全身麻酔
@Ahbon
第4話 孤独
人生の60パーセントぐらいを孤独とは何かについて考えることに費やしていると思う。孤独は消すものではなく一生消えないものであり付き合っていくものだから、消そうとするのではなく飼いならそうとしなければならないという結論がこれまでの思考の成果である。孤独には様々な種類があると考えている。
第一の孤独は単純な孤独だ。孤独と聞いて誰もが一番に思い浮かべる、本当に自分以外誰もいないときの孤独である。自分の部屋にポツンと一人でいるとき、森林でたった一人でいるときのイメージだ。誰もが恐れている孤独だが私はこの種の孤独には強いという自負がある。たった一人でいたら、寂しいと感じる暇もなければ寂しいと感じるきっかけもない。
第二の孤独は逆説的な孤独だ。この前も、友人六人で食事をしたとき強い逆説的な孤独を感じた。満場一致で不倫されるの怖いねと盛り上がっていたが、自分のことが信頼できない私は自分が不倫する側になる将来の方が危惧している。柄付きのシャツを着ているある男が嫌だとみんな共感していたが、私はなかなかその男いいなと感じたことがある。小説を書いているある男がキモいとみんなで盛り上がっていたが、私はノートに雑文を書き溜めているしひそかにこんなところに投稿している。六人でわいわいしているのに、砂漠にたった一人でいるような気がした。でも家に帰って自分の部屋に戻りドラマの続きを見たら孤独感はだんだん薄まっていった。逆説的な孤独は一番厄介で、私は単純な孤独より相当苦手だ。友達と話しながら、もちろん共通点もあるがそれよりはお互いの違いがどんどん明らかになっていくほうが多い。やっぱり私って変なのかもしれない、誰とも同じ価値観を共有できないのかもしれないという逆説的な孤独感が湧いてくる。強い孤独を感じることは、たった一人ではできないことなのかもしれない。孤独を感じるのにも他者の存在が必要だという絶望的なことに気が付く。社会で生きていくには誰とも関わらないなんて絶対できない。誰かと関わっている限り、孤独は必ず付きまとうから孤独は一生消えることはない。今だって消せない孤独を雑文を書くことで紛らわしなんとか飼いならそうとしている。
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