第6話 魔法少女会議《ワルプルギス》②

わかりにくいかと思ったので、ランキングのNo.〜を〜位に変更しました。


===


「アインネ様!!!」


 金髪の頭にドリルをクルクル巻いた子が私の下へ駆け寄ってくる。


「はじめまして、わたくしは魔法少女ウェレゼと申しますの。不束者ですが、末永くよろしくお願いしますなのですわ」


 ………何かちょっと聞き慣れない言葉があった気がする。


「ちょ、ちょっと!!ウェレゼ!!ズル…じゃなくてそれはダメ!!アインネさんに嫁ぐつもりなの?そんなの羨ま…じゃなくてけしからんです!!」

「わたくしはアインネさんにアプローチをしているのですわ。こんなこともできないチキンは引っ込むべきだと思いませんこと?」


 えぇ………。


 金髪ドリルの子は私の脳内データベースによると、魔法少女ランキング10位のウェレゼちゃん。

 兵器を用いる魔法少女だということは知っていたけれど…。


「まさか……私大好きっ娘だったとは………」


 私の小さく呟いたはずのその言葉を聞き逃さなかったのか、ウェレゼちゃんが高速で反応をした。


「わたくしのことをご存知なのですの!アインネ様!!やはりアインネ様とわたくしは運命の赤い糸で結ばれていたのですわ!!」

「ズ、ズルいです!!ウェレゼ!!アインネさんをかけて勝負です!!」


 えぇ……フィーパちゃんも私のこと大好きなのか……。



 …………ま、それはそれで嬉しいけど。

 だって―――って、いかんいかん。

 今はアインネさんモードだ。



「だったら、勝負をワタシが見届けてあげるの。さっさとシュミレーション空間に入るべきだと思うの」


 そう、エルフィーネちゃんが提案すると、どこからともなく金髪で4枚対の羽を持った妖精が現れる。


「クスクス。話は聞かせてもらったのじゃ。勝負の為に妾のシミュレーターを使いたいのかの?」


 のじゃロリババアだ!!(妖精)


「あっ!!ルミナちゃん!!久しぶりなの!」

「久しぶりじゃ、エルフィ。と、見慣れない顔がおるの。お主がアインネで合ってるかの?」

「合っています。貴女は?」


 私の脳内データベースにない妖精ヒトだ。まあ、私の脳内データベースは魔法少女しかいないという欠陥品とも言えるけど。


「妾はルミナなのじゃ。よろしくの」


 その紹介だけじゃ足りない、と言わんばかりにエルフィーネちゃんが補足する。


「ルミナちゃんはね、妖精女王ちゃんの妹なの!とーーっても偉いの!!」


 へ、へぇ〜〜。内心のじゃロリババアとか言ってゴメンナサイ。

 妖精女王と言えば、文字通り妖精たちの女王様で、私達魔法少女の願いを叶える存在といえる。

 願いを叶える、すなわち能力を与える存在であるので、その気になれば能力を剥奪することもできるらしい。

 その妹となれば、そういう能力を持っててもおかしくない。


 すると、ルミナさんは私の耳元で囁いた。


「大丈夫じゃ、妾にはそういった能力は無いからの」


 えっ。


「妾は心も読めるのじゃ。このことは本当に一部の人にしか教えないのじゃが……。なぜじゃか、お主には懐かしい気配を感じての、つい、教えてしもうたわ」


 彼女は私に微笑むと、言った。


「このことは内密にな?」


 流石にそうします。

 心の中でそう答えると、その声が聞こえたのか、ルミナさんは大きく頷いた。



「話は終わったの?さっさと勝負をするの!!」

「わかった、わかったのじゃ。ほれ、始めるぞ、二人共」


 まるで、孫に急かされる祖母のように、エルフィーネちゃんに急かされてルミナさんは笛を取り出す。

 というか、なぜ笛?


「これはね、シュミレーション空間へと向かうためへの鍵なの。さあ、一緒に行こうなの」


 エルフィーネちゃんに手を握られた私は、ルミナさんが奏でる笛の音が聞こえた瞬間、別空間へと転移していた。


「アインネちゃん、驚いたの?ここは精神空間っていう空間らしいの。ワタシにはよくわからないの」


 精神空間………。

 私の能力でも感知できない空間って…。


 周りを見渡すと、スタジアムのような空間が広がり、スタジアム内と観客席との間には何か結界のようなものがあるのが見えた。


「クスクス、ほーれアインネ。受け取るのじゃ」


 この空間に後からやってきたルミナさんが私にジュースを渡す。


「え」

「汗握るスポーツの観戦と言ったらジュースもセットじゃろう?」


 ………。

 気持ちはとっても有り難いんだけど………。


「あの、ルミナさん、ちょっと」


 ルミナさんを手招きして、少し奥へと向かう。


「また、内緒話なの?しょうがないなぁ……なの。ワタシは審判をやりに行ってくるの」


 特に聞かれても問題のない内容なのだけれど、空気を呼んだのか、エルフィーネちゃんはスタジアム内へと歩いていった。


「どうしたんじゃ。もしかして、ジュースが嫌いな味だったのかの?」

「いや、そうじゃなくて、私………減量中なんで、ちょっと糖分は控えたいかなぁって」


 魔法少女時の見た目は変わらなくても、カロリーを取りすぎると通常時の見た目は太るから流石にちょっと制限したい。勿論ガワが完璧超人で機械のようだと呼ばれるアインネでも中身はただの女子高生だからそういった感情はしっかりある。

 私の太りたくないという意志を受け取ったのか、ルミナさんは答える。


「む、そうか。すまんの。年頃の女子は体重も気にするんじゃったな。少し待つのじゃ」


 私のジュースから砂糖のようなものが抽出され、角砂糖ほどの大きさにまとまる。その角砂糖をルミナさんは大事にするかのように瓶の中に入れた。


「よし、ほれ、砂糖抜きジュースじゃ」

「ありがとうございます」


 そういえば、この空間についても聞いておこうか。


「ん?なんじゃ?」


 私が口を開こうと瞬間、エルフィーネちゃんの声がスタジアム内に響き渡る。


「アインネちゃーーん!!ルミナちゃーーーーん!!始めるのーーーーーーーー!!」

「おや、始まるようじゃの。何か聞こうとしていたが、それは後でで、妾達も観戦するのじゃ」


 私自身も魔法少女同士の戦いを見るのは初めてだから楽しみ。


「いくよーーーーーーー!!よーーーーーーーーい!!はじめーーーーーーーー!!なの!!」


 エルフィーネちゃんの掛け声とともに二人が自身の能力を発動させる。


「アインネ様はわたくしのものですわ!!『いでよ魔導軍隊マジックアーミー』」

「良くないです。アインネさんは貴女だけのものでないのです!!『身体強化パワードブースト』」


 二人の魔法少女、フィーパとウェレゼの私を賭けるという分けのわからない戦いが始まった。


===

はい。ワルプルギスは余裕で④まで続きます。

すみません。

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