第3話 翌朝、残された言葉

日曜日の夜、俺たちはひたすら話し続けた。眠くなるまで。


気づいたらスマホを握ったまま、寝落ちしていた。


──そして翌朝。


目覚ましの音に叩き起こされ、ぼんやりした頭で支度をする。昨日の通話が、まだ夢の中の出来事みたいにふわふわしていた。


少し寝不足だけど、不思議と気分は悪くない。むしろ、心の奥がぽかぽかしていた。


制服に着替え、朝ごはんを適当に済ませ、家を出る。駅までの道を歩きながら、何気なくスマホを取り出した。


──LINEを開く。


華乃との通話履歴が残っていた。昨日はかなり長く話していたみたいだ。


スクロールしてみると、通話が切れた後に**ひとつだけ**新しいメッセージがあった。


「好き…」


たったそれだけの言葉だった。


一瞬、心臓が止まりそうになった。


——何これ、反則だろ。


夜遅く、俺が寝た後に送られたらしい。きっと華乃も恥ずかしくて、通話中には言えなかったんだろう。


駅に向かう足が、なんだか落ち着かない。スマホをぎゅっと握りしめたまま、返信するかどうか迷う。


何て返せばいいんだろう。


だけど、不思議と俺の中では答えが決まっていた。


指が勝手に動く。


「俺も。好きだよ。華乃の事。」


送信した瞬間、心臓が跳ねる。でも、もう後戻りはできない。


——華乃、今どんな顔してるんだろう。


そう思うと、朝の冷たい風もどこか心地よく感じた。

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