抑制した独白体で語られる、吸血鬼と討伐に訪れた人間たちの物語。
定型の筋立て。
よくある役回りの登場人物。
繰り返される単純な決闘。
しかし、これは果たして読む者の思った通りの物語なのか。
本作を読む者の多くは、その結末に驚くことだろう。
そう。タイトルはまったく正しいのだ。
もう一つ着目すべきは、本作の記述。
同じ文章が多々繰り返されていることだ。
その独特のリズムを読むと、意識することがある。
永劫の時を生きるとされる吸血鬼にとって日々とは、疎ましいほどに決まりきった動作と時間経過の繰り返しなのかもしれない。
そう考えると。本作は企てられ、設えられた物語であるだろう。
奇妙で面白い物語。
この意図された結末のもたらす無類な読後感は、きっと一読に値する。