P.24『誰にも届かない宝物』

 樹木ひとつない丘の頂上に寝そべれば、視界は瑠璃るりの世界に覆われる。金糸の刺繍ししゅうとは比べられないほどに煌めきを放ち、天蓋よりもずっと遠くにある本物の星空。


 王位継承をして比類なき権力を手にしようと、このひとときは僕の手中に収まることはない。


 だけど――これだけ近くに感じられたのは初めてだ。

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一場面スケッチブック 八咫空 朱穏 @Sunon_Yatazora

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