第5話 朝からずるい!

電車に乗り込み、座席に腰を下ろした瞬間——


ピロンッ


また、華乃からの返信が届いた。


「ちょ、ほんとにずるい…!!///」


小さく吹き出しそうになる。


画面越しでも、華乃がどんな表情をしてるのか簡単に想像できた。


「もう知らない!!」


その言葉の後に、すぐ「嘘」と訂正するメッセージが続く。


そのやり取りが可愛くて、俺は自然と笑ってしまった。


「そんなに恥ずかしかしい?」


軽く冗談っぽく送ってみると、すぐに返事が来た。


「恥ずかしいに決まってるでしょ!!朝から心臓に悪い…///」


電車の揺れに合わせて、俺の心もどこか落ち着かない。


それにしても、朝からこんなにやり取りしてるの、なんか久しぶりだ。


一度途切れた会話の流れが、また戻ってきたような気がして、なんとなく嬉しかった。


「じゃあ、また夜話す?」


そう送ると、少し間が空いて、華乃からの返信が届いた。


「……うん。今日の夜、電話して?」


その一言に、俺の中で何かがじんわりと広がる。


「……分かった。絶対する。」


そう返して、スマホをしまった。


電車の窓から差し込む朝の光が、いつもより眩しく感じた。

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