第18話
「そういう池田はどうなんだ?」
「おお、それは是非とも聞いてみたいでござるな」
「俺か?聞いたところでああやっぱり、って思うだけだぜ?」
まあそうだろうな。だが、コイツの恋愛遍歴を聞くことで、何かしらイジるネタが出来るかもしれない。
「神宮寺さんとは幼馴染なんだよね?お互い素直になれない、みたいな展開はあったの?」
「鉄板ネタでござるな!」
「それは無かったな。美涼とは普通にデートしたりプレゼント贈りあったりで、どんどん距離は縮まって付き合うのも時間の問題だったし、俺もそれで良いとさえ思ってたんだが……」
そこで池田は言葉を詰まらせ、俺の方をちらりと見遣る。なんだ?俺に何か……ああ、そこで例のバレンタイン事件に繋がるのか。
「気を使う必要はないぞ。俺は神宮寺のことなんかなんとも思ってねーから」
「そうじゃなくてだな……当時の俺の心境を聞けば、矢上がブチ切れしかねないと思うから」
「マジか?まあでも過去の話なんだろ?今が違うなら良いんじゃねーか」
しばらく考え込む池田。おいおい、そんなにヤバい話なのか?過去の話、と言った以上は俺も怒るわけにはいかない。エゲツないのは勘弁してくれよ?
「美涼の目的も大体見当はついてるし、矢上は知っておくべきかもな」
「尚更だな。怒らない、って約束するから聞かせてくれ」
「わかった。中学2年のバレンタイン直前の頃からだな」
……毎年美涼からは、市販品だが結構いいチョコレートを貰ってたんだが、あの年は初の手作りだって聞いたんだ。しかも渡す相手は俺じゃないとか。
当然、嫉妬したさ。俺が美涼の本命だって信じてたからな。ポッと出の奴に奪われてなるものかと、調べまくった結果、相手は隣のクラスの矢上、お前だと知ったんだ。
一度そのツラを拝んで、いけ好かない奴だったらブッ飛ばしてやろうと思って、様子を伺いに行ったら……そこにいたのはどう見ても美涼の好みとはかけ離れた、冴えない陰キャだった。そこで俺はピンと来たんだ。これは俺を嫉妬させようとする美涼の作戦じゃないかって。
「ここまで、大丈夫か?」
「お、おう……まあそうだな」
確かに池田から見れば、俺なんか取るに足りない小物だろうな。わかっちゃいるが、面と向かって言われるとこう、クるものがあるな。
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