖父ちゃんここシリアスな所ちゃうんか、と押し問答する。
一寸法師「実は【九州地方】【中国地方】で同じような暴動は多発していたんだよ」
一寸法師は、彼らは警察が犯罪者を捕らえる為に【検問】するようなことを彼らもやっていたと言った。
癸「【反社】【半グレ】と言われる者たちが普段されていることを、【無辜の民】にやったわけだね」
それはノリノリの激アツ気分高揚状態だっただろうね、と癸の言葉に一寸法師は頷いた。
一寸法師「【暴徒】たちも【風魔】と【夜狩衆】に人数を削られていたから、警察のように分散して【検問】する方法は取れなかった」
一寸法師の話では【暴徒】たちは、逃げ道を落盤や落石で塞いで3箇所だけ道を残す手段を取った。そして、その残された通り道で【検問】を行っていた。
一寸法師「老人と男は問答無用で殺害………これって【検問】じゃないよね。女性も高齢女性は殺害、それ以外の女性は『身体検査』と称して衣服を奪って全裸にして………」
この先は言わせないでね、と一寸法師は割愛した。
満「全然、【検問】とちゃうやないか」
ものは言いようやな、と満は『ゲスここに極まれりや』と吐き捨てる。
将成「一寸殿、嫌なことを思い出させる質問ですが………その【検問まがい】を素直に聞き入れたのでしょうか?運任せになるでしょうが………【忍】たちが鎮圧に動いていたので時間稼ぎをすれば救助の可能性も有りましたよね」
将成の質問に、イイ所に気づいたねと一寸法師は言った。
一寸法師「まず、【暴徒】たちが【検問】をした建前だけどね………彼らは、『背中の羽』を確認しようとしていた」
満「羽っちゅうと………【
満は、ゲス野郎共が女だけのしかも美人揃いの【鳥人族】にイタズラを目論んでいたのかと考えるが、話を聞いた限りでは【暴徒】たちは【非能力者】で【古族】との能力差は歴然としている。
一寸法師は、首を横に振って満の意見を否定した。
一寸法師「彼らが探していたのは【妖精の羽】に似た形の『透明でキラキラ光る羽』だった」
将成「【妖精】ですか………」
ファンタジー小説などの【創作世界】にしか存在しないとされている【生物】だが、実在する。しかし、【西洋】の【霊的存在】としてだ。
一寸法師「【暴徒】たちが確認しようとしていたのは【ミ=ゴ】という【邪神の配下】の【羽】だったみたいなんだ」
満「確認はマジメにやっとったんか」
満は、てっきりイタズラ目的の口実だと思っていた。
一寸法師「【起源の大戦】でクソ
一寸法師は、癸様のお考えはいかがでしょうかと訊く。
癸「神無………あのド腐れ外道………ウマく隠れているようだが、絶対に見つけ出して生まれて来たことと『不死者の肉体』であることを死にたくなるほど後悔させてくれる!」
癸は、激戦の直後の母・
満「神無とやらは絶対に敵にまわしたらアカン人を敵にしたな」
まあ自業自得やけどな、と満は一片の欠片も同情しなかった。
ウラシマ「癸様、
ウラシマの言葉に癸は、バカなそんな筈はないだろう、と言った。
癸「【みづち族】の【八岐】は、今は
癸は、直に会ったことはないが【
満「神無が【八岐】という前提やとしても、矛盾が起こるわ。神無は『不死者の肉体』やろ。【転身】っちゅうことは、いっぺん死んで生まれ変わるんやで」
死んだら不死者とちゃうやろ、と満は言った。ド正論である。
将成「癸様、朔は確か【山の民の王】の【転生戦士】でしょう。【みづち族】も【山の民】です」
【古代神】とも呼ばれる【古族の王】が【古族の民】を間違えるということも考えにくい、と将成は言った。
満「祖父ちゃん、【みづち族】は元々は【中国】からの【異邦の民】や………【
満は、【帝王】さんもそれでええやろと確認すると一寸法師は頷いた。
癸「ああ………その前に、影千代から【アザトース】の件を聞いたと言っていたね。今、遙と影千代は【ドッペルゲンガー】になっているのかね?」
その問いに、待ってましたと言わんばかりに影千代が画面に姿を見せた。
影千代「やあ!癸、八割世紀ぶりかな?相変わらず、女より綺麗な顔してるよ………私が男だったら惚れる!」
あでも私レズビアンだから
満は、八割世紀て何やねん、と呟いているがツッコみする気はないようだ。
半世紀以上、一世紀未満かな、と癸は律儀に満のツッコみ疑問に答えた。
癸「満と将成は、はじめましてだね。彼女は陵影千代………既に【屍人】だ。あれは遙の【ドッペルゲンガー】能力で【受肉】させただけの存在だよ」
癸の言葉に満は即、順応した。
満「
影千代「大叔母ちゃんはないよー!私、ピッチピチの18才だよー」
満「あははは………厚かましい叔母ちゃんやな!」
満と影千代は、トンチンカンなやり取りをしている。意外と気が合いそうだ。
将成「【傾城の美女】の1人と言われた方ですが………意外と気さくな方なんですね………」
将成は、影千代のピッチピチ発言に若干引き気味になっていた。そして【傾城の三美女】は3人とも容姿だけは美人で性格は難のある人物ばかりだと口には出さずに記憶に留めた。
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