心に地獄を抱えながら生きるサバイバーの思い

犯罪や暴力などにおいて、実態が表に出づらいものがあります。
性犯罪や性暴力などです。
それらの被害者や被虐待者を「サバイバー」と呼ぶことがあります。
朽ちることのない苛烈な地獄を心に抱えながら、誰よりも辛く苦しい人生を生き抜いていかなければならない彼女たち/彼らは、まさにサバイバーであると言えます。

そんなサバイバーが生き抜いてきた地獄と、地獄に生きる率直な思いが綴られているのが、この作品です。
この作品はフィクションではありますが、率直な彼女の思いと、思わず目をそらしたくなる表現や描写は、あの世の地獄よりも凄惨な経験をし、今なおその地獄によって苦しみ続けるサバイバーが自分のすぐそばにいるかもしれないことを私たちに突きつけてくるようです。

サバイバーに対して、私たちができることはあまりにも少ない。
それでも、この物語のような地獄を経験してきたサバイバーには、その未来に必ず幸せの虹がかかるのだと、そう願わずにはいらない。そう思わせる物語です。

貴方もサバイバーの心に寄り添ってみませんか?

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