P.18『青への逃避行』

 都会の蝉時雨せみしぐれが嫌になって、力の限りペダルを回す。辿り着いた場所は、人気のない海岸。


 抜けるような青空と、地平線まで続くマリンブルー。ふたつの色と波の音だけが支配する景色が、そこにあった。


 こんなに綺麗な場所があったんだ。

 

 都会の灰色で塗り潰されそうになっていた心に、ふたつの青がみる。

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