2023年7月

歩くたび夕立未満の小雨から走れ走れと急かされている


笹の葉も短冊もない夜だから願い事だけ風に預ける


去ってゆく夢の名残を惜しみつつカーテンコールに瞳を閉じる


夕焼けが明るい夏も街灯は律儀にぽつりぽつりと光る


少しずつ検索履歴が夏色に染まり始める心と共に


地を這って帰る人々嘲笑うサディスティックな蝉の鳴き声


ぷちぷちと浮かぶ予定を一つずつタトゥーみたいに二の腕に書く


校庭の部活の声がスカスカな夏期講習の隙間を埋める


夜だけは蝉も黙って今日死んだ仲間のために喪に服してる


エスパーは「あれやった?」なんて言う前に世界を守りに行ってください


「あたり」でも「はずれ」でもないアイスだけ食べてたかったあの帰り道

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